星の王子さま

  • 皓星社
4.13
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本棚登録 : 91
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774406268

感想・レビュー・書評

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  •  大学で、フランス文学を専攻していたのに未読だった『星の王子さま』。家の本棚に子供の頃からあったので、読もうと思えばいつでも読めたのに…。しかも若い時、読みかけてすぐやめた記憶すらある。
     今回、大好きなドリアン助川さんが訳しているものがあるのを知り、やっと読んでみた。想像していたほど難解ではなかったものの、様々な解釈ができそうで、一度読んだだけではとてもじゃないがわかったとは言えないと感じた。

     きつねとの会話が特に好きだった。

     今回初めて知ったのが、かなり沢山の種類の『星の王子さま』が出版されているということ。様々な出版社から、様々な訳者で。ある本は、挿絵が葉祥明さんによるものだったり、池澤夏樹さんが訳していたりするものもあった。
    私の中でやはり馴染みがあるのは、子供の頃から家にあった、内藤濯さん訳の岩波から出ているものだ。

    ドリアン助川さんの訳は、かなりわかりやすく配慮されていたように思う。少し比べてみた。

    (内藤濯 訳)→ (ドリアン助川 訳)
     飼いならす → なつく
     仲よくなる → 心を寄せる
     ウワバミ → ボアという大きなヘビ


    ドリアン助川さんの訳の、“心を寄せる”という言葉はとても心に残った。この素晴らしい訳も手伝って、物語全体のキーワードになっていた。ただ、何となくイメージとしてあった『星の王子さま』と、少し全体的に違っていた。子供の頃から何度となく耳に、目にしていた内藤さんの訳が、自分の中でそのまま、『星の王子さま』となっていたからだろう。

     岩波版の訳者あとがきに興味深いことが書かれていた。
    『平安朝の物語文学や日記文学には、もともと今日の句読点などというものがなかったのでした。というのは、言葉を生かす道が、読む人それぞれの息づかいにあるというしかとした自覚があったからで、私はふつつかながら、この日本語訳でそういう言葉の本道をねらったつもりです。』内藤濯

    ドリアン助川さんの訳は一文が短く、理解しやすく、より直接的な印象を受ける。一方、内藤濯さんの訳は、やや一文が長めで、時代の違いもあり、文語調で佇まいに品がある。

    ちなみに、この本の巻末には、ドリアン助川さんによるあとがきもあり、彼による写真サン=テグジュペリの像の写真などもある。

    他の訳者のものもじっくりと読んでみたい。訳によってどれほど印象が変わるのか、楽しみだ。原文もトライするかな…

  • この本の世界観を理解するのに何回か読まないと分からなかったけど、読み終わると不思議な気持ちになりました。

  • 最初は表現がむずかしかった。けど、読み進めていくうちに本の世界観に慣れてきた。
    多分自分はもう大人になってたことに気付かされた。
    色々な例を通して、人生においての大事なことを学べた気がする。特に花の話はもう一回読んで深く理解したい。別の翻訳の本も読もうと思った。

    本当に大切なものは目に見えない

  • ほんとうに大切なものは目に見えない

  • 2021/08/19

  • この本を子供の頃に読むのと、大人になってから読むのとでは受ける印象がかなり違ったものになるのかもしれません。
    「ほんとうにたいせつなものは目に見えない」
    そこに全てが凝縮されているのでしょうが、作者が生きていた時代背景を知ることで、家族や親しい人と離れる寂しさ、ほんの小さな出来事が知らず知らずのうちに取り返しがつかなくなること、戦争の醜さ、そして死。そういったものの比喩が物語の中に隠されていることに気づきます。

著者プロフィール

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。1900年6月29日、フランスのリヨン生まれ。
幼少の頃より飛行士に憧れてその職につく。飛行士と兼業して、飛行士の体験をもとに『南方郵便機』、『夜間飛行』などを発表。
第二次世界大戦中、亡命先のニューヨークにて『星の王子さま』を執筆し、1943年に出版。同年軍に復帰し、翌1944年7月31日地中海コルシカ島から偵察飛行に飛び立ったまま、消息を絶つ。
その行方は永らく不明とされていたが、1998年地中海のマルセイユ沖にあるリュウ島近くの海域でサン=テグジュペリのブレスレットが発見される。飛行機の残骸も確認されて2003年に引き上げられ、サン=テグジュペリの搭乗機であると最終確認された。

サン=テグジュペリの作品

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