マイロのスケッチブック

  • 鈴木出版
4.07
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本棚登録 : 169
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (39ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790254331

作品紹介・あらすじ

毎月最初の日曜日、マイロはお姉ちゃんと地下鉄に乗って出かけます。いつも期待と不安で緊張してしまうので、気を紛らわすために、まわりの人の見た目からその人の生活を想像して、スケッチブックに絵を描きます。でも、その想像は正しいのかな?
既刊『おばあちゃんとバスにのって』がアメリカではコールデコット賞オナー賞とニューベリー賞を獲得、日本では産経児童出版文化賞翻訳作品賞に輝いた作家、画家ペアによる第3弾です。原書「Milo Imagines the World」は発売後すぐにニューヨクタイムズベストセラーリストに登場。外見で人を判断することはできないことをテーマにした絵本であり、後半の思いがけない展開に、大人も子どももきっと心を動かされるでしょう。

感想・レビュー・書評

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  • 毎月、さいしょの日曜日。
    マイロはおねえちゃんと地下鉄に乗ってお出かけ。
    いつも期待と不安で緊張するのを紛らわすため、マイロは回りの人をみる。
    地下鉄にはいろんな人が乗ってくる。
    マイロは彼、彼女がその後どうするかを想像するけれど。

    髭の濃いおじさん、ウェディングドレスの女性、ジャケットをきた男の子、ブレイクダンサー。
    いろいろ想像するマイロだけど、目的地で見かけた彼に、マイロは。
    後半の展開にびっくり。
    そしてほんわかとした読後。

  • 『おばあちゃんとバスにのって』『カルメラのねがい』に続く〝夢の国アメリカ〟に暮らす移民の子どもたちを見つめる絵本の第三作。 毎月最初の日曜日になると<少年マイロ>は<お姉ちゃん>と地下鉄で出かけます。お姉ちゃんはいつもゲ-ムに夢中、マイロは周りの乗客を眺めては、その人の生活を想像しながらスケッチブックに絵を描きます・・・クルスワ-ドパズルに熱中する人、ウェディングドレスの人、ジャケットの男の子とお父さん・・・地下鉄を降りた二人は、刑務所に留置中のお母さんと面会。「母さんの為に描いたんだよ」

  • 毎月最初の日曜日、マイロは、お姉ちゃんと地下鉄に乗って出かける。いつも、期待と不安で緊張するので、気持ちを静めるために、まわりの人の生活を想像して、スケッチブックに絵を描く。
    隣に座っていたおじさん。ジャケットやナイキのシューズを身に着け、髪の毛をピシッと分けた男の子。ウエディングドレスの女の人。車両でショーをするダンサーたち。これらの人たちについていろいろ想像したが、マイロは、自分のことを周りの人は本当にわかるのかと考える。
    そして、目的地に着いたマイロは、同じように、刑務所へのセキュリティーゲイトに並ぶジャケットの男の子を見つけて驚く。マイロは、電車で男の子に会ったとき、男の子が王子様のような生活を送っていると想像していたから。
    おかあさんに会って、ようやくマイロは安心する。そして、マイロは、おかあさんのために描いた絵「家の前で、三人で、笑ってアイスクリームを食べる」を見せる。
    (39ページ)
    ※まず、刑務所におかあさんがいる子どもの思いをあまり考えたことがなかったなあと、気づいた。すべての子がマイロのように思っているかわからないが、そう思う子どもの願いが叶いますように。
    そして、マイロの言葉「見かけだけじゃ、その人の本当のことなんてわからないんだ。」がいい。第一印象で決めつけてしまうことってあるなあ。自分を戒めたい言葉だった。

  • 毎月最初の日曜日、マイロは地下鉄に乗ってお姉ちゃんとでかけます。
    (どこに出かけるのかは、終盤になってわかります)

    マイロは、電車の中で見かけた人々の生活を想像して、スケッチブックに描いてゆきます。

    楽しい想像力だなーって眺めていましたが、
    終盤にきて、お話は一変します。
    ドキッとしました。

    マイロは言います。

    みかけだけじゃ、そのひとの ほんとうのことなんて わからないんだ

    と。

    本当にそうですね。
    私も、つい最近、似たような経験をしたばかり。

    よい絵本でした。

  • マイロはおねえちゃんといっしょに地下鉄に乗りこむ
    おねえちゃんはスマホに夢中
    マイロは車内の人を観察してその人たちがどん人かなって想像してスケッチブックに絵を描くことが好き

    〇みかけだけじゃ、そのひとのほんとのことなんてわからないんだ
    なんてことない姉弟の日常を描いた絵本だと思っていた読者に突きつけられる
    マイロはどんなことを考えてスケッチしてきたのかなと読み直す

  • 2022年ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト。まいつき、さいしょのにちようびに、マイロはおねえちゃんとふたりでおでかけする。きんちょうしているマイロは、でんしゃのなかにいる人のことをよく見ながら、スケッチブックにえをかく。いろんなことをそうぞうして……。

    最後の最後のページまでよくよく読んで、「そうだったの!?」と驚かされた。よくよく見ればわかるのかもしれないけれど、私は気づかなかった。
    ウェディングドレス着て電車で移動とか、電車の中でパフォーマンスをしてお金をもらうなんてこと日本では考えられないかも。
    電車の中で出会った人について想像をめぐらすマイロ。それはとても楽しそうで想像の自由さを感じさせる。でも、マイロは途中で「みかけだけじゃ、そのひとのほんとうのことなんてわからない」ということに気づく。この気づきがまた良い。私たち読者も、本を読みながらいろんなことを、想像しているけれど、最後の最後に、マイロのことについていろいろ気づかされる。思っていたよりずっと深い内容で、作品の評価が高いのもうなずける。

  • マイロは毎月、お姉ちゃんと地下鉄に乗ってでかける。緊張してしまうから、自分を落ち着かせるために、スケッチブックを持っていく。地下鉄に乗っている人たちの顔を見て、いつもどんな暮らしをしているのか想像して絵を書くのだ。ふと、窓に映る自分の顔を見てマイロは考えた。他の人から、ぼくはどんなふうに見えるんだろう?

    カラフルな情景と個性的な乗客たちにまず目を引かれた。ウエディングドレス姿の花嫁さんや電車内でのストリートダンスなんて、日本では中々お目にかかれない。そしてマイロのスケッチが絶妙に上手で可愛らしい。けれども、マイロの気づきにハッとさせられ、目的地の場面では、自分自身がマイロのイメージを決めつけていたことに気付かされる。ひとりひとり、色んな思いや背景を抱えて暮らしているのだと、深く考えさせてくれる作品だった。

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著者プロフィール

マット・デ・ラ・ペーニャ
ニューヨーク在住の作家。創作執筆コースで後進の指導に当たっている。 『おばあちゃんと バスにのって』(鈴木出版)でニューベリー賞、コールデコット賞オナー賞受賞。ほかに『カルメラのねがい』(鈴木出版)、『Love すべては あなたの なかに』(評論社)、『だいすきなぼくのかぞく リメンバー・ミー』(小学館)などがある。

「2021年 『マイロのスケッチブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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