すいません、ほぼ日の経営。

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822257866

作品紹介・あらすじ

ほぼ日の経営について、
まるごと糸井さんに聞いてきました--。

糸井さんは、もともとフリーのコピーライターで、組織に身を置いたことはほとんどない。
それなのに、活動の幅を広げる過程で事務所を立ち上げ、100人以上が勤める企業をつくりあげた。
一方の私は、大学卒業後に伊藤忠商事の事業会社のひとつである
伊藤忠ファッションシステムに入社して35年目。
転職をしたこともなければ、フリーとして活動した経験もない。
根っからの組織人であり、よくも悪くも日本企業の価値観が、骨の髄(ずい)までしみこんでいる。
そんな私が、糸井さんにほぼ日という会社の目指す先を聞いていった。
インタビューは、驚きと発見の連続だった。
事業、人、組織、上場、社長--。企業の根幹を支える部分について、
なにを考え、どのように向き合っているのか。
糸井さんが語ってくれた話の数々は、長年の会社員生活を通じて、
私の中にインプットされた常識をくつがえす内容ばかりだった。--まえがきより

ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の創刊から20周年。
ジャーナリストの川島蓉子さんが、ほぼ日を率いる糸井重里さんに、「ほぼ日の経営」について、まるごと聞いてきました。
ほぼ日の「これまで」と「今」。
なぜほぼ日では、魅力的なコンテンツ、サービス、商品が、次々に誕生しているのでしょうか。
糸井さんとほぼ日にとって、事業とは、働くとは、そして会社とは--。

感想・レビュー・書評

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  • 私は文房具が好きで、ほぼ日手帳の事も知っていたのに、ほぼ日=糸井さんとは全然知らず、、無知を発揮してしまいました

    メモをとりながら読みました

    いい、悪い  で判断するのではなく
    好き、嫌い どうして好きなのか どこが好きなのか  心の問題というところに共感しました

    アイデアは一人で考える時間も大切
    面接では、いい人募集 というフレーズでその人の姿勢を見るところ

    糸井さんと一緒に仕事ができる人たちは、大変なこともあると思うけど、充実した素敵な時間を共有できて幸せだと思いました

  • ほぼ日の手帳は自分も使っていて、そのページ下の今日の一言が面白く、ずっと、コラムは昔の女性の古典作品だと思っていた(いといじゅりだと勘違い)。

    アイデアの質や発想を大事にしつつ、組織のなかで話し合い、より良いものへ高めていく。
    みんなでやろうと判断したら着実に実行する。
    社員同士が互いに学び、感謝しあう信頼関係を作ろうとしている。のがほぼ日の経営らしい。
    すごい!
    大きな利益を確保することやプロセスの効率化で生産性を上げることが目的になりがちで、買い手や社員の論理と離れることを疑問視しているのに、あえて株主からの要求に縛られる上場を選んだり、と行動規準がわからず、何だか密談を覗き見している気分で読んだ。
    社員一人一人にレベルの高い当たり前が求められるが、それは数値にできない誠実さと貢献力。
    完璧な基準がない、と、上場しても明確な指標を作らない姿勢にすごくやりがいと信頼が産まれそうな会社だな、と感動した。
    自分の基準や情熱はどこにあるか、すごく考えた。

    □すごいと思ったポイント
    ・企画書やマーケティングはやらない
    →ターゲット層を明確にしないが、自分が本当に喜べるものか本気で考える
    →自分が嬉しいこと、それは何故か、どこが好きかを自問自答して、自分なりの解答を見つける
    →大企業が安くて似てるものを出しても、それは「心」の問題が抜けている。顧客と直に繋がれている貴重な財産がほぼ日にはある。

    ・手帳のLIFEの考え方
    後から読み返すと自叙伝や伝記というBOOKになる。そこで振り返った時間のうち、「良い時間」はどれくらいだったかと振り返れる。その手帳と接する時間を「いい時間」となるようにしたい
    →手帳は自分が使って完成する未完成品。あなたは何もしなくていいという商品ばかりが売れるなか、使う人を信頼して委ねている。それが相手への敬意になり、大事にされているという感覚を得られるのでは。

    ・ほぼ日の働き方改革
    集中して生産性を高めようと説明する会社が多い、残業を減らして給料を下げる会社が多い→何をもって集中と言うのかわからない。他の会社や行政が出す案が本当にほぼ日にあっているのか考えていた。漫然と過ごしている時間がもったいない。
    →1日7時間勤務+一人で作業するインディペンデントデーの作成
    →社員が「自分だったらこうする」を考えさせて、他のメンバーの案をあてにしないようにする
    →社風は「何がカッコいいか」で決まる。
    消極的でいた方がうまくいく風土を無くすために動く

