- Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791774425
作品紹介・あらすじ
1994年生まれの気鋭の書評家による、初の自伝的エッセイ集。
昨日、明日、明後日、そして、その先もずっと――本とともに生きる。幼かったときの言葉の記憶、地元・高知との距離感、京都で過ごした青春時代、東京で働きながら文章を書く日々。同世代の誰よりもたくさん本を読むこと。書くことと誰かの孤独に寄り添うこと。全篇書き下ろし。挿絵・ながしまひろみ
感想・レビュー・書評
-
自分の過去を振り返って、自分が大切にしていること、自分だけのパワースポットに思いを馳せることはとても素敵なことだと思います。
なぜなら、自分が負けそうになったり、孤独を感じたときに、そこに心が帰れば勇気を持ってリセットができるから、
著者の三宅さんは「強い言葉」を敏感に警戒する様子。
読んでいるとその理由も分かります。
「人より前に出る、人より優位に立つ」ことよりも、「自分の大切にしていること、自分の言葉」を大切にしているようです。
故郷である高知への想い、たくさん学んだ京都への想い、そして方言を含めて自分が大切にしている言葉が綴られています。
中に書かれているように、自分がひとりだから、誰かの言葉を読むのが好きだ、その言葉を通して他者を理解したいと思う。 という一節が印象的で大好きです。
今まで「エッセイで他人の独り言じゃん!」って思っていましたが、こうしてその言葉のひとつひとつの存在を感じ、掬うことが心の励みになる。
「言葉が好きになる、自分の生き方が好きになる、他者を認めなくなる」そんなことが拾い集められる一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんとなくタイトルに魅かれて。
読んでると、そういう解釈もあるのかと光が射す感じだった。
地方といっても、地方都市だと確かにチェーン店とかあって都会と何ら変わらない。
地方で育っても、都会で育っても多分この方は変わらないと思う。
今現在私も、地方で生まれ東京で育ち、今はまた地方都市に住んでて、やってる事一緒だなって。
そんなもんかなって丁度思っていた。
著者はまだお若いので、これからも注目してみたい。 -
三宅さんのエッセイということで読んで見たけれど、うーん若さ故かまだエッセイを書くほど熟してないなと感じてしまった。
ピアノを習っていた人がみる怖い夢の話には笑ってしまった、同じです。
四国でもJRのことを汽車っていううんですね。 -
四国出身で、大学は京都で、最初の就職先は東京
同じ場所で育ち、同じ時代をいきる三宅さんの言葉はなんとも心地よくむず痒い
同じ四国でも愛媛県八幡浜市という田舎だと、イオンはない。いや、いまはあるのかもしれないが当時はフジしかなかった
イオンに限らず、フジも地元の本屋も横に長い
いくらでも時間を潰せるのは地元の図書館であり、フジのマクドであり、みんないるのはジョイフルだ
ちなみに私の生まれは福岡だ。だから地元がどこかといわれるといつも困る。。かえれる地元がある人がうらやましい -
読んだあとに頭がグルグル回って止まらないのは、この本を読むことで記憶が溢れ出てきたからか。生まれた場所も、生い立ちも違うのに。
解像度高くオルタナティブ自分を夢想できたり、読んだ後ずっとその本に引きずられる感覚を抱く本が好きなので、ドンピシャに良いエッセイだった。
「誰かの地元の話を聞くのが好きだ」と、書いてくれているから、じゃあ自分も、と心置きなく振り返れるのかもしれない。ていうかそう、やっぱり聞きたいし話したいんだよね、忘れかけてたけど。
ラスト2篇「本という他者」「ロールパンナちゃんの孤独」で、本を通じて自分の気持ちを言葉にできるようになってく素晴らしさをこれ以上なく言葉にしていて、もう首を縦に振りまくり。
「必要のないありあまる余白を持て余す」贅沢な時間の真っ只中に読んだこの本を、いつか読み返すとき、何を思い出すのだろう。 -
地元、京都、読書の三本柱からなるエッセイ。ほぼ同年代の方で感覚が分かる部分もそこそこあって面白かった。
・地元編:旅行先でもイオンに行き、そこに本屋があるという事実を確認するのが好き、という感覚はなんとなく分かる。どことない安心感がある。
・京都編:鴨川や大学が寛容な場所だったと振り返ることができることもよいなと思う。鴨川のような「誰にも管理されていないのんびりとした場所」と思える場所がいくつかあれば、心理的安全を確保できるのだと思う。自分の中でも振り返ってみるとあるのだろうと思うけど、いくつか持っておきたい。
・読書編:『ノルウェイの森』を読み返したときの風景など過去の記憶まで読んでいる感覚は共感する。ページの「行間から、過去の香りと、なぜか未来の記憶まで、漂ってくるように感じる」という感覚の心地よさはとても好きなので、そういう体験も増やしていきたい。
最後の「ロールパンナちゃんの孤独」では、最善の策として自分で孤独を選んで谷底で暮らしているというこんな設定のキャラクターが子ども向けアニメに登場していたのか、、と再認識した。「あなたの孤独を知るとき、私は、少しだけこの世が愛おしいものだと知る。あなたの孤独の先に、言葉があるのだと思っている」(p.189)という考えに着地するが、これを引き出すロールパンナちゃんというキャラクターのすごさもまた分かった。来年の朝ドラで触れるには細かい話だけど、静かに印象付けられた感覚があるのでちょっと気になる。 -
同年代でニコラの話とかうわーってなった。春の歌のエッセイが漫画みたいで印象的でよかった〜鴨川のハーゲンダッツのエピソードも青春でよかった〜