現役東大生の世界一おもしろい教養講座 -正しく未来を見通すための「地理的思考」入門-
- 実務教育出版 (2019年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788914353
作品紹介・あらすじ
日々リアルタイムで複雑化する世界。インターネットの登場から20年が過ぎ、「情報」と「意見」の洪水は増すばかり。ネットの意見に流されるのではなく、自分の頭で考え、整理し、アウトプットにつなげたい。そんな時に役立つのが、実は「地理」を知ること。「地理」とは、地形や気候といった自然環境を学ぶだけの学問ではありません。実は、現代世界のあらゆる分野を学べる唯一の学問なのです。
感想・レビュー・書評
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ようするに地理なのですよ。地理を通して世界を見るというコンセプトです。普通とは違った角度から世界を眺めると少し違ったものが見えてくるものなのです。二つの異なるキーワード。例えば、キムチとキリスト教。これが最終的には唐辛子という物質を媒介にして繋がっていきます。途中の中継地点として日本を経由しているのもおもしろい。説明もわかりやすく教養も身に付くという面白い本でした。
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●漫画文化の発展は日本に山が多いから
→平野と川を分け合う親族関係密→お年玉で子供が投資家に
●コーヒーのおかげで新聞ジャーナル生まれた
→年間洪水量1200ml以上の赤道付近熱帯亜熱帯
→イスラム教徒の修行眠気覚まし→欧州で喫茶店誕生→身分に関係なく自由な議論の集積地に
●SNSは農業から生まれた
領主は小作人にら逃げられたら困るから戸籍が生まれた→農業発達するとリッチな農家は土地に縛られず移動と貿易が可能に→コロンブスが大航海で新大陸発見(地球が球体→東ではなく西廻りにしたらもっと楽にインドに行けると考えた)→世界は広く遠くの人と短時間で連絡取るためのモールス信号発明
●ドイツは寒いからソーセージが生まれた
氷河で肥沃な土地がない→芋や麦(栄養ある南部では小麦、ない北部で大麦)、それらと相性の良い養豚発達
●キムチはキリスト教のおかげ
カトリックのイエズス会が唐辛子を土産に布教のために来日→豊臣秀吉の朝鮮出兵か倭寇により朝鮮に唐辛子が伝わる
●アジアの経済発展は米による人口増加のお陰
●イギリスの覇権はカトリックの離婚禁止のお陰
ヘンリー8世スペイン王妃と離婚したい→プロテスタント作り、カトリックが禁止していた金儲けを推奨→スペイン艦隊敗れイギリス世界の覇権
●メキシコ湾油田事故は中国が急速発展したから
中国内の石油じゃ不足、高値のうちに難しい地域で早く大量採掘が事故の元。オーナー会社のイギリスBP社の年金の運用は失敗し年金目減り。
●株式取引の誕生はオランダが低地だったから
風車で干拓で土地作りカトリックスペインから独立したオランダはプロテスタントになり商人の集まる国へ発展→土地も植民地も無いので、知らない人から金を貸してもらえる株式の仕組み作った
●インドでIT発達したのは降水量が多いから
二大河で人口増、カースト、数字に強い、ITでカーストから抜けられる
●ソ連崩壊はアラブの石油が原因
世界の石油47%は中東に埋蔵(他ロシア、メキシコ、インドネシア)OPECが価格操作→1973欧米には売らないオイルショックで値上り→ソ連も得して勢いつけて1979アフガニスタン侵攻→OPEC反感→米国の入れ知恵で値下げ→ソ連経済大打撃、ペレストロイカ失敗
●ロシアと中国の接近はアラブの石油が原因
2000代中国経済発展で石油値上り→ロシアも利益→米国のシェールガスに危機感を感じるロシアと中国が結束、焦ったOPECは石油価格を下げる→ロシア経済打撃、米国と更に険悪
●二度の世界大戦はフランスに石炭があったから
アルザス ロレーヌ地方は資源豊か→狙ってた隣のドイツはフランスとの戦争に勝ちゲット→第二次産業革命でドイツは強国に→第一次世界大戦でフランスはアルザスを取り返す→ドイツ経済大混乱→ヒトラー登場、ユダヤ人、フランス人、イギリス人という共通の敵で民衆を纏め第二次世界大戦へ
●トランプ大統領誕生はトヨタの車がいいから
石油危機で燃費の良い小型日本車が売れた→アメ車のデトロイトなど北部衰退、失業、犯罪→自由貿易をやめ雇用を守る公約で労働者の票獲得
●太陽の塔誕生はフランスワインが美味しいから