    ・のびのび働くとは(これが一番衝撃だった)
    きちんと時間を守って遅刻をしない人が、だらしない人を非難しないように注意する
    →会社に身を捧げられる、という人が偉くなってはダメ
    →ハンディを背負う人に意地悪にならない
    →じぶんが支えられる側になるかわからないし、支えられる人が支える
    →平等は求めない。完全な平等は無理だとわかっているので。一緒に働きたい基準は、その時々であると理解して、そこを大事にする。

    ・誠実と貢献
    貢献は、成果という具体的なことをみんなに見せられるかどうかということ。目指し、実現するために責任と期限も含めて行動できているかも示す。
    誠実は信頼とセットになっている。意図的には手に入れられないもの。自分にも相手にも誠実でいることは、地道な努力が必要。

    ・やさしく、つよく、おもしろく
    人体模型のような組織図
    →部長や取締役は便宜上つけているが、だいたいがやりたくない人にやってもらっている
    →どれが欠けてもいい、とは言えない
    ピラミッド型の組織は、上から下へ命令伝達されると思い込んでいるが、上がどんどん聞いてくれるようになった時に本気度が試される。
    →面白い案を引っ張りあげることのできない先輩は相談されなくなる。

    ・子供の自由からの脱却
    上場へのきっかけは、実績が増えてきた中で、自分達の成長速度が遅くなっていることに気づいたこと。小さいサイズの狭い認識でいる自分と、それに合ったところで楽しくやっている社員、というバランスで落ち着いてしまっていた。
    今を生きる会社でないと、やっていく資格がない。社会から見られていることを意識して、試される場に身を置く。

  • インターネット元年の1995年から3年後の98年、今や1日150万ビュー超えというお化けサイトに成長した「ほぼ日刊イトイ新聞」が産声を上げ、しばらくして「ほぼ日手帳」が生まれた。この手帳は順調に売上を伸ばし、(株)ほぼ日の年間売上の7割を占める基幹商品に。2016年東京糸井重里事務所から(株)ほぼ日に改称。その理由を訊ねられ、「はっきりと『チーム』で何かを実現させていく会社に変化してきたからだ」と。ほぼ日に3つの行動指針がある。「やさしく、つよく、おもしろく」。求人募集広告では、「いい人募集」とユニークな呼びかけを行い話題を呼んだ。このあたりはコピーライター糸井重里の面目躍如といったところか。2017年ジャスダック市場に上場。年商40億、経常利益4億8千、総資産30億という超優良企業に育て上げた代表取締役 糸井重里。

    会社の来歴を簡単に舐めたところで本書。読み進めていくにつれ、これは実に“けったいな経営書”であるぞと実感。聞き手の問い自体にもその一因があるのかもしれないが、例えば手帳市場を一変させた「ほぼ日手帳」について語ることもなければ、ほぼ日の全てが凝縮しているサイトについても語らない。

    ひたすら語るのは「働くということ」「会社というもの」についての思いを平易な言葉で、巧みな比喩を交えつつ「フニャ」と語る。糸井重里特有の平坦な語りは活字からも法話を傾聴しているような感覚に陥り、陶然とした気持ちになってしまう。

    おそらく平素もこのような感じで社員に接し、毎週水曜日11時半から90分、全社員を前にして糸井重里は様々なことを語る。本人は意図してか知らずか、糸井イズムの注入を行なっているわけですな。

    ゆえに改称しようが、ほぼ日のどこを切っても糸井重里の血がほとばしることは容易に想像できる。社員を叱らない、稟議書も求めない、パワハラとも無関係、主催イベントで人手が足りないとなれば、総務経理も駆けつける。

    組織はあくまでも、有益な商品・サービスを生み出すための場であるが、時として管理のために存在しているのかと思しき組織や社員のケツを叩かなければ動かないと嘆息する経営者も多い。そういう面から見れば、ほぼ日は理想中の理想の組織と言える。

    ただ見方を変えれば、「何をすべきかを常に考えさせられセクションを問わずアイデアを出し、行動を起こす」ことを求められる組織であるとも言える。人から指示を受けたことを実行に移してる方が楽と思う人にとっては、息苦しい企業風土であろう。

    本書は「ほぼ日の“今”」について焦点が当てられ過ぎなのが残念。糸井重里を形成したであろう思想家 吉本隆明やセゾングループ元代表 堤清二のふたりについて切り込むべきではないか。とりわけ吉本隆明から受けた薫陶は少なくないだけに。概して起業家は「生い立ち」「若き日の挫折」「混迷期に手を差し伸べてくれた人の温情」が原動力になっていることが多いだけに、糸井重里の思想の源流に迫って欲しかった。

    本書と糸井重里の自叙伝「古賀史健がまとめた糸井重里のこと」(糸井重里・古賀史健・ ほぼ日文庫)の併読をオススメする。代取以前の生身の糸井重里が坦懐に語っている。

    最後に、読み終わって想起したのは、職人の世界で言われる「一子相伝」という言葉。糸井重里も齢70。ほぼ日がほぼ日たらしめている精神性を誰に引き継ぐのか。はたして引き継がれるのか。

    今や上場も果たし、糸井商店でなくなった「ほぼ日2.0」のビジョンは、糸井重里のみぞ知るといったところか。本書では、その「ヒューチャー」については語ってはいない。

  • 毎週金曜日の「インデペンデント・デー」。
    打ち合わせは入れず、
    自分の考えを深め・まとめる日で、
    1日中寝ててもOKってくらい自由なようだけど、
    もちろん出勤扱いってことよね...?

