ルールズ・オブ・プレイ(上) ゲームデザインの基礎
- ソフトバンククリエイティブ (2011年1月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (648ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797334050
作品紹介・あらすじ
どうして人はゲームで遊ぶのか?いったい何が意味ある遊びを生み出しているのか?すべてはよりよいゲームを作るために。ゲームデザインの観点から、ゲームとその遊びを知り尽くす。
感想・レビュー・書評
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ゲームとは何かを説明したあと、どのようにゲームを作るかを実際に行われているゲームデザイン演習を例にして説明している。
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【書誌情報】
『ルールズ・オブ・プレイ(上)ゲームデザインの基礎』
原題:Rules of Play
著者:Katie Salen
著者:Eric Zimmerman
訳者:山本 貴光
定価:4,840円(本体4,400円+税10%)
ISBN:978-4-7973-3405-0
サイズ:A5
ページ数:648
巻次:1
発行日:2011年01月26日(水)
「意味ある遊び」「デザイン」「システム」「インタラクティヴィティ」といったさまざまな観点からゲームやゲームデザインについて考察する。本書を通じてゲームの理解に役立つ批評の道具を習得できるようになる。ゲームに興味をもつすべての人に必携の一冊。
〈https://www.sbcr.jp/product/4797334053/〉
【簡易目次】
第1章 この本について
第2章 デザインの進め方
ユニット1:核となる概念
第3章 意味ある遊び`
第4章 デザイン
第5章 システム
第6章 インタラクティヴィティ
第7章 ゲームを定義する
第8章 ディジタルゲームを定義する
第9章 魔法円
第10章 主要図式
ユニット2:ルール
第11章 ルールを定義する
第12章 三つの水準のルール
第13章 ディジタルゲームのルール
第14章 創発システムとしてのゲーム
第15章 不確かさのシステムとしてのゲーム
第16章 情報理論システムとしてのゲーム
第17章 情報システムとしてのゲーム
第18章 サイバネティックシステムとしてのゲーム
第19章 ゲーム理論としてのゲーム
第20章 対立のシステムとしてのゲーム
第21章 ルールを破るということ -
この本のように様々な視点からゲームを読み解き、体系的にされるると日本のゲームが追い越されたのも納得がいく。これからよりゲームが発展、広がって行く上で、感覚ではなく知識としてもしっかり身につけておく必要があると感じた。
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事例が豊富なのだが、それでも哲学的と言いたくなるくらい抽象的な概念説明を貫いている。
感覚的には当たり前に思えることがこれでもかと言語化されている労作。この言語化が大事。
リファレンス的であり、何か特定のターゲットやノウハウがある本では無い。貸出期限もあり、かなりの流し読み。 -
レビューっぽいことを書いておく→まあまあ面白い。驚きの発見とかはない。いろんな専門領域を横断して学際的に研究してて、「頑張って書きましたねー」って感想。ゲーム作る人には有用かも。
幅広い「学問領域カタログ」みたいになってるので分厚いけど、それらについて何らかの知識があればガンガン読み飛ばせばよくて、そうするとちらほら面白い記述がある。でも体感的には300頁の本くらいの感じ。実際には600頁だけど。
批評の言葉を鍛える。→検閲や規制からの擁護。
ゲームとは、プレイヤーがルールで決められた人工的な対立に参加するシステムであり、そこから定量化できる結果が生じる。
ルールはプレイヤーの行動を制限する。
ルールは明確で曖昧さがない。
ルールはすべてのプレイヤーに共有される。
ルールは固定されている。
ルールは拘束する。
ルールは繰り返される。
→ゲームは「ルール」の自明性の外に出ない。たとえそれが十分に「複雑」であったとしても。ルール自体を書きかえるようなメタルール、メタゲームを考えていきたい。
魔法円(ゲームの内と外を隔てる結界)は壊れやすい。プレイヤーは信用を失ったゲームから去る。たぶん、ゲームが、絶対に対等な遊び場を提供することはない。だがそれでも、ゲームは、公平さと平等というまさに現実の考え方を前提しているのだ。こうした争いが、ゲームに活力を与えるものの一部なのである。
ルールを破ること
「劣化戦略」とは必勝法やハメ技のこと。
織り込まれた違反ープロスポーツの場合
織り込まれたごまかしー「イルミナティ」
ゲームデザイン練習としてのルール破り
→うまくルールを破るには、ルールについての本質的な知識が必要。つまり想像的にルールを破るプレイヤーは「ゲームデザイナー」なのだ。 -
この本は実に多くの有益な情報が記された本ですが、この本が真に役立つようになるのは、多くのゲーム開発者が読んだ後だと考えます。
副題にもあるように、本書はゲームデザインの基礎を記した本です。ここでの基礎とは、「ゲームデザインを議論する上で有益な用語やフレームワークを多く提示してくれる」ということであり、決して何かの答えや超実践的ノウハウが書いてあるわけではありません。
それを念頭においた上で読めば、価格に見合う、そしてそれ以上の価値が見いだせることと思います。 -
ゲームを作る人には良書なのかも。人間はなぜゲームするのか?を知りたくて手にとった自分には難しかった
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ゲームデザインに関する理論を網羅的に記した良著。
ゲームを3つの図式から捉える。「ルール」「遊び」「文化」。これらの図式=スキーマは、ゲームデザインに関する研究に一般的な方法を提供するだけではなく、デザイン全般を理解する手段も表している。
ルール: デザインされたシステムの構造
遊び: そのシステムに触れた人に生じる経験
文化: そのシステムに関わり、そのシステムによって生じる、より広いコンテクスト
ゲームデザインの基礎は「繰り返しのデザイン」。遊びを主な手がかりとするデザインの進め方。play test と prototype に重きを置いて、開発しているゲームで遊んで感じたことから、デザイン上の決定を下す方法。この繰り返しによる方法では、プロセスのできるだけ早い段階で、ゲームの原則的なルールや核となるメカニクスを設定することから手を付ける。
開発スケジュールの20%が経過するまでに試作品ができて遊ぶべき。(逆に言えば、試作品が出来るまでの4倍の時間をプレイテストと改善に当てなければ優れたゲームは生まれない。) -
一言でいうならこれは「ずるい本」である。 そのむかし苦労して読んだホイジンガ『ホモ・ルーデンス』が一言で簡潔にまとめられており、その後の議論も俯瞰できる。なんと一石二鳥の書物か。ゲーム理論家にとっては下巻の邦訳が待たれるところである。