ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ 63)

著者 :
  • イースト・プレス
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781690643

感想・レビュー・書評

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  • 学生や子供が読む事も想定した平易な内容になっているが、未来の働き方やロボットとの付き合い方などについて示唆に富んだ内容であった。

  • 装丁の軽さからは予想を裏切られる良書。
    AIがどのようにものを理解しているのか、という話も面白かったが、職業についての考察が秀逸。

    「機械との競争」でも語られているが、はたしてAIが進歩した時、人間にはどのような仕事が残されているのだろうか
    たとえば、AIには意味を理解することが難しい。猫とは何か、を理解することは無理なので、目の形や毛の色などで統計的に理解する。
    写真はカメラを通して世界を観測した結果であるが、イラストは人間の脳を通して世界を観測したものなので、そこには観測者の考えが入っているため、機械ではなかなか認識できない。
    AIがいくら発展しても人間にしかできない分野は残るはず。だったら比較優位のある職業に移ればよい、というのが経済学の標準的な理論ではあるが、これは移動のためのコストが0であるという仮定のもとでの話。実際は職業訓練や技能の習得にはコストがかかるし、かつてのように緩やかな時代であればそういったコストも吸収されていたが、現代社会はその革新スピードがあまりに速いので、ほとんどの人は速やかに移動できず、トラブルに見舞われることになる。

  • 【選書者コメント】小さな疑問が研究につながっている。著者は一橋の卒業生!!
    [請求記号]0070:2271

  • す!ご!く!おもしろかった!!
    国立情報学研究所の新井紀子先生が中学生以上向けに書かれた人工知能に関する本。
    対象が中学生以上で、また講演での会話形式のように書かれている部分も多くて、すごくわかりやすくて親しみやすかった。

    「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトは名前だけ聞いたらお遊びみたいだけども、キャッチーなプロジェクト名は、一般の読者がより真剣に、人工知能技術の発達が自分の人生に及ぼす影響を考えようとするために必要なものなんだ!

    人工知能関連の技術と言うのは、研究者ですら「その技術で何ができるのか、どこに向かっているのか、私たちは本当はよくわかっていない。にもかかわらず、私たちは日々の生活の中でその技術に頼っているんですね。」(p.8)なのに、私たちはそのことすら理解していないまま使っている。
    それはまずいよ、考えようよ、というのがこの本。
    個人的には、『戦闘妖精・雪風』シリーズ(神林長平)で、<無人化すべきである>と「人間が必要だ、ということを戦闘知性体群に認めさせろ」というところにとっても胸をアツくさせているタイプなので、この本は本当に「それ現実問題だ!!」とどきどき、わくわく、そしてどきどきどうしよう。

    東ロボくんが実際にセンター模試や代ゼミの東大プレを受けた結果の講評、東ロボくんのテクノロジー解説もすごくおもしろい。

    新井先生の他の本も読んでみよう~

  • 国立情報学研究所を中心とした「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトの報告本.なかなか面白いところに目をつけたプロジェクトだと思う.開始から2年たった時点で,なかなか善戦している.文系よりも理系の問題に苦しむコンピュータ君が意外だった.人工知能技術の現状とその限界がよくわかる.
    今後,何かしらのブレークスルーがあることに期待.

  • こういうプロジェクトが動いているということは知っていた。本屋で、こういう本が出ているのを見つけて、思わず買ってしまった。で、正解でした。途中の、代ゼミの先生による概評とかはまあ不要かなあとも思えますが、コンピュータがどういうことができてどういうことは難しいのか、ということがなんとなくわかる。犬と猫の区別、我々はどうしてわかるのだろう。たくさん見てきた経験なのだろうか。小さな子どもでも、ワンワンとニャンニャンの区別がついているような気もする。コンピュータにどうやって判別させるのか。もう、大量にデータを入れて統計的に判断するしかない。翻訳の技術がまたおもしろい。「私は、岡山と広島に行った。」→“I went to Okayama and Hiroshima.”「私は、岡田と広島に行った。」→“I went to Okada and Hiroshima.”??? “I went to Hiroshima with Okada.”前者は間違いで後者が正解??? 前者は何が違う、岡田という地名は確かにある。論理的な間違いはない。こういうことでコンピュータは苦労するらしい。ちょっとかわいい。ロボットが東大の入試で合格できるくらいになったとき、どんな仕事が人からロボットの手に移っていくのか。そのとき、我々はどうやって生きていけばよいのか、我々にしかできないことは何なのか。考えていかなければならない。

  • 4〜5

  •  いやはや、ロボットは東大に合格できるのか。人としての考え方を持ち出したら人間社会は終わりだろう。しかしこの段階ではまだまだ未来は遠いような予感がする。

     どこまでをロボットに任せるかによりその答えは違ってくるだろう。果たして研究者、技術者はどう着地点を打つのだろうか。楽しみだ。

     できれば東ロボ君がやった問題も掲載してほしかった。どうせできないとは思うけどね。

  • 東ロボくんの東大数学回答を見て爆笑
    こんなんかける高校生いたらそれだけで合格にしたくなるわ
    というか2完できてるって時点でもう俺より遥に上やん……

    筆者の知性の高さを強く感じる本だった
    まぁこういう人ならいくらコンピュータが発達しようと仕事を奪われるようなことは無かろうなと

  • センター入試に回答させるソフトのプロジェクト。2011開始、2013の受験結果は偏差値40-60、私立文系の中央値を少し超えるあたり。言葉には、とりあえず科学ではなく工学的アプローチ。壁は、イメージ処理、常識、曖昧さ。

    10年のプロジェクトで、2年で普通人の真ん中あたり?だったら、結構、東大、行けるかもしれないですね。

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著者プロフィール

国立情報学研究所情報社会相関研究系・教授

「2021年 『増補新版 生き抜くための数学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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