- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794927361
感想・レビュー・書評
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迷探偵ロジャー・シェリンガムの長編3作目▲ウィッチフォード事件の解決で名を挙げ《クーリア》紙の編集長から特派員としてハンプシャーの転落死事件への出張取材を依頼された。スコットランド・ヤードの名刑事モースビー警部が捜査していると言うのだ▼従弟のアントニイを間抜けな助手役に探偵を開始、被害者の従妹と知り合いになり懐深く入り込みます。警部とも情報をやり取りしプロフェッショナルの手際まで見せてもらいます。アマとプロの競演は、どのような決着が着くのか、不自然なくワクワクしながら読み終えました。面白い。(1927年)
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なるほどこれはおもしろい。ひっくり返すとみせてまたひっくり返す。モーズビー警部とわれらがロジャーシェリンガムの虚々実々の攻防。凡庸な警官と切れ者の名探偵というステレオタイプへのアンチテーゼというところに皮肉が効いている。ただ、シェリンガムの突飛な思いつきによる暴走はここ数編読んでいるとお定まりなので、読んでいてまたドジ踏むのだなと予想はつく。しかし限られた登場人物でうまいこと話をもっていくものだ。さしものシェリンガムも今回は人を食ったモーズビー警部にやられっぱなしというところが笑える。もうちょっと広く知られてもいい佳作だと思うな。
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ロジャー・シェリンガム・シリーズ。
著者らしいユーモアミステリ。
ロジャーとモーズビーの会話が面白い、というか、ロジャーは何をしてても面白い。愛すべき迷探偵。
最終章のモーズビーの台詞は非常に印象深い。探偵・ミステリに対する皮肉を込めた名台詞。
もはや物語の内容が気にならないほど、ロジャー・シェリンガムが好きになりました。 -
面白い!ユーモア作家を謳うだけに作風もそんなに堅苦しくなく、かといってあの古きよき黄金時代のミステリー譚を崩さない謎解き!
個人的にはシェリンガムのキャラクターを好きになれないまま読了したけど、バークリーの謎解きに惚れた。他作品も読んでみたい! -
ロジャー・シェリンガムシリーズの3冊目です。
本書でもロジャーは見事にやってくれています。
ロジャーはクーリア紙の編集長からラドマス湾で起きた転落死事件の取材を依頼され、特派員として現地へ向かいます。
断崖の下で発見された女性の死体は当初、散歩中に誤って転落したものと見られていましたが、その手が握りしめていたボタンから俄然、殺人事件の疑いが浮上します。
ロジャーは自ら発見した手がかりから精緻な推理を展開し、スコットランドヤードの名刑事モーズビー刑部と推理を競い合います。
事件解決を宣言するロジャーですが、その後、第2の事件が起きてしまいます。
ロジャー・シェリンガムシリーズを読んできた者としましては、途中で犯人も本書の趣向も完全に分かってしまいましたが、それでもキャラクター達のユーモア溢れる会話等のおかげで最後まで楽しく読めました。
独創的な殺人のトリックをダミーの解決にして、あえてミステリを批判するような解決を持ってきているのにはバークリーらしさを感じました。
そういった意味ではこの本はある意味一種のメタミステリではないかと思います。 -
ラドマスでの女性の崖転落事故に、モーズビー警部が乗り出したと知り、これは事件にちがいないと現地取材に向かったシェリンガムと、休暇ついでに同行した従弟のアントニィ。
楽しかった。精力的で自信満々のアマチュア探偵ロジャーと惚れっぽくて単純な愛すべき相棒アントニィ、という、いかにも探偵小説なコンビと同時に、多くを語らない捜査のプロ・モーズビー警部につきまとい空回りするアマチュア探偵ロジャー、という2つの方向で楽しませてもらえる。 -
おしゃべりな探偵、ロジャー・シェリンガムの一挙一動全てが愛おしい。
全ての会話がウィットに富んでいて、魅力的なキャラクター達が物語を舞台俳優のように『演じて』くれているのを観客として観ている気分になれます。
が、この魅力的なキャラクター達ってのが曲者。
文章の向こう側で作者が「ほら、君たちが考えている探偵小説の登場キャラクターって、こういうの想像してたでしょ? ほら、探偵はこうでしょ? 助手役は間抜けじゃないとね? 牧師はこうでしょ?」とニヤニヤ笑いながら『典型的なキャラ』として描いているのが見え見えで。
このキャラ造形に惑わされて、読み進めるほどに登場人物全員が道化役のように感じられてくる。
そして最終的には読者までもが道化役として作者の手の上で踊らされていたのだ! と気づいたときには作者の見事な背負い投げが決まっていた感。ああ、バークリー、面白いよ。
あと、表紙デザインがステキです。いかにも洋書ペーパーバックっぽい。こういうの好き。 -
おもしろい!アントニイ・ バークリーの作品を読み始めた記念すべき一冊目。
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ロジャー・シェリンガム・シリーズ
船橋図書館 -
読了! お、面白かった。☆4・5点。
アントニー・バークレーは三冊読みましたが、これが一番好きです。人物の使い方が上手く結末まで気持ちよく持っていってくれます。
読み終わって「面白かった!」と言えるのは、ひとえにキャラクターの魅力につきます。 -
ロジャーもの3作目。『毒入りチョコレート事件』への道筋が見えてきた!
シリーズキャラクターのモーズビー警部初登場。ロジャーと警部は捜査をめぐるかけひきをくりひろげる。…かに見えるが、最後まで読むと、その「かけひき」がまったく違う意味を持ってくるのがおもしろい。犯人こそ途中でわかったが、意外性だけが売りのミステリではないと思う。少なくとも前2作よりずっと楽しめた。
ラストに探偵小説というものに対する手厳しいコメントがあるが、明らかにその批判の対象となるロジャー直近の事件も俎上に上げてくれたら、また楽しかったのにと思う。 -
はじめて読んだシェリンガムもの。なんという新鮮なオチ。本当の新しさとはこういうことを言うんだな。今やったら叩かれて終わりな気がする
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バークリーにしては標準作。事件自体はシンプル(というか地味)だし、手がかりもオーソドックス。それでも飽きないで読めるのは終始続けられる登場人物たちのユーモア溢れるおしゃべりのおかげかな。
真相自体はある種の人たちにとっては見え見えだろう。自分は全く分かってなかったけど。ただ、この趣向が後期のとある作品への一種の踏み台になったのではないかと考えることもできる。