芸人交換日記~イエローハーツの物語~

著者 :
  • 太田出版
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313548

感想・レビュー・書評

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  • 交換日記形式で進んでいく、結成12年目の売れないお笑い芸人たちの物語。

    最初形式に慣れるのに少し時間がかかったけれど、気付いてみれば彼らの世界にどっぷりでした。
    ハッピーエンドにはならないけれど、人間の絆が生み出すドラマ。夢を追う勇気、諦める勇気。
    そして鈴木おさむ氏だからこそ書ける、リアルな芸人の描写。プロデューサーやマネージャーとのやりとり、反応。何故か出てくるカンニング竹山(笑)

    あとがきにて、オードリー若林が、

    芸人にかぎらず、何かを産もうとしている人間は、知識や理論や理屈で飾り立てたものより、むしろ削っていくこと、生身の自分に近いものの方が個性的で面白いということに気付くはず。

    というようなことを言っていて、ああやっぱり売れている芸人(テレビもネタも結果を出している芸人)はラッキーだけのぽっと出ではなくて、産みの苦しみを理解して、苦労しながら考えながらやってるんだなぁと、なんか感動してしまった。

  • 軽い気持ちで読んだら、ボロ泣きだった。好きなことでも周りを見て嫉妬したり自分の限界を見て辛い思いをして、そういうのが気持ちがすごい共感できた。夢を諦めるのも才能って言葉が重くて突き刺さる。

  • 夢を追うもの、諦めたもの、みつかってないもの。すべての人に染みる物語。舞台が大好きになり後付けで小説を読んだけど。楽しめた。正直舞台の方が好きだけど。ソコには田中という生身の芸人若林の熱量があったから。

  • 泣ける。

  • 立ち読みで終わるレベルのボリューム。
    日記形式で綴られるのは悪くないが、にしてももう少し書いて欲しい。

  • 泣かせ、笑わせ、楽しませ。芸歴10年以上で芽のでない漫才コンビイエローハーツ。底抜けに陽気で勢いはあるけど考え無しで働かず彼女に働かせ借金を重ね飲みに出るクズな甲本が、クールな相方田中に持ちかけたのは「交換日記」。ほぼほぼ交互に書かれる交換日記だけで綴られる物語。最初は甲本が大乗り気で田中は嫌ですと断ってたのに、いつのまにやら田中が攻める側にまわったり、交互に入れ替わる波のようにいままで言えなかったこと隠してたことをぶちまけ、ぶつかりあい、そして…。書き手まであざむき、こう来たかという波乱万丈を経ての最後の漫才まで、勢いよく、けれど弱いところもダメなところも含めてぜんぶ愛しくなってくる。うまいなあ、やられたなあ、と思ってしまう。

  • M-1やKOCなどを見る目が変わりました。
    何千人もの人が優勝という栄冠を狙い、優勝した人、惜しくも優勝を逃した人などそれぞれにストーリーがあることを考えるとテレビに出ている世界だけが全てでは無いことを感じさせられました。
    とても感動します、泣いてしまいました。

  •  結局イエローハーツは、自分たちの「素」で勝負しようと腹をくくることになります。「笑軍天下一決定戦」というコンテストに向けてネタを出し合いながら、「コンビニの店員と客」といった設定ではなく、「田中と河本」という人間自体の面白さをネタにするのが一番面白い、という結論に辿り着きます。
     この結論は、お笑い芸人を目指す人だけじゃなく、表現をしたいと思っている人みんなに共通するものだと思います。おそらく一番の問題は、「自分」から出発しないで「理想」から出発してしまうことです。若い頃はとくに、「理想」と「自分」との距離のあまりの遠さに押しつぶされそうになります。そして、「理想」に辿り着くため、「自分」を大きく見せるために、余分なものを積み重ねていこうとします。でも僕は、じつは積み減らしていくことのほうが正解だと思うのです。減らして減らしていった最後、逃げようのない本来の自分というものがドスンと出てきた時に、その人らしいものが現れます。それこそが、面白い。(あとがき・若林正恭)

  • やろうと思ってる人は一杯いて、それを実行に移す人はほんの一握りなんです。「やろうと思ってた」と「やる」の間には実は大きな川が流れてるんですよ。



    若林 解説
    僕は、じつは積み減らしていくことのほうが正解だと思うのです。減らして減らしていった最後、逃げようのない本来の自分というものがドスンと出てきた時に、その人らしいものが現れます。それこそが、面白い。

    「諦めよう」と思うところまで突き詰められるのは、敗退ではなく、前進だと信じたいのです。「自分はこの世界でやっていくような人間じゃない」と気付くまでやり切った人なら、次の場所でも必ず、夢を追えるはずですし、辞めていった仲間は実際にそうです。

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著者プロフィール

放送作家。1972年生まれ、千葉県出身。Instagramで漫画「ティラノ部長」(毎週金曜日更新)と「お化けと風鈴」(毎週水曜日更新)を連載中。著書に『ブスの瞳に恋してる』シリーズがある。

「2021年 『ティラノ部長』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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