作品紹介・あらすじ
六人の作家の人生を見つめる目の確かさを感じさせる、六つの多彩な短編小説。
感想・レビュー・書評
絞り込み
すべて
評価★5
評価★4
評価★3
評価★2
評価★1
■図書館より。
■20年前の本だが、訳文が妙に古く感じた。ただ、いろんな人の訳文を読む経験にはなったと思う。
■英米文学といっても、「人生のほろ苦さ」的なものを求めているので、教訓的なものはあまり魅力を感じなかった。やはりわたしが求めているのは、ここに収録されているものよりももう少し時代がくだったものかもしれない。
■一番よかったのはヒュー・ウォルポール「版画」。版画というものが、美なり真に価値あるものなり、何らかの暗喩になっていて、それが生活に入ってきたがために夫婦関係は壊れてしまう。現代でも、フィギュアや鉄道模型などを集める旦那さんのコレクションを奥さんが勝手に捨ててしまい関係が悪化してしまう、ということがあるが、あれはたんに模型を捨てられたことよりも、自分が価値をおくものとして尊重してもらえないことに怒り傷つくのかもしれない、とこの作品を読んで思った。
これはですねー
ヤク中とアル中の間みたいな書痴の皆さんにじゃなくて、
まだまだ本を読むことに幻想を抱いている人たちに
贈りたいアンソロジーです *^^*
■トマス・ハーディ/妻ゆえに
女性の一生が結婚相手で決まってしまっていた時代のお話。
こういう話でラストにどんでん返しを期待してはいかんのだな、
うん。
■ジョージ・ギッシング/めぐりあい
植物好きの虚弱な郵便局員が自分の生き方を模索する話・・・
なのかな?よくわからんかった。
■ジョン・ゴールズワージー/フォーサイト家の宝
連作「フォーサイト家年代記」の1つ、らしい。
そのせいか、父が子に祖先の話をするんだけど、
「締め金」がなんだかわかんなくて、ピンとこない。
■ヒュー・ウォルポール/版画
和解できる、まさにその一瞬のチャンス。
外から見ている読者にはわかるけど・・・
このすれ違い感が短編小説の真骨頂!
ここで宇治拾遺の「児のそら寝」を思い出すのは
私だけだろうか・・・?「いざ、かいもちひせむ」ってやつ。
■サマセット・モーム/仕合せな男
人生の岐路にアドバイスを求められる責任の重さに
普通はびびりそうですが・・・美しいお話です。
どんでん返さなくてよかった。
■キャサリン・マンスフィールド/船の旅
母が亡くなったフィネラは祖母宅に預けられることに。
見送りの父がもしものためにお小遣いをくれます。
「1シリングも!」
・・・貰った額の大きさに、長く預けられることになることが
わかってしまうのです 。。。><。。。
著者プロフィール
Thomas Hardy 1840–1928
イギリス南部ドーセット地方の石工の家に生まれ、22歳でロンドンに出て建築事務所で働く。その後作家に転じ、そのキャリアの前半約30年間で『ダーバヴィル家のテス』をふくむ15篇の長編小説、短編小説集4篇、後半約30年間で叙事詩劇『覇王たち』と948篇の短詩を発表して、ヴィクトリア朝時代最後の大小説家にして詩人となった。神の見えない時代に文学の存在意義を探り、みずみずしい感性によって20世紀のモダニズムの先駆者となり、D・H・ロレンスやフィリップ・ラーキンなど後世の作家に多大な影響を与えた。
「2023年 『恋の霊 ある気質の描写』 で使われていた紹介文から引用しています。」
トマス・ハーディの作品