- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758413534
感想・レビュー・書評
-
愛する夫を突然病気で亡くした実日子、夫婦としてひとつ屋根の下で暮らしているが気持ちが離れてしまっているまり。 どちらが可哀想なんだろうか。 実日子には悲しさや寂しさを感じ、まりには心の痛み、辛さ、苦しみ、やるせなさを感じる。 夫の事を本当に嫌いになれたら、どんなに楽か。まりの気持ちが痛いくらいわかり、読んでて辛かった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
好きとか嫌いとかの感情を重さで計ることができたら、まりの「嫌い」は実日子の「好き」より重かったのだろう
だから、まりは自分から別れる選択が出来なかったのだし、夫が出て行ったお気に入りのマンションを引き払いたいと考えている
実日子は夫の遺した本を一冊残らず他人に譲ることができて、軽やかに次の恋愛に進もうとしていた…確かに夫を愛していたのに
愛してる愛してないって、言葉の意味や重さに押しつぶされそう -
『あちらにいる鬼』のフレーズを思い出した。
“私はひどく動揺していて、そのことが不思議だった。篤郎が助からないことはとうにわかっていたのに。それに私は彼の病気がわかる前、彼を捨てようとしていたのではなかったか。どう違うと言うのだろう、別れてもう二度と会わないことと、篤郎が死んでしまうこととは。” -
近くにいそうな30代女性たちの物語。淡白なほど日常を描いているところが気に入った。夫婦の形、男女関係、女子会での恋バナ、、そういった問題はいつまでも続くのだなあ。
-
面白かった。
恋愛なんて面倒で、災いの元にしかならないと思っている中年既婚の僕にとって、女心は興味の対象でも攻略の対象でもない(それ即ち僕には男性的魅力は無い)けれど、それでも読みやすくかつ示唆に富んだ作品だった。
と思うけど、この本を妻に勧めようという気になれないのはたぶん、妻にとって僕も光一のように見えてはいないかというおそれがあるからなのだろうか。 -
読ませる文章だなぁ…。
扱うものが男女のどうこうといった「恋愛もの」は苦手で避けているが、他者へのその依存はなぜ起こるのか、への深掘りがあると読める。
なにより文章が力強くて、これはほかの作品も読んでみたい。 -
いる、いないの意味を考えました。
近くにいるのに遠いとか、心の中にいるとかそういう表現と似ています。
離れてから気づくその存在の大きさ。離れてからじゃ遅いのに。
毎日会ってるのに心が離れ離れなのも寂しいし、一生会うことができないこともつらい。
「どっちがかわいそうなのかな。先生と私。」
「どうしてあんなにきらいな夫と別れなかったのか。私は夫のことをずっときらいでいたかった。だから別れなかったんです」
-
読み応えありました。
物理的にそばにいるけど心が離れている関係と、
心は繋がっているけど物理的に離れている関係、
どちらがより寂しいのかな… -
タイトルに惹かれて読んだけど、まあそうだよねという展開で。私は好きではないかな。