妻紅 神田職人えにし譚 (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.61
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本棚登録 : 175
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758443562

作品紹介・あらすじ

縫箔師の咲は、小間物屋に納める財布を仕上げ、散歩の道すがら贔屓にしている蕎麦屋に寄った。
見れば、店前で少しやつれた女が中へ入るのを躊躇っている。
声をかけると逃げてしまったが、咲は女が傷んだ守り袋を大事そうに手にしていたのが気にかかった。
守り袋とは、親が子の無事を祈って子に持たせるもの。
そして後日、咲がまた蕎麦屋を訪れると、思わぬ場に遭遇して──。
一針一針祈りを込めて、一生懸命に縁を紡ぐ咲の想いが心に沁みる、傑作人情時代小説第二巻。

感想・レビュー・書評

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  • 『神田職人えにし譚』その2。

    今回は、咲が品を納めている小間物屋の女将と手代、幼い息子を置いて出て行ったなじみの蕎麦屋の娘、修次の亡き兄の妻だった女…など、咲のまわりの人々の過去が語られ、また新しい縁が結ばれる物語。

    咲自身は、兄弟子の妻となるより職人として生きることを選んだ己に誇りを持ち、修次に好意を持ちはしても女として頼みにしようとは考えない。けれど、双子の神狐たちに向けるまなざしには慈愛があふれていて、そんなところに修次は惹かれているんだろう。
    まぁ、今風に言えば、若い頃にほろ苦い色恋も経験し、さばけた風で実は暖かい心根のバリバリキャリアの男前女子(むむ、既に今風とは言えないか…)という感じ?
    女将の亡夫も修次の兄もそろって刃傷沙汰で亡くなってるのはちょっとなぁ、などと思いつつ、もうちょっと物語の鍵になる手仕事、咲や修次の職人技について書き込んでもらいたい。二人の技量が凡百ではないからこそ、神狐の双子も現れるのであろうから。

    まぁ、良くも悪くも一日で読み終えるあっさり加減。気分転換にはぴったり。

  • 202111/シリーズ3作(飛燕の簪、妻紅、松葉の想い出)まとめて。
    昔の作品を改題しシリーズ化したもののようだが、今回初めて読んだ。職人モノという設定にひかれ購入したら正解、面白かった!出てくる小間物や主人公の刺繍の描写も良くて、めちゃめちゃ欲しくなってしまう程。双子の童しろとましろのファンタジー加減も、この時代モノの世界観を邪魔することないちょうど良さ。各話の展開に偶然要素や都合良さはあるものの、人物造形が良いので興ざめすることなく楽しめた。気の良い長屋の面々との助け合いもあたたかい。シンプルな文章でグッとこさせる描写(第一話作中の『これまでに、一体どれだけの「仕方のないこと」を飲み込んできたのかと思うと』等)も好み。

  • 2020年8月ハルキ文庫刊。書き下ろし。シリーズ2作目。守り袋、二羽の雀、妻紅の3つの連作短編。2作目にして、はやマンネリ感ややあり。最後の妻紅は、謎が残ったまま。ということは、次があるということかな。次に期待です。がんばれ!。

  • 咲がすごく自然に人に優しい。
    常に人のために何かをしているんだけど、気性のせいかさっぱりしていて押し付けがましくないのが良い。しろとましろに対しても母のようになっていて微笑ましい。

  • 前巻に続く第2巻。
    登場人物たちの関係がさらに濃密に。

    咲が商品を収める女主人の恋路を応援したり。
    妹の恋路に関わったり。

    さらに不思議さを重ねる、お狐様?とも思える双子。

    なんやかやと、退屈してる暇はない咲。
    ますます注文が増える毎日。

  • 姐さん気質の職人のお話。最初はつんつんした感じがいまいちかなあと思ってたけど、だんだん楽しくなってきた。

  • 縫箔師の咲は、小間物屋に納める財布を仕上げ、散歩の道すがら贔屓にしている蕎麦屋に寄った。
    見れば、店前で少しやつれた女が中へ入るのを躊躇っている。
    声をかけると逃げてしまったが、咲は女が傷んだ守り袋を大事そうに手にしていたのが気にかかった。
    守り袋とは、親が子の無事を祈って子に持たせるもの。
    そして後日、咲がまた蕎麦屋を訪れると、思わぬ場に遭遇して──。
    一針一針祈りを込めて、一生懸命に縁を紡ぐ咲の想いが心に沁みる、傑作人情時代小説第二巻。

  • シリーズ2作目。

    弟妹の恋模様が出てくるかと思ったら、あっさり。
    美弥と志郎は、不器用な二人を周りが力を貸すのだが、遠回りした割には最後はあっさり。
    表題の「妻紅」では修次の過去が語られるが、兄の死の真相は結局はっきりせず、何かモヤモヤ。真相は語られず仕舞いなのか。

    咲の作った小間物の意匠が文字だけでなく、挿絵として入れて欲しい。

    このシリーズを読むとお稲荷さんが食べたくなる。

  • えー?お兄さんの死因は??
    後々でてくるの?
    今も昔も修次みたいな男はモテるよね.

  • 2021.11.17
    2022.07.04

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著者プロフィール

1972年生まれ、ミネソタ大学卒業、カナダBC州在住。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年『妖国の剣士』で第4回角川春樹小説賞受賞。「上絵師・律の似面絵帖」シリーズでブレイクした注目時代作家。

「2023年 『江戸は浅草5 春の捕物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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