- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833425124
感想・レビュー・書評
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フランスで要職を歴任し、「欧州最高峰の知性」と称される(らしい)ジャック・アタリ氏による、今後世界が、我々がどこに向かっていくことになり、何をすべきなのか、を書いた1冊。
「『世界の仕組み』を見出し、少なくとも2050年くらいまでの未来は予測可能だ」というフレーズには期待が高まります。重厚な装丁の割に、1ページ当たりの文字量は少ないのと、割に読みやすいのですぐ読み終わりました。
※図書館で順番待ちになってる本なので、早く読んで返そうというプレッシャーも受けつつ(笑
読了して感じたのは、以下3点です。
①欧米諸国は、ちゃんと実行できる?
②誰が決めるの?問題
③日本の「不気味ポイント」はそこ?
①各国は、ちゃんと実行できる?
本著の流れとして、このまま自然体で進むと、気候変動で大きな被害が出て、世界の分断は進み、個人主義のきわめて不安定な社会になる。そうならないために…という処方箋が示される訳ですが、この部分を読んでいて個人的にはモヤモヤを感じました。
処方箋自体、革新的なものではなく、気候変動対策などは既に言われているものをしっかりやっていこうというレベルだと感じましたが、コロナや紛争などの言い訳を並べて未達を正当化する国や、そもそも別の理屈を述べて参加していない国をどう巻き込んでいくかの方が大事なのではないかと思いました。
各国の温室効果ガス排出量の削減実績を見ても、やる気あるの?って国が結構あり、アメリカもフランスもどうなのよ…というグラフになってます。(↓のP.14以降)
https://www.env.go.jp/content/000142594.pdf
日本は元の発射台のハードル自体高かった割に、愚直に頑張っていると思うんですが、各国がこの状況だと「やり損」に見えちゃう気がします。(こんなコト言って分断を深めるメリットは一切ないですが…)
②誰が決めるの?問題
著者の処方箋で「死の経済」を排除して、「命の経済」を発展させよう、という話がありました。
※死の経済:化石燃料絡みの産業、肉食、お酒、タバコ、SNSやゲーム…
命の経済:医療、スポーツ、教育、公共交通、再生可能エネルギー、民主主義…
仮にこれを進めるとして、線引きでとんでもなく揉めるんだろうなぁという気がします。仮に審判者がいるとして、ビッグ・ブラザーに変質しない保証はあるんでしょうか。
③日本の「不気味ポイント」はそこ?
訳者あとがきで、「日本が核保有国になるという指摘」が不気味だ、という論考があるのですが、個人的には、著者が日本版向けのまえがきで「過去の戦争に関して、日本は隣国と完全な和解に至っていない。」と書かれていることの方が怖いなと思いました。
というのも、政府の公式なスタンスは解決済だったように思いますし、国内での教育も基本?そうなっている。にもかかわらず第3国であるフランス人からそういう指摘を受けているというのは、認識のギャップがあるのでは?と思うからです。
戦中生まれのアタリ氏だからそのような指摘があるのか、一般的な話なのか。今以上に何が必要なのか。手を打つかはともかく、把握はすべきだと感じました。
未来予測本としては長沼伸一郎氏の著作の方が腑に落ちる感覚はありますが、両方で重なるような記述もあり、考えを深める意味では読んでよかったかなと思います。 -
商秩序の力学の本質から歴史を振り返ると、国家の力が及ばない世界の未来が見えてくる。不都合な真実とその商秩序のメガトレンドから、世界の向かう方向が見えてきた。俯瞰力により、大きな流れを考えることの重要性を再認識した。
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【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/571519 -
経済学=希少なモノの生産、所有、交換、管理の学問 未来に役に立たない
偽りのノーベル賞=経済学賞 経済学≠「世界の取扱説明書」
