いちばんたいせつなもの (世界傑作童話シリーズ)

著者 :
制作 : 八百板 洋子 
  • 福音館書店
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本棚登録 : 37
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834022599

作品紹介・あらすじ

ブルガリア、ルーマニアなどバルカン半島の国々に伝わる昔話から29話を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2007 Balkan Folk Tales 八百板洋子

    ルディ・スコチル(1951スロヴェニア~)

    バルカンの昔話ということで、

    <ブルガリア>
    森の精と羊飼い サモディーヴァ(家を守らない、子どもを育てない)
    三人の男とらくだの卵
    つるとかわせみ
    金の鳥
    吸血鬼に恋した娘 カリーナ(通称カリンカ)
    うずらのおひゃくしょう
    お日さまの妹、布ぶくろの兄
    なまけもののボグダンカ
    きつねとおんどり
    兄と弟


    <ルーマニア>
    山羊と銀の鈴
    青い炎の館~トランシルヴァニアの伝説

    <スロベニア>
    針ねずみになったヘンリ
    水の精と男の子

    <クロアチア>
    カエルの娘
    おかみさんと悪魔


    <セルビア>
    いちばんたいせつなもの
    あの世からきた男
    生きもののことば


    <アルバニア>
    ばらの伝説
    狼だんなとろば


    <マケドニア>
    灰かぶりのマーラ
    月光のうた
    娘と十二の月

    <トルコ>
    きこりとテーブル
    貧しい男の運
    100リラのシトロン 三人の兄弟話

    <ギリシア>
    眠り王 イプノスという若い王(=眠りの意味)
    ゴルゴナに育てられた若者 ゴルゴナ=海の神(海の妖怪、コルゴーンに由来する上半身は女性の姿で下半身は魚のしっぽの姿。月明かりの夜、海に姿をあらわす)


    あとがき
    P289
    さて、地図を見るとバルカン半島はじつは山がちなのですが、トランシルヴァニア山脈とバルカン山脈の他の山脈はいずれも南北に連なっています。そのため、外部との往き来が容易で、古くからオリエントとヨーロッパをつなぐ東西文化交流の場でした。
    ピレネー山脈によってさえぎられているイベリア半島や、アルプス山脈の壁があるイタリア半島とは異なって、バルカン半島は、外部を遮断する自然の障害がなかったのです。そうした地理的条件は、文化の面では豊かなものを生みますが、たえず戦争のうずにまきこまれ、人びとはおだやかな暮らしができなかったのです。
    バルカン地域の人びとは、長いあいだ異民族に支配されるという共通の苦しみをなめてきました。そうした時代に、人びとは昔話を語りつたえながら、「民族のことば」と、かつてのじぶんたちの文化の誇りを守ってきました。貧しい者や虐げられた者が、知恵と勇気で強い者をやっつける話や、運命をきりひらこうとする主人公のたくましさなど、バルカンの昔話にでてくる主人公はさまざまですが、みな生命力にあふれています。
    昔話は、人びとを励まし、暗い
    時代を生き抜く力と、支配に屈しない心を支えてきたともいえるでしょう。

  • 図書館で読んで大好きな本です!
    先日とうとう購入しました。
    表題作含め、素敵な話が多いのですがそのうちで「おかみさんと悪魔」は女という生き物の凄まじさを表していると思います(笑)
    また、悲恋の物語も複数収録されているのですが特に「月光のうた」は恋人たちが二人寄り添っていく様を想像すると切なくも美しい場面だと思うのです。
    最後に、表題作「いちばんたいせつなもの」。
    ・・・後半ニヤニヤできますw

  • 表題作「いちばんたいせつなもの」は、貧乏な粉屋に王様が無理難題をだし、それを粉やの娘が知恵をつかってこたえていくお話。
     おうさまがついに、頭のよい娘を妻にしたいと娘に告げると、娘は「わかりました。ただし約束してください。わたしが城を追い出されるときは、いちばんたいせつなものをしろから持ち出すことをお許しください」といい、王様はそんなことがあるわけないと言うのですが、結局ある日娘にでていけといいます。
     娘のもちだすものがとっても良いなぁ。と思えるおはなし。
     やっぱり昔から女性は男性より上手にいて、それをみせないで立ち回っていたのですね。

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著者プロフィール

1946年福島県生まれ。ソフィア大学大学院に留学。『吸血鬼の花よめ』(福音館書店)で日本翻訳文化賞、『ソフィアの白いばら』(同)で産経児童出版文化賞を受賞。2011年、ブルガリア共和国文化省より文化功労賞をうける。

「2022年 『高橋真琴のおひめさまものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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