茶碗継ぎの恋: 編集者風見菜緒の推理 (ハルキ文庫 か 15-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 107
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758440745

作品紹介・あらすじ

風見菜緒は文芸編集者でシングルマザー。ある朝、長くスランプに陥っていた作家の久米武人から電話で起こされた。京都在住の久米は、東寺の縁日で面白い茶碗を見つけたという。早速京都へ飛んだ菜緒と久米は、継ぎはぎだらけの茶碗と謎の書き付けを手に入れた。久米はその書き付けを元に小説を書くことになったが、なかなか進まず、痺を切らした菜緒が訪問した久米宅で見たものとは…。"茶碗"が過去と現在の男と女を結ぶ、待望の書き下ろしミステリー。驚愕のラストが待ち受けています。

感想・レビュー・書評

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  • 至誠出版、文芸編集部で働く風見菜緒。
    45歳でデビューして文学賞候補にもなったが、5年前から書けなくなっている作家の久米から、小説の鉱脈を見つけたと連絡があり、急遽、京都へ。
    骨董市で見つけた茶碗の書付に記された、江戸時代に起きた事件とは。
    書付が書き残したい真実とは。

    離婚して小学5年の一樹を育てつつ、多忙な編集部の仕事にも手を抜けない菜緒。
    金継ぎ職人の平助が茶碗の書付に記す、お寺の内儀、紫乃への想いと悲劇。
    書付を読んで、変化していく菜緒の気持ちと、久米夫妻の秘密。
    子育ての難しさ、仕事のやりがい、自由に生きられる人への羨ましさ、表面に出ないヒリヒリさが痛い。
    それぞれの女性の生き方を描いていて、イタタタタと思いながら、最後は少しスッキリした気持ちに。
    菜緒が人に頼れるようになったからかな。

  • 鏑木蓮『茶碗継ぎの恋―編集者風見菜緒の推理』ハルキ文庫。

    京都を舞台に現代と過去とが交錯するミステリー小説。文庫書き下ろし。ミステリーとしての緻密な仕掛けと主人公の風見菜緒、作家の久米武人に関連する家族の問題とが巧く交錯していくストーリーが面白い。

    文芸編集者のシングルマザー・風見菜緒はスランプに陥った作家の久米武人から京都の東寺の縁日で見付けた骨董茶碗から創作意欲が甦ったという連絡を受ける。骨董茶碗がもたらす過去と現代の事件…

    江戸川乱歩賞受賞作『東京ダモイ』を彷彿とさせる作品である。文中に村田喜代子の怪作にして快作『蕨野行』が登場する。

  • 風見菜緒は小5の息子を育てながら文芸編集者をつとめている。
    夫のDVが元での離婚だ。
    担当する作家、久米武人は長くスランプに苦しんでいたが、ある日、作品の手がかりを見つけたと興奮気味に電話してくる。
    金継ぎの跡が網目のように走る茶碗と、桐箱に同梱されていた、茶碗のいわれにしては長すぎる、和綴じ本の書き付け。
    茶碗継ぎの職人・平助が書いたとされている書き付けを新作のベースにしようと、久米は江戸時代のものと思われる読みづらい文章を現代語に訳し始めるが…

    身のまわりで殺人が起きるわけでなく、両親の離婚でトラウマを抱える難しい年頃の息子の子育てに悩む菜緒のお仕事小説のように始まる。
    しかし、次第に書き付けの世界に取り込まれていくようなスランプ作家の行く末を心配し、間に挟まれる書き付けの、職人が住職の妻に抱く道ならぬ想いに引き込まれ…ているうちに、気が付いたらミステリ!
    幾重にも重なったストーリーに、読む方も知らないうちに推理を始めている。

    遠い江戸時代の悲しい恋は、隠そうとしてその実、真実を知らしめたかったのではないか。
    久米の手によって小説に昇華されれば、あるいは当事者すべての供養となるのかもしれない。

  • 舞台は京都。スランプ真っ只中の作家が骨董市で金継ぎされた茶碗に出会う。それには書き付けが付いており謎を呼ぶ。癖のある書き付けを紐解いていくうちに現在と江戸とが交錯し。
    愛や哀しみ、嫉妬に痛み。いろんな思いが江戸にも現在にも沢山溢れていた。
    少しづつ解き明かされていく過程も結末も、最後の最後まで楽しく読めました。
    明るい縁の切り方も気になるところ。

  • 弘法市で見つけた金継ぎの茶碗。その書付が作家の想像を掻き立て編集者を巻き込んで行く。そして真実は‥‥

    登場人物のそれぞれに思いがあって、面白かった。暗号もね。

  • 10月-2。3.0点。
    シングルマザーの編集者が主人公。ある作家が、古道具市に出店された、継ぎ茶碗に興味深い文章があると。
    購入して現代訳すると、茶碗継ぎとお寺の女房との恋物語が。結びの文章が謎で、解明していくと、、

    さらりと読める。ラストは少しほっとした。

  • 2017_017【読了メモ】(170809)鏑木蓮『茶碗継ぎの恋 編集者 風見奈緒の推理』/ハルキ文庫/978-4-7584-4074-5

  • 過去に同作者の『白砂』『見えない鎖』を読んでいたので気になって購入。
    ミステリーらしい事件は江戸時代の書付を書き起こしていく形で、それを読み進めていく現代の風見菜緒の状況と作家の不穏な気配が絡まって「もしかして…!?」と色々不穏な想像をしながら読んでしまった……。

  • 過去と今が交錯しながら進む推理小説。まあ面白いかな。

  • 恋あり、DVあり、歴史あり・・・
    過去と現在を結ぶ「なぞ」がり・・・・
    どんどん、読み進んでいきます。

  • オチは途中から分かりました。
    なんかモヤモヤ〜

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著者プロフィール

鏑木 蓮(かぶらき・れん)
1961年京都府生まれ。広告代理店などを経て、92年にコピーライターとして独立する。2004年に短編ミステリー「黒い鶴」で第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、06年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。『時限』『炎罪』と続く「片岡真子」シリーズや『思い出探偵』『ねじれた過去』『沈黙の詩』と続く「京都思い出探偵ファイル」シリーズ、『ながれたりげにながれたり』『山ねこ裁判』と続く「イーハトーブ探偵 賢治の推理手帳」シリーズ、『見えない轍』『見えない階』と続く「診療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ」シリーズの他、『白砂』『残心』『疑薬』『水葬』など著書多数。

「2022年 『見習医ワトソンの追究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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