ボルドーを巡って英仏100年戦争→ジャンヌダルク鎮圧→英国万博でイギリスは世界に先進工業国を見せつけた→負けじとパリ万博→1970日本万博
●明治維新の成功は中国国土が広かったから
中国は山が少なく沿岸部が広い為、敵が攻めやすく王朝統治には苦労→民主主義では治めきれないから王にん権力集中、華夷思想=世界の中心は中国→中国は欧州との貿易を拒否していたがイギリスは戦争を仕掛けて勝ち強引に開国→中国と同様に鎖国していた日本は焦る→開国だ、明治維新
●英国産業革命の成功は砂糖があったから
紅茶に砂糖が労働者のエネルギー源となった
●英語誕生はユーラシア大陸に砂漠があったから
海から離れたモンゴルは砂漠が多い→遊牧民は失う土地がないから簡単に隣国を攻めた。フビライハンの元が日本を攻めたが神風吹いて奇跡的に助かった。中国の匈奴、欧州のフン族→ゲルマン民族の大移動→イギリスに移動し英国を征服→ゲルマン語が英国に
●民主主義誕生はユーラシア大陸に砂漠がある為
ゲルマン民族がローマ帝国が東西分断→西はカトリック、東はギリシャ正教会。皇帝が最強→ナポレオンは自ら皇帝を名乗る。英雄を作曲したベートーベンは権力を持ったナポレオンに落胆→絶対王政崩壊し民主主義へ移行 -
面白い視点だと思います。「風が吹けば桶屋が儲かる」理論、を楽しく読み、頭に残る歴史の流れを感じました。
P4 本当の教養とは?
教養とは、「活用できる知識」のこと。教養がある人というのは、活用できる知識を持っている人のこと。
教科書の丸暗記ではなく、身の回りの事と結び付けて考えることができるかどうか?
P76 ドイツとソーセージ。
1. ドイツは寒い。
2. ドイツの土地は栄養が少ない。
3. 育てられるのは北で大麦とジャガイモ、南で小麦。
4. 混合農業で豚を育てる。
→大麦からビール、ブタからソーセージ。あとジャガイモ。
P87 キムチが辛くなったルーツとキリスト教
1. キリスト教の布教
2. 布教先へお土産を持って行く。
3. 鉄砲だけではなく、唐辛子なんかも日本に届く。
4. 交易によって唐辛子が日本から朝鮮へ。 -
因果関係を磨くのに役立った。風吹けば桶屋が儲かる。
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イギリスが覇権を握ったのは、カトリックが離婚を禁止したからで、離婚したいヘンリー8世はプロテスタントに鞍替えし、結果的に経済発展して強国になる、というストーリー。
面白い。 -
雑学として読むのに良い。
字が大きく語り口も優しいので非常に読みやすく内容が入りやすい。 -
風が吹けば桶屋が儲かる、的な形で社会のことなどを考える本。
とある出来事を発端に様々なことが連なって起こり、最後はつながりが見えなかった結末に到達する…(例えば、「日本でマンガ文化が花開いたのは日本が山がちだからだ」とか、「キムチが辛くなったのはキリスト教が日本にもたらされたからだ」とか)というような内容。
自分自身は世界史の知識に乏しく、地理もあまり分からないため、読んでなるほどと思わされる部分があったが、知識豊かな人が読めばツッコミどころもあるかもしれないと思う。
ちょこちょこ「それはほんとに関係あるのかな?」とか、「それは原因の一端ではあるけど他の要因も大きいのではないのかな?」と思う部分もあった(例えば、「岡本太郎の「太陽の塔」が生まれたのはフランスがワインの名産地だからだ」や、「民主主義が生まれたのはユーラシア大陸に砂漠があったからだ」などには、ほんとにそうなのかなと思わされた)が、考え方を変えれば自分で地理歴史を調べて学んでみようというきっかけになると思う。
「正しい」「正しくない」を論じるのは自分には出来ないが、こういう視点で地理歴史を見てみると楽しいな、と思わせてくれる本だと感じた。 -
「教養」としての知識はただ知っているだけでなく、その知識から今世界で起きている事象との関連を自分なりに考察して、今までとは違う世界の捉え方をできるようになるものであると感じました
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地理っていうより歴史の話が多いし、内容も前書きもこじつけに感じる部分が多くてもったいない本。
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経済や金融など人間が作ったものは、土地や気候などに必ず基づいていることを知った。地理という教科は自分が思っているよりも身近で簡単でおもしろいと思った。この本に載っていることは知っていることも多かったが、それらがつながっていく感じが面白かった。