世界を形成するのは 慣行(常識)と歴史
11世紀~ 帝国秩序から商秩序へ 9の「形態」と「心臓」
1.ブルッヘ 1250‐
すべての「心臓」(中心都市)は欠乏の産物である
2.ヴェネツィア 1348-
権力を確約してくれる軍隊を維持する資金を工面できなくなると心臓は疲弊する
3.アントウェルペン 1453-
心臓はエネルギー、コミュニケーションのイノベーションで権力を把握する
4.ジェノヴァ 1550-
心臓になるには金融と資本の仕組みを熟知しなければならない
5.アムステルダム 1620-
心臓の成功条件の一つは外国からの人材、商品、アイデアに開放的であること
6.ロンドン 1780-
権力者であっても、商品や実業家が必要とする自由を抑制することはできない
7.ボストン 1882-
心臓が権力を握るのは、サービスをモノに変化させることによる
8.ニューヨーク 1945-
何かを売るには、需要喚起と資本調達のす術を学ぶ必要がある
9.カリフォルニア 1973-2008- 危機へ
「形態」の移り変わりにより、工業製品はサービスを代替し、自然を人工化する
商秩序の 12の法則
1.商秩序の2つの重要側面 資本主義と国家 儀礼秩序と帝国秩序が発展を妨げる
2.心臓を中心に形態をつくり出す 富の生産のための若者が必要
3.形態の主人公は自由と民主主義を必要とする 自身の利益を守る法の支配
4.心臓が衰退するのは永遠の繁栄を信じ、計画や未来分析、若さ、防衛を失ったとき
5.心臓と形態の終焉に先立ち、貨幣価値が激減、金融市場が崩壊
6.新たな計画に優秀な人材と資本が集まるイノベーションの場が新たな心臓になる
7.これまでの九つのテクノロジーの誕生により「形態」と「心臓」が誕生した
8.形態が移り変わるたびにサービスと自然の人工化が進行、集団向けから私有材へ
9.労働 権利 教育 寿命改善、自由化、信仰より理性、富の分配より市場と民主主義
10.境界のない市場は国よりも優位に
11.目先の利益を擁護、生産物の多様性増、富の集中、人類の環境破壊と資源枯渇
12.心臓の地位維持には 環境の尊重、自己特徴、長期計画、防衛の術の習得
2050年 「心臓」なき「形態」へ ~富の蓄積をつかさどるのは依然として商秩序
三つの袋小路
①アメリカの第9の形態は失敗し、
②第10の形態が中国に登場し、サービスを個別化する新たなツールが導入
しかし、心臓の移動では解決できない激震に見舞われる
③心臓のない、市場が世界を支配する商秩序の試みも失敗する
3つの致命的脅威
①気候 :干ばつ、森林火災、海面上昇、サンゴ礁死滅
②超紛争 :資源、食料、富、領土、独立、征服、信仰対立、移民
③人工化 :健康管理、教育、情報、人間関係、権力(規範と管理)
「形態」なき「心臓」への急旋回 →「世界の取扱説明書」づくり
1.合理的な利他主義への行動
2.死の経済の製品排除:将来世代と自然を毀損する生産活動
3.命の経済の発展 :将来世代の役に立つ生産活動 今日GDP50%未満→80%
共有材化 教育と医療を商業的消費に向かわせない規制
命の経済へのテクノロジーへ継続投資と 税制含む価格設定
過去に大改革を断行したのは独裁政権・・ -
2050年には伊藤計劃氏の虐殺器官とHRMONYを掛け合わせたような世界になり、ターミネーターかマトリックスのように人工知能に支配される危険のある世界になっているらしい。
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東2法経図・6F開架:KW/2023//K
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サステナ的な話はよく聞くが、こんなことになってるのか、、、と衝撃を受けた
分かっていても自己都合を優先してしまい滅びの道へ向かってしまうんだろーなと感じつつ、ブロックチェーン等のテクノロジーを活用して環境に配慮した行動を正しく評価し、矯正していくしかないのかなと感じた
あと、最初に定義される言葉がずっと後半に出てくるが、その言葉の定義が難しい
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フィリピン、ナイジェリア、
心臓なき世界。