    労務管理と人事評価で曖昧な気がするけど、
    その辺どうなんだろう。。
    1日中いろいろ調べて考えてた人も、
    1日中寝てた人も、
    結果出せばOKてこと...?

    • hitbonさん
      ★2021.6.27 追記
      「インデペンデント・デー」、いわゆる「第2領域の時間」
      (重要だけど緊急ではない“種まき”のための時間)
      を会社...
      ★2021.6.27 追記
      「インデペンデント・デー」、いわゆる「第2領域の時間」
      (重要だけど緊急ではない“種まき”のための時間)
      を会社が週1で確保してくれるって考えたら、
      画期的な仕組みだなー。
      重要度の高低に関わらず「緊急性の高いもの」に
      追われがちだし。

      職場の周りの人のためでも、家族のためでもない
      「純粋な、自分を磨く・休める時間、自分の企画を練る時間」ってよく考えたら貴重。

      初読時に違和感あった「寝ててもOK」というのも、仕事と家庭の両立で、心身のバランスを保つための大切なメンテナンスデーにするって考えたら、すごい有意義。

      「週休3日で給料下げるか・週休2日のままでいいか」の二者択一ではない、第3の選択肢。
      うちの会社でも導入できないかなーって妄想広げるのは楽しい。
      2021/06/27
  • 自分は「ほぼ日手帳」は使っておらず、他の手帳術を使い生活してますが、多くの方々が使っているので、きっと魅力が有るんだろうな…ちょっと手帳の事も書いてあるのかな…と、読み始めましたが、ほぼ経営の事でしたね。

    ほぼ日の社員の方々は働きやすい良い雰囲気でクリエイティブな仕事をされてるんだろうなぁ。と羨ましくなりました。糸井さんの先入観や常識に縛られないところや、良いものを徹底的に追及、深堀していくからこそ、皆さんに良いものを届けられるんでしょうね。自分もそういう先入観・常識にとらわれず、何か考えるときは頭の中フル稼働してアイデアを絞り出したいと思いました。

  • 2019年5月21日読了。「株式会社ほぼ日」の経営者としての糸井重里へインタビューした本。何をやっているのかよくわからない・ゆるふわWebメディアを自分のネームバリューだけでやってきている、ように見えたイトイ氏が、手探りしながらも経営とは何か・企業とは・上場とは・人間の幸福とは何か、について根源的な問いを重ね、少しでもそれを実現できる方向に組織を動かしてきているということが分かった。これを読むと、一般の経営者のトークは深さが足りない・当たり前に前提事項にしている事柄が多すぎるのではないか、という気がしてくる。やさしく・つよく・おもしろく、とか「夢に手足を」とか。言葉は大事だね。

  • ほぼ日が「子どもの自由」を脱却して上場し、社員が責任を成長と捉えとことん楽しんで働く姿。

    一見異色だが、働く幸福を追求した経営の最適解なのかも。

    本質を突く言葉たちが、企業の在り方に刺激を与えてくれる!

  • ほぼ日の会社運営について知れる1冊。
    インタビュー形式で読みやすいのですが、文章は硬めです。が、ほぼ日がかっちりし過ぎず経営されている会社のようなので、これでバランスが取れているのかも…?と思いました。
    やさしさを大事にするのは、仕事においてもいいことです。そのためには、つよくあることも必要。そして、おもしろさを人々に届ける。これが、ほぼ日の行動指針。

  • 妻が気に入っているものをたくさん販売している「ほぼ日」、糸井さんの存在の大きさもありますが、マーケティングの視点からしてもたくさんのツールを持っているなと感じた一冊でした

  • 今や上場企業である「ほぼ日」の社長、糸井重里さんをインタビューして書かれた本。糸井さんの経営についての考え方がよく分かる。こういう誠実な社長さんばかりなら、仕事でメンタルをやられる社会人が減ると思う。

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著者プロフィール

ジャーナリスト1961年、新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステムに入社し、ファッションという視点から、企業や商品のブランドづくりに携わる。同社取締役、ifs未来研究所所長などを歴任し、2021年に退社。コミュニティー「偏愛百貨店」を立ち上げた。『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞出版)、『虎屋ブランド物語』(東洋経済新報社)、『TSUTAYAの謎』『すいません、ほぼ日の経営。』(以上、日経BP)など、著書は30冊を超える。毎朝3時に起きて原稿をつづる生活を30年にわたって続けている。

「2021年 『アパレルに未来はある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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