マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

制作 : Art Spiegelman  小野 耕世 
  • 晶文社
4.07
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本棚登録 : 107
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794923004

作品紹介・あらすじ

ポーランドの町々にカギ十字の旗が翻った。ごくふつうの暮らしをしていたユダヤ人たちは、その日からナチスの脅威にさらされていく。ゲットー。隠れ家。闇市。裏切り。収容所。死の恐怖。脱出行。…日々の営みの細部を丹念に掘り起こしつつ、奇跡的に生きのびた父の驚くべきライフ・ストーリーを等身大で描きだす。物語は、戦時下のヨーロッパと現在のニューヨークを行き来しながら展開する。老いた父との自らの葛藤を同時進行で織りこみ、作者はホロコーストの時代と自分たちの時代を互いに照らしだそうとする。世界で高い評価をうけている傑作コミックの待望の邦訳。

感想・レビュー・書評

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  • テッサ・モーリス=スズキの『過去は死なない』http://booklog.jp/users/utsu/archives/4000224417で取り上げられ、中沢啓治『はだしのゲン』と比較しながら検討されていた。ユダヤ人はネズミ、ドイツ人はネコ、ポーランド人はブタの姿で描く、という大胆な方法も話題となるところだが、作者の父による戦中の話と、作者と作者の父とのやりとり(家族というもののネガティブな側面大放出みたいな)とが交互に出てくるところもまた、ある種大胆。もっともこの行き来をモーリス=スズキは小林よしのりのゴー宣シリーズと「同様の手法」と説明するのだが。画風はべたが多く暗くてちょっと汚い感じの米国的なものだが絵はしっかりしていて、動物の顔で描かれても話自体は決してうわつかない。不条理な扱いをされる人が皆いかにもかわいそうで気の毒な人とは言いきれない感覚や、大変つらい思いをした人が他人のことを思いやる人になるとは限らないとか、まぁ読んで心地よいものでは決してないが、たぶんワタシはこの物語を今後何度も読むだろう。この巻はついにアウシュビッツに収容されるところまでだった。IIを読みたいところだが、現在版元品切。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「IIを読みたいところだが、」
      私は「消えたタワーの影のなかで」が読みたい。
      動物に擬しているのは、感情移入を拒むための方法なだけでしょう。...
      「IIを読みたいところだが、」
      私は「消えたタワーの影のなかで」が読みたい。
      動物に擬しているのは、感情移入を拒むための方法なだけでしょう。
      人に与える感銘の深さでは、引き合いに出されているマンガ?とは雲泥の差ですよね。
      2013/07/04
  • 余裕ある立場の人が,命がけの人を助ける.
    余裕がない立場の人は,家族をも売る.


    ユダヤ人はネズミ,ドイツ人はネコ,ポーランド人はブタと擬人化してあるので,人種の違いに疎い日本人にも分かりやすいし,辛い内容も和らぐ.

    アウシュビッツを生き延びた偏屈な父親と,それに付き合いきれない息子の関係性も話の重要な副題.

  • 歴史を、家族を、「正しく」語ることの難しさ。

  • 誰もただで他人のために命がけのことなんかしてくれるものか。
    ポーランドの母親たちはいつも「気を付けるのよ。ユダヤ人につかまると袋に入れられて食べられちゃうわよ」と子供たちに教えていた。

  • バンドデシネ、海外マンガには、日本では知られていないベストセラーが沢山あるみたい。これもその一冊のよう。
    ユダヤ人の大虐殺やアウシュビッツなどのナチ時代のことごとが、作者の父の思い出がたりという視点で淡々と語られて行く。画面が暗いのと、逃亡生活時代の極貧の生活のようすが図解入りでこと細かく述べられているため読了後はかるくナーバスになる。
    非常に陰惨な歴史物語なのだが、ユダヤ人はネズミ、ドイツ兵はネコ、ポーランド人がブタといったキャラ造形になっている。ネズミとネコの一方的な力関係に仮託した表現はうまいと思ったが、そのせいでかわいい雰囲気まであるからなおさら読後感がつらい。

    戦争ものの海外マンガでは、ほかにも「風が吹くとき」は非常にショックを受けた。(核実験に巻き込まれてしまった夫婦が死亡するまでの物語。)

  • これも80年代アメリカ漫画の金字塔のひとつ。帯の推薦文がウンベルト・エーコってだけでなんだかすごい。
    ナチスドイツ占領下のポーランドにおけるユダヤ人の物語。作者本人が、父親の体験を取材するという形で物語が進行していく。日に日に悪化していくユダヤ人迫害の状況が父の回想として語られると同時に、それが現代の父(そしてその周りの人々)に落とす影も描写していく。
    特徴的なのは、人物がすべて動物として描かれていること(頭部だけ動物で首から下は人間の、ますむらひろしの作品をイメージしてもらえればいい)。どんな動物であるかは、民族によって明確に区別されている。ユダヤ人はネズミ、ドイツ人はネコ、ポーランド人はブタ、という具合に。ユダヤ人迫害を取り扱うことから、このどの種に属しているかという点が極めて重要になる。ユダヤ人がポーランド人のふりをするときには、彼らはブタのお面をかぶるった姿で描かれる。実際にはどの民族かを外見で判断することは当の本人たちにも難しい。しかし、その民族というものが絶対に超えられない壁であり、その壁のこちら側かむこう側かで運命さえも左右してしまう。このことを、民族による動物の描き分けがよく象徴している。
    第1部は主人公である父がアウシュビッツへ送られるところまで。第2部ではアウシュビッツでの生活が描かれることになるんだろう。

  • 2012/07/14
    from library

  • アイガー北壁モノを読んでいるとき、関連情報を補足するため手に取りました。漫画なので短時間でさらっと読めますし、動物キャラで擬態化されているため、一部分ある深刻な事実も無理なく読めます。評判通りです。

  • ただただ怖かった ということしか覚えていない

  • 図書館で偶然見つけたので。形式は漫画だけど、扱ってる内容は戦争中のことです。戦争が終わっても何もかも上手くいってるわけじゃなくて、それが悲しい。

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