カレル・チャペックのごあいさつ

  • 青土社
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本棚登録 : 55
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791761203

感想・レビュー・書評

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  • ブク友さんにお勧めいただいた本です。ありがとうございます。
    カレル・チャペックの新聞コラム集。1921年から1938年のものから。

    街の人々を和ます陽気な車掌さんのことや、戦争が終わり子供たちが増える様子の喜び、郵便(手紙)を待つ気持ち、そして虚栄に聞かざる人たちや、美術品軽視への不安、政治やイデオロギーのことなど、人々の日常に身近な事柄が柔らかい語り口で書かれている。
    チャペック自身は主義主張もあると思うのですが、それらもさり気なく柔らかく表記されている印象。
    人々の虚栄への皮肉を書いたコラムはどうやら”炎上”したらしく、その次のコラムでなぜそのように書いたかなどが語られる。これは「人々の情熱をけしかけた意図はあった」「だがそれは他人へ攻撃させるためではなく、自分自身への気づきのため」「お金をたくさん持つことは良いが、それは他人を追いやらないため」と続く。この読者への反論というか追加の文章は、最初から意見をしっかり持ち、攻撃されても言葉で返せる人のしっかりした気持ちを感じた。

    第一次世界大戦終了から第二次大戦の影響を感じる時期に執筆されたコラム集だが、表題にもなっている『ごあいさつ』では「いまは国と国が遠くなったけれど、あなたは本当はごあいさつがしたいんでしょう?」と、政治的危険とは違う人々の互いを思う心に希望を呼びかけている。

  • 基本的にチャペックのエッセイはおもしろい。
    p105-126までのレビューを載せます。

    p105
    私が言わんとしているのは、いわゆる本の危機は単に読者が少ないというだけでなく、出版物の過剰にも問題があるということなのです。

    p111
    書籍市場の低迷はもちろん文化の危機です。しかし書籍生産の低下は危機でもなければ、危機なはずもありません。

    p115
    私たちは「ぼやき民族」です。通常、私たちが人に会うのは、ただお互いにひどい状態にあることを嘆きあうためです。そのくせ、相手の具合がどうなのかまったく興味などないのです。これはイギリス人が天気のことを話すときのような、もはや一種の決まり文句になっているのですね。

    p118
    自分に無関係なことや、ろくに知りもしないことについてペチャクチャやるのは人間たちだけです。

    p122
     「犬は独りのときは絶対に独りでは遊ばない」
     この点について私は十分に観察しましたので、ほとんど権威的確信をもって断言することができます。

  • 私も郵便が届くと何かしら嬉しい。
    出版点数が増えていくため業界が苦しいのはチェコも日本も同じか。

  • 園芸家は今日もまじめに世界と向き合う

  • チェコの童話・劇作家だか何だか。
    けっこう面白いよ。少々シニカルだけどそこが良い。

  • チェコの国民的作家カレル・チャペックのエッセイ集。
    100年以上前に生まれた作家のエッセイですが、いま読んでも古さを全然感じさせません。
    視点が鋭くユーモアに満ちていて、「なるほど」と思わせること請け合いです。

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著者プロフィール

一八九〇年、東ボヘミア(現在のチェコ)の小さな町マレー・スヴァトニョヴィツェで生まれる。十五歳頃から散文や詩の創作を発表し、プラハのカレル大学で哲学を学ぶ。一九二一年、「人民新聞」に入社。チェコ「第一共和国」時代の文壇・言論界で活躍した。著書に『ロボット』『山椒魚戦争』『ダーシェンカ』など多数。三八年、プラハで死去。兄ヨゼフは特異な画家・詩人として知られ、カレルの生涯の協力者であった。

「2020年 『ロボット RUR』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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