アプロネニア・アウィティアの柘植の板

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791758401

感想・レビュー・書評

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  • 徒然草みた〜〜いって。
    表紙に惹かれて手に取ったもんだから、途中まですっかりこういう文書が存在してるんだと思っちゃった。
    そうじゃなくて…。でも遥か昔のご婦人の息づかいを感じるようでじゅうぶん楽しみました。
    今後は手元に置いて適当に開いて読みたい。

  • 古代に生きた70代の老婆の随想日記を現代に生きる男性作者が創作。まるでフランス版枕草子。さすがアクの強い女きょうだいに揉まれて育っただけある。

  • ローマ衰退期に生きた一貴婦人が柘植の板に書いた備忘録。

    異民族の襲撃、既存の宗教を否定するキリスト教の広がり…と様々な出来事は彼女にとって別世界のよう。
    短い文章や単語が殆ど、それに個人的な出来事が文章としてあるだけの記録なのに彼女の息吹が感じられた。

    ラテン語で記された文書の翻訳なのだろうか、それとも創作なのだろうか、と思いながら読み始めたけれど訳者あとがきで創作らしいと知り、そのリアルさに驚きでした。

  • 日常の断片的な思いや物品の覚書きから浮かび上がってくる、ローマ時代の一人の貴婦人の姿。
    想像力を刺激されるような読み心地にうっとりする。
    享楽的な生活が綴られているのだけれど、底のほうに感じられる諦観に、ふっと胸衝かれる思いがする。

    「理想」では、躍動感をもってラトロの破天荒な生き様が語られるが、アプロネニアもラトロも、己が美と感じる生き方を貫き通したといえるのかも。

     Les Tablettes de Buis D'Apronenia Avitia by Pascal Quignard

  • ローマ帝国末期の貴婦人アプロネニア・アウィティアが書き綴る備忘録、日記。身支度について、おぞましい匂い、食事の趣向、奴隷への罰や金嚢。彼女の記憶の澱を攪拌するような出来事は成熟の果ての腐敗、膿んだ快楽への耽溺といくら掴んでも指の間から漏れていく若さ、老い。同時代の歴史家が記述した、ローマ帝国の衰退の痕跡、この時代に侵食していたキリスト教世界の徳も関心がなかったと思われる。「ローマ時代の清少納言」と称されたこの書簡集。本書はラテン語の翻訳なのか、それとも偽書なのだろうか?

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著者プロフィール

1948年、ノルマンディー地方ユール県に生まれる。父方は代々オルガン奏者の家系で、母方は文法学者の家系。レヴィナスのもとで哲学を学び、ガリマール社に勤務したのち、作家業に専心。古代と現代を縦横無尽に往来し、時空を超えたエクリチュールへ読者を誘う作品を精力的に発表しつづけている。

「2022年 『楽園のおもかげ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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