- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822241636
作品紹介・あらすじ
こう見れば日本美術が面白くなる!大胆不敵・奇想天外の新発見・新推理!雪舟=長嶋説から安井曾太郎前衛説まで俊英の鬼才の21世紀式日本美術鑑賞法。
感想・レビュー・書評
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高橋由一の見方とか楽しい。
読みたくなった本「名画読本・日本画編」(赤瀬川原平/カッパブックス)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
美術史家の山下裕二と、美術家の赤瀬川源平が、日本美術について対談した雑誌の連載をまとめた1冊だ。
扱われる作品は、縄文土器に石庭、雪舟から長谷川等伯、葛飾北斎、安井曾太郎など、古代から近代まで幅広く、著名どころばかり。
乱暴力、という独自のキーワードを1つのテーマにして、大学の先生がこんなことを言っても大丈夫なんだろうかと心配になるほど、自由奔放に好き放題、語り合っている。
正しい、正しくないはおいておいて、こういう日本美術の楽しみ方もあるよという気楽なスタンスがいい。
現在では、ヘタウマな日本美術、とか、カワイイ日本美術、という切り口も当たり前になり、歴史を考えない日本美術の鑑賞、という二人の考え方もそれほど珍しくは無いのかもしれないけれど、この本が刊行された当時には、アカデミックではない日本美術の見方と言うのは、結構面白いものだったのではないだろうか。 -
対談を読む、というのはあまりなかったので新鮮だった。
この二人の会話だと、美術もとても身近に、そこにあるものとして感じられる。
楽しく好きに見れば良いのだということと同時に、下地があるとより理解が深まるのだということの両方を教えられる。
しかし、ちょっと対談が短い。もう少し長く採録して欲しかった。 -
偉そうな解説ではなく,えっそうなん?的なノリで,グイグイ作品の,作者の魅力について語る.絵がそこに見えてくる.そして何より実際の絵を見ないとダメだというのには,共感した.
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その人の人となりや環境を鑑みて作品を観るのではなく、あくまでも作品を観た直感でその人となりを想う。予習など一切要らない。それを観て好きかそうでもないか、だ。
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芸術家であり芥川賞作家でもあり、路上観察の達人である赤瀬川さんと、明治学院大学教授で美術評論家の山下さんのコラボによる「日本美術べた褒め対談集」である。
取り上げている褒め材料は、雪舟、等伯、若冲、写楽、北斎、縄文土器、竜安寺石庭、光琳、青木繁(今思ったけど、青い木が繁るっていうことなのね、このネーミング)、装飾古墳、円空・木喰、応挙、蕭白、高橋由一、佐伯祐三、芦雪、安井曽太郎、根来塗である。
これらのいくつかはこのあと「再現日本史」のコラムで赤瀬川さんが取り上げたりもしている。
形式は赤瀬川さんがそれぞれにどういう印象を持っていたかということから話が始まる。それを受けて若い山下さんが解説を入れる。というスタイル。
全然アカデミックな会話ではなく、美術好きの男たちが好きに喋っている感じがいい。結構下ネタっぽい会話もある(《紅白梅図屏風》とか、そういう会話にならざるをえなかったりするけども)。
本音バリバリなので随分とうなずいてしまったし、専門形も同じように感じているんだなと納得してしまった。
「乱暴力」というキーワードが途中から出てきた。光琳よりも宗達の方に「乱暴力」があるという。「乱暴力」とは「単なる荒々しさではなく、抑えきれない精神の発露が生む力強い表現のこと」(cf.p150)だそうだ。
画家とデザイナーの違いは「着地点」の有無によるという。「着地点」とは、まあ仕事の落ち着く段階というか程度というか時期というか納期というか、そういうことであり、それを見すえて仕事しているのがデザイナーであり、そうじゃないのが画家なのである。
会社仕事で文章を書くのと、好きに文章を書くのとでは自ずと違うわな。もっとも扱うマテリアルが違うし、様式も違うけどね。
大層面白く読めた。
旧知の内容も多かったが、美術の裏話(日本画の保存は美術館でやっているほど厳重な管理は不要だ、という話だとか)を聞いたり出来て良かった。
シーレ×写楽、ルオー×佐伯祐三はなかなか合点のいった話だった。