青い花の下には秘密が埋まっている 四季島植物園のしずかな事件簿 (宝島社文庫)
- 宝島社 (2020年8月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800298409
作品紹介・あらすじ
『魔法使いのハーブティー』『招き猫神社のテンテコ舞いな日々』の有間カオルの最新作!
花が大嫌いなのに植物園勤務になってしまった主人公が、植物園で巻き起こる不思議な事件を通して、風変わりな人々との交流を深めていく日常を描いたハートフルミステリー。
感想・レビュー・書評
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お仕事小説なのかミステリーなのか、どっちつかずでどっちもにも慣れてない中途半端な感じ。主人公の立ち位置があいまいなせいか、登場人物がみんな中途半端な感じに見えてしまう。植物嫌いが植物園に勤務って設定にこだわりすぎて失敗してる感じかな。
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地方公務員試験に合格して幸いな事に就職も勝ち取った主人公の勤め先が植物園
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植物園、いいなぁ〜、と手に取った。
四季の花咲き乱れる植物園の中、暇な売店。合間に植物の勉強。
上司はゆるく優しく、公務員として安定したお給料。
いいなっ!こんな職場で働きたい!!
・・・と思うのだが、植物が嫌い、というかむしろ天敵な、花澤咲良(はなざわ さくら)にとって、植物園への配属は衝撃的な人事だった。
鬱蒼とした緑を抜けて、目の前にひらけた花園を咲良と共に見た読者はきっと驚く。
人は「言葉」を持っているのに、上手く思いを伝えられない。
なのに、言葉を持たないはずの植物は、コミュニケーションの手段に使われたりする。
誰もが知るのは「花言葉」だが、この作品では、それ以外にも、意外な形で謎解きに使われる。
咲良が子供の頃から抱えた「植物」への負の気持ちは、亡き母への思いへと遡る。
社会人になって、あらためて過去を検証する機会を得て、子供の頃の哀しい思い込みに気づいた。
幼い誤解からの解放は、まだお尻に卵の殻をくっ付けていた咲良の、本当の大人への脱皮だったと思う。
タイトルが、どちらがタイトルで、サブタイトルなのか迷った。
というか、シリーズ名?
島津さんが気になる。
島津さんや宇喜多さんの視点での物語も読んでみたいものだ。 -
見事念願の公務員になったはいいものの
配属先は、嫌いな花がある植物園。
喜んだのもつかの間、な状態ですが
仕事だから、と頑張る主人公。
しかし、仕事はなさそうな環境です…。
来園者との話や、花に関する謎解き。
そして最後には『嫌い』の理由が綺麗になるわけですが
認識の違いは大変だな、と。
連れて帰った花、綺麗に咲くといいのですが。 -
時間がゆっくり流れ気持ちが温かくなった。他の作品も読んでみたい。
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早く自立したいため高校卒業後すぐに公務員になったが、花嫌いなのに配属先が植物園だった花澤咲良のお話
職場の上司は植物大好き人間の宇喜多、そしてマスコットキャラ的な九官鳥の風月(愛称:ふーちゃん)
花嫌いの咲良と公園の関係者達が織りなすヒューマンドラマ
若干の日常の謎要素もあり
・入院している母親に花をあげたい小学生女子
・柱に毎日違う植物が飾られる謎
・咲良が植物を嫌いだという理由
・父親が咲良に見せたいもの
日常の謎っぽいのは毎日柱に飾られる植物で、他のは日常の謎っぽくないかな
飾られている植物の意図も、真相を知った後でもかなり捻られていると思える
元から知っている人じゃないとわかんないんじゃないかなぁとも思うけど、それを含めて「誰が?」というヒントにもなっているからなぁ
それよりも、気になった謎としてふーちゃんにことわざを誰が覚えさせたのか?
本文では謎として提示されていないし、答えは書いていないけど、やっぱり植物園を気にかけてる登場人物というと消去法で決まってしまう気がする
もしくは、何か他の裏設定でもあるんだろうか?
物語全体の謎として、咲良はなぜ花嫌いなのか?というのがテーマで
母親を亡くしたのと関係あるんだろうなぁというのが序盤から小出しにされている
読み終わってしまえば、さもありなんと思える
子供の頃の印象と大人になってからの感覚では、風習の捉え方も変わりますよね
まぁ、働いているとは言っても咲良はまだ未成年ですけど
そう言えば、有間さんの小説って未成年が仕事をする話が多くないか?
太陽のあくび、魔法使いのハーブティー、アルケミストの不思議な家 等々
作中で一番好きなエピソードは、青いバラの花言葉が変わったというやつ
青いバラの花言葉は、昔は「不可能」だったけど、実際に作られた事で「希望」や「奇跡」という意味に変わったいうのは好き
何で青いバラができなかったかというと
バラは青色の色素を持たないので、いくら他の色素を抜いても青にならなかったわけで
なぜできたのかというと、遺伝子操作で青色色素のデルフィニジンを作る遺伝子を組み込んだからなんだよね
これの何がすごいかというと、青色発光ダイオードの発明がノーベル賞級だったように
バラに三原色が揃ったので、多様な色のバラを生み出すことができるようになったところ
そして次の課題は黒バラという段階になっているのは興味深い
今のところ、完全な黒バラはできてないけど、赤みがかった黒までは実現できているんだっけか?
いやぁー、昔はできなかった事ができるようになるという科学の素晴らしさですね
作中でも登場したキーとなる植物ですけど、高原でしか生息できないとされているものの、あの人ならなんとかしちゃうんじゃないかという期待感もありますよね -
タイトルの通り、静かめな事件を解決していくお話でした。タイトルに「事件簿」と書いてあるからミステリーだと思って読んだので、少し物足りなく感じてしまいました。
はじめ、主人公の咲良ちゃんのことをなかなか好きになれなくて、物語にあまり集中できなかったのですが、第2章の途中あたりからは慣れたからか、もしくは咲良ちゃんの一生懸命植物の勉強をする姿を見たからか、スルスル読めるようになりました。あらすじを見て分かる通り、ものすごく努力家なんですよね。だから応援したくなっていました。
上司の宇喜多さんや島津さんのことも気になったのに、深いところまでは掘り下げられなかったのがちょっぴり残念ですね…。
また、誤字が多かったので、せっかく集中できても一瞬で現実に引き戻されてしまったので、そこも残念でした。誤字が多すぎて、「もしかして間違いだと思っている私が間違えてる…?」と考えたりしてしまいました。
知らない植物の名前がたくさん出てきたので、スマホで調べながら読んでいました。見たことのある植物や、本当に初めて見る植物など、いろいろなことを知れたのは楽しかったです。綺麗な花をたくさん見れたので、癒されながら読めました。