夏の塩 (SHY NOVELS 233)

著者 :
  • 大洋図書
4.58
  • (200)
  • (59)
  • (24)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 911
感想 : 72
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813012016

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 順番間違えたけど私にはそれがよかったみたい
    結末知らなかったら塩の中盤あたりまでのギスギス感で投げ出していた可能性がある

    日下部先生は魚住くんの持つ深い負のオーラに巻き込まれちゃった人なんだなあ・・
    マリさんが言っていたまんまだった。

    夏の子供の方でも名前がよく出たさちのちゃん、
    父親がキャリア持ちでそこから母子感染ってことなのか。
    さちのちゃんの話では泣いた、葉書の破壊力。
    ツライ

  • (´・ω・`) ネタバレアリ〼

    上下巻であることを知らずに、先に夏の子供を途中まで読んでしまいました。だからさちのちゃんが亡くなることも知っていたし、二人が晴れて結ばれる場面も読んでしまっていました。

    だけどそれでも、とても心に響きました。魚住の置かれていた環境、マリやサリーム、濱田さんがどういった存在で、久留米がどれほど魚住のことを大切に思っているか。幸福をうまく感じられずに生きてきた魚住が、彼らと過ごす中でやっと人間らしくなっていく様子。

    BLという、人によっては抵抗を感じてしまうジャンルで括られるのは、とてももったいないと思いました。ページを繰る手が止まらず、すごい早さで読み進めたので、BLと知って見守っていた同居人は多分引いていたと思う。でも、こんなに純粋な愛(恋愛、友愛、親愛)の話なのに。同性で愛し合うことの何がいけないんだろうと、少しかなしくなります。

    そしてそんなBL要素ですが、魚住と久留米のそういうシーンはとにかく甘い。同性ゆえの、あと一歩踏み出せない歯痒さが切なく、読んでいてこっちが恥ずかしくなって、ひとり頭を抱えながら読んでいました。すごく好きでした。

    これから、改めて夏の子供を最初から読もうと思います。

  • 2016.6.17 読了

    大好きな小説になった。
    魚住と久留米をひたすら見守りたくなる。
    ストーリーに厚みがあって、すべての登場人物の人となりや感情が緻密に表現されている。
    どんどん読み進めたいけど、読み終わりたくなくて、大切に1ページ1ページを読み進めたくなる。

    再読必至

    2017.1.22 再読
    2017-4

  • 久留米のアパートに居候してきた味覚障害のある魚住。なぜ分譲マンションに住んでいるのに居候してきたのか。味覚障害の原因はなんなのか。ぼんやりした魚住の様子からはうかがい知れない。
    ある日、久留米の汗を舐めて塩味を感じる。

    久留米と暮らすことで味覚を取り戻し、壮絶な不幸な過去を淡々として生きてきた魚住が徐々に感情を持っていく。久留米に恋すること、そして仲良しになった少女を眼の前で失ったショックでリスカする。それほど感情が出てきてしまう。
    痛いけれど、もどかしいけれど、いい話。

  • 10年ほど前、大学生の時に読んだものがハードカバーで出ていた。再び手に取った。

    うまく生きていけないけど、生きていると、まわりの人と心を通わすことができる。

  • 全体を通して人物がとても魅力的でした。BL小説では蔑ろにされがちな女性陣も、この小説の中ではキャラが立っていて凄く素敵でした(マリちゃん大好きです)。スピンオフのような形でそれぞれの人物に焦点を当てた話もその人物の成長が感じられて面白かったですね。
    いろいろと問題を抱えた魚住と不器用過ぎる久留米との話ではあるのですが、この2人の恋愛を通してそれぞれの人物がどのように大人になっていくのか、正直BL小説という括りだけでは勿体ない気しかしないです。

  • 魚住真澄はいろいろあって味覚障害。しかし、大学時代の友人、久留米充の家に転がり込んでから、徐々に変化していって――。

    ****

    なんやかんやでBL商業小説を読むのは、ほとんど初めてじゃないかなあ。漫画のスピンオフとかは割と読んでるんですけどね。とにかく、繊細な描写やキャラクターの魅力、脇キャラたちのお話、いろいろ絡み合って綺麗な世界を覗きこめました。綺麗かどうかは主観になっちゃいますけど。
    もちろん、魚住くんが儚げで不安定で面白い子なのも、久留米が大雑把で気にしない性格なのもいいんです。でも、わたしが一番「うわーこんな人いたら楽しい! 友達になってみたい!」と感じたのは、マリさんです!!
    あんなにカッコイイ人はなかなかいませんね。考え方もハッキリしていて、すっごく好みです。振り回される方は大変かもしれませんが……ハッキリしない方が苦手なので、すぱーっとしたマリさんにベタ惚れでした(笑)

    しかし、ちゃんとBLとしても胸がきゅっとなる要素満載の「夏の塩」。ぜひぜひ春夏秋冬問わず読んで見て欲しいです。

  • ハードカバーの装丁がとても綺麗。
    大雑把でヘビースモーカーな一社会人である久留米と、美しいけれど生活力ゼロな魚住の、スローテンポな愛のお話。
    ふたりの他にも、近所に住むインド人留学生サリームや、魚住の友人で放浪癖のあるマリ、魚住の上司である微あて馬な濱田など、まるでこの日本のどこかで本当に呼吸をしていそうな生きた人物が存在する。
    本が離せなくなってしまうような流麗でやさしい文章が脈々と流れている。最後のページまで言っても、まだまだずっとかれらの日常を覗きたいと思えるような、余韻に浸れる小説。とてもすてき。

    哀しいほど暗い過去を持つ魚住と、それを無自覚ながら丸ごと受け入れてしまう久留米がすこしずつお互いに寄り添っていく様子が丁寧に描写されています。

    綺麗な文章にひとめぼれして以来、何回も読み返しています。続編の「夏の子供」と一緒に。

    俗にいうBL小説の中でもここまで洗練された文章力や安定した世界観、立った登場人物を持つ小説はめずらしいです。
    「こんなにすごい小説を書く方がいるのかあ」と思って作者さまを尋ねてみれば、これが榎田尤利さんのデビュー作と知って、信じられない気持ちになりました。まさしく文壇の鬼才と言うべきでしょうか。

  • 読んだ後一番に思うのは、主人公を含め、登場人物が皆愛しい。そう思えるのはきちんとそれぞれの抱えるものが細やかに書き込まれているからだなと思います。取り上げている題材は表面だけでは理解できない重たいものばかり。でも物語全体は読んでいてとてもあたたかいです。読んで本当に良かったと思えるお話でした。

  • ずっと寝かせていた秘蔵っ子ですが、100冊の前に読もうと決意。魚住、久留米、マリ、サリームと出てくる人皆魅力的で愛おしい。途中まではある意味余裕ぶっこいて読んでいましたが、ラスト「メッセージ」で何度泣いたかわからない。ちょっと自分の経験と重なって、しんどかった。

全72件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

東京都出身。2000年、「魚住くん」シリーズ第1作となる『夏の塩』でデビュー。以降、多彩なテイストの魅力的なボーイズラブ作品を世に送り出している。代表作としては「交渉人」「漫画家」「Nez〔ネ〕」各シリーズなど多数。榎田ユウリ名義でも「宮廷神官物語」「カブキブ!」「妖き庵夜話」「死神」各シリーズなどを発表し、読者から熱い支持を得ている。

「2022年 『threesome』 で使われていた紹介文から引用しています。」

榎田尤利の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×