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- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758411912
感想・レビュー・書評
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海辺の養護施設・愛生園での生活を語る少年・少女たち。
こどもは自分の環境を自分で選べない。
吹き矢ダーツのように、自分の矢が当たったところで生きていくしかない、ということを、当の子どもたちが知ってしまっている話の展開が切ない&巧いなぁ、と。
様々な家庭の事情を背負った子たちが、自分の理解できる範囲でその事情を語っているのだけど、何でも受け入れなければならないのが1人では生きていけない子どもの宿命であるわけで、その意味で、どんなに悲惨な背景であっても、淡々と話しているように見えるところが、川島誠だなぁ、と思いました。
子どもたちが自分を語り、園の他の子どもを語り。
うん、読者にとっては、1人の子どもが他人からはどう見えているのか、その子は何を考えているのか、が徐々に立体パズルをはめ込むようにわかっていくところが興深かったところですね。
大人の欺瞞を、子どもたちは簡単に見破り、また、逆に、どこか捉えどころのない大人に対しても、彼らなりのアプローチ、というか、接し方をして、意識的にしろ、無意識にしろ、自分が自分であるための立ち位置を確保しようとしているところも。
川島誠と言えば、なんと言っても「800」だけど、今、ウィキで調べてみたら本業は塾講師、なんですね。そっか・・、なんか分かる気がするなぁ。そして、私が知らない作品も、上梓されてたんだ。これはちょっと追いかけてみなくちゃ、です。詳細をみるコメント0件をすべて表示