- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794220196
作品紹介・あらすじ
隕石衝突、地殻変動、気候激変、絶滅と進化──生物たちの命運を分けた事件とは。謎とドラマに満ちた壮大な進化劇を巧みな語り口で一気に読ませる決定版・生命史。
感想・レビュー・書評
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久々に上下巻ある本の下巻まで読んだ。
古生物学の著作を読んだのは本書がはじめてだが、、おもしろい。
今この瞬間にも失われつつある証拠を調べ、物語を綴る。
理系分野でありながら歴史学に近いそこには、
安易な言葉を使えば「ロマンがある」。
証拠を探す、そのひと堀りが今まで積み上げてきた説明をすべてひっくり返すかもしれない。
事実は小説よりも奇なり、「オッカムのかみそり」はこの分野には存在しない。
また、どんなにがんばっても証拠の見つからない完全犯罪もある。
事実は永遠に闇の中かもしれない、
でもがんばれば、今なら証拠を手に入れられるかもしれない。
そこにわくわくするものがある。
そのわくわくを、本書は十分に伝えてくれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リチャード・フォーティ「生命40億年全史(上)」読了。およそ38億年前に誕生した地球の生命の歴史が紐解かれた経緯を丁寧にかつユーモアを交え語られるところにフォーティの奥深さを見出す事ができ楽しく思った。単細胞から多細胞への移り変わり、シアノバクテリアの大気への影響等僅かな化石の証拠から突き止める古生物学者の胆力に敬意を感じた。
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物語というほどドラマティックではないが、教科書というほど堅苦しいわけでもなく。
注目されることが多い地球の誕生や、多様な生態系が登場するカンブリア紀の詳細はもちろん、以降のあまり語られない、現代と見間違えるような海洋生物が登場するオルドビス紀、生物が陸上に進出し始めるシルル紀、背骨とあごをそなえた魚が登場してから陸上にその住処を広げていくデボン紀まで。
時に筆者の体験や、発見に寄与した科学者たちの紹介を交えつつ、軽妙で読みやすく解説される。
全史というタイトルであるからには偉大な深淵が暴かれることを期待してしまうが、本書においてさえ、地質時代区分間の数億年の空白や、氷河期の原因、動物の指が5本である理由は分からない。
だが、シアノバクテリア、ストロマトライト、超好熱性化学合成無機独立栄養生物など、ここ数十年の間で明らかになった歴史の真実は、過去生命が誕生してから40億年の中で一番であろうということは理解できる。
地球を探検するには遅すぎ、宇宙を探索するには早過ぎる時代だが、過去の地球と進化の秘密を探求するには、これ以上の時代はないのかもしれない。 -
あー面白かった! すぐ下巻に進みます!
それなりに詳しいつもりでいたんですが、ぜーんぜん古い知識でした!
昔、学校で習ったことなんてなーんにも信用できないんですね。まだまだ続く! -
とっても読みやすい。生命の歴史をもちろん俯瞰できるのであるが、まるで著者のドキュメンタリーを見ているよう。ただ知識の羅列ではなく、知の愉しみ、発見の喜び、探索の旅でこんなことがあった・・・などなど、読んでいて面白い。
かつ、知識を与えるところでも、無味乾燥な文章に終始しない。回りくどいけれども、なぜそうなっているのかということの解説を忘れない。もちろん「ホモ・サピエンス」の感覚に陥るので正確ではないかもしれないが、なかなかよく考えてみればそうかもしれない、と思わせること請け合いである。
読み物としても面白いと思われる。 -
10年前に単行本を買って、途中辞めになっていたもの。文庫本化に当って、再チャレンジするのではなく、知らずに買ってしまったのだ。
生命の歴史と筆者をはじめとする研究者の生活が並行的に語られていて、なかなか面白い。 -
カンブリア!
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生命の歴史。40億年を一気に説明してくれる大作。
上巻は地球の誕生から、生命大爆発のカンブリア紀ぐらいまで。
生命40億年の歴史のうち、35億年ぐらい一気に進む上巻なんですが、まぁ一言で言えば地味ですね。
単純な時間の長さで言えば、生命の歴史の大半は地味ということ。
地味だなんて言っちゃいけないぜ!ということをひたすらに語ってくれるのがこの本なんですが、
わかっちゃいるけど、やっぱ地味でした。大半目に見えない世界だし。
目に見える生き物たちの織りなす物語、的なものばかりを想像してると多分上巻はだいぶ退屈。
カンブリア紀になると三葉虫とか、知ってるのも出てくるし、
下巻入ると一気に派手になるので、恐竜とかね、
なのでそちらを期待する人はがんばって上巻を読みきったら良いと思う。
個人的には宇宙の話はよく読むからそっちとつなげてあれこれ空想すると前半からけっこう楽しかった。
エディアカラ動物群とか名前は聞いたことあったけど、地質年代的にどういう意味を持つのかとか大半のことはまったく知らなかったのでそれを知れたのも面白かった。
地質年代的な意味とかあれやこれの生物群の関係性がどういう事実にあるのか、ということそれ自体よりもそういった事実が明らかになるにつれて歴史の解釈がどう変わってきたのかとか、発見された事実がどう受け止められてきたのか、というアカデミズム界の動きも含めたところが面白い。
やはり歴史はただの事実なんかではなくて観測者というか解釈する人ありきなので、バランスよくそういう背景を書いてくれてるので楽しい本でした。