- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758413534
感想・レビュー・書評
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「夫を亡くしたあなたと、夫が大嫌いな私、どちらが可哀想ですか?」夫と死別して1年半、ずっと立ち直れない実日子。夫なんていないも同然、大嫌いなまま生活しているまり。同年代の2人の女性は料理教室で出会う。可哀想なのは実日子かもしれないが、不幸なのはまりかもしれない。私は『めぞん一刻』が大好きなのでずっと実日子に肩入れしながら読んだ。まりは性格悪っ!と思ってあまり感情移入できずだが黒い感情がリアル。ラストは両者ともに納得のいく形で良かった。そして美味しそうな料理の数々に、私もたまにはご馳走を作ろうと意気込む。
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死に別れより、離婚の方が辛そう。
どっちもいやだけど。 -
夫を亡くしてその思い出にひたる女と、夫の何もかもが気に障りうっとおしいと思っている女。二人の女の様子が交互に描かれる。最後に、前者の女は夫がいない日々に慣れ、新たな関係性が始まるのかな。後者の女は思わず、うっとおしい夫から離婚を切り出され、その後ちょっと乱れた感じ。たぶん大方の読者の男も女も、後者の女の気持ちがわかりながらもちょっといけすかない思いを抱いていたんじゃないかしらん。そしてわりと胸の空く結果になったというか。ただ、こうなってみると後者の女が気の毒にも思えてくる。
でも、示唆的だったのは後者の女・まりと夫との関係。倦怠期どころか何のために結婚を続けているかのような夫婦っていくらでもいるだろう。でも女は(妻は)、どこかで夫の気持ちや気分をとらえ、それに合わせた対応をしている。一方で、夫は相手のそういう対応を知っているだろうか。あるいは、妻の気持ちや気分、機嫌をとらえてそれに沿った言動をしているだろうか。どこか一人よがりだったり、かつて上首尾にいったことをそのままなぞっていたりするのでは。つまり、男って気持ちで振る舞っていない気がする。そんなことを考えさせる小説だった。 -
2020.11
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2020 11/9
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夫への想いが相反するふたりの女性。
小さなイライラや寂しさの積み重なる過程がとても共感できる。女だって弱くって勝手な生き物なんだと実感できる。 -
2020.9
すごく身近に感じた夫婦の話。光一の心境もすごく気になる。 -
愛する夫をうしなった女。深い喪失感。しかし女の心には夫が永遠に存在する。
愛せない夫に去られる女。いないも同然だった夫の存在が不在によって強く感じられる。
想いの深さってなんだろうと考えさせられる物語。 -
愛する夫を亡くした女、実日子と、
夫が大嫌いになった女、まり。
おいしい料理教室を舞台にしたまりと実日子、ふたりの“妻”のオムニバス作品であり、ふたりの”女”の孤独、葛藤と冒険の物語。
実日子もまりも、それぞれの生き方がそれぞれにそうであっていいと思える作品。
「夫を亡くした女だと、彼には言わないで」
「私が忘れないかぎり、あなたはいるのよ」
「実日子は目を開けた。やっぱり俊生はいなかった。でももう、呆然とはしなかった。知っているわ、と心の中で俊生に言った。私にはもうあなたが見えない。でもあなたがいる。私があなたを忘れないかぎり、あなたはいるのよ。私はそう思えるようになった。」
ーーーー 実日子
「私はこの男にほんの少し欲情している」
「夫が死んでほしいと思っているの」
「私の夫はずうっといなかったんです。同じ家で寝起きして、同じ家で仕事もしていたけど、彼はずうっといなかった。」
ーーーー まり