明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち (世界傑作童話シリーズ)

  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834083859

作品紹介・あらすじ

ナチスドイツから逃れるユダヤの少年、カストロ政権下のキューバを出てアメリカに向かう少女、内戦下のシリアからヨーロッパをめざす少年。故郷を追われて旅立つ3人の物語が、時代や国を超えて同時進行で語られる。彼らの運命はやがて思わぬところで結びつくことに……。命の危険にさらされ恐怖と闘いながらも、明日への希望を見失わず成長していく子どもたちの姿を描く。歴史的事実を踏まえたフィクション作品。

感想・レビュー・書評

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  • #中高生

  • 「ナチスドイツから逃れるユダヤの少年、カストロ政権下のキューバを出てアメリカに向かう少女、内戦下のシリアからヨーロッパをめざす少年。故郷を追われて旅立つ3人の物語が、時代や国を超えて同時進行で語られる。彼らの運命はやがて思わぬところで結びつくことに……。命の危険にさらされ恐怖と闘いながらも、明日への希望を見失わず成長していく子どもたちの姿を描く。歴史的事実を踏まえたフィクション作品。」

  • ナチスとキューバのカストロとシリアの内戦と、3つの物語が交代で語られる。
    どれも厳しい現実からの逃避行で、犠牲を伴うつらい話だった。
    ひとつひとつの物語をもう少し長く語ればいいのに。
    続きが気になってページを飛ばして読んだり、前がわからなくなってページを戻したり、
    読みにくかった。

  • 戦争や紛争に巻き込まれる子供たち。子どもたちの未来が明るいものであってほしいのだが。

  • 第二次世界大戦前後のドイツ、戦後のキューバ、現代のシリア、それぞれの理由により難民となった3人とその家族。 
    時代、環境の犠牲者と呼ぶには生々しすぎる体験がありありと克明に記されている。

  • 第二次世界大戦下のナチス迫害から逃れるためにキューバを目指すドイツのユダヤ人の少年、1994年、カストロ政権下のキューバからアメリカを目指す少女、2015年、シリアの内戦が深刻化する中ドイツを目指す少年。時代も住む国も違う3人の故郷を追われた少年少女たちの話が順番に語られる。最後、物語は交わる。

  • 1939年、ナチスの手を逃れ家族でドイツからキューバを目指すヨーゼフ。1994年、政治的抑圧と貧困でキューバを脱出、アメリカを目指すイザベル。2015年、自宅が爆撃で破壊され、シリアからヨーロッパを目指すマハムード。

    3つの旅がやがて邂逅する。

    衣食住の“住”の大切さがひしひしと伝わる。
    平時であればしっかり守ってくれた両親が、戦乱や非常時の中であるものは迷い、あるものは壊れてしまい、子どもたちが家族を引っ張っていかざるをえない状況になる。
    実際に起きた事柄をベースにした物語。

    国を追われる人々のことを自分事としてとらえるために。

  • 雑誌「こどもとしょかん」の新刊紹介で知って、としょかんで借りた。

    1939年、ユダヤ人の13歳の少年・ヨーゼフは、ナチスの迫害から逃れるため、家族と共に客船セントルイス号でキューバへ向かう。
    1994年、キューバの11歳の少女・イサベルは、苦しい生活と抑圧から逃れるため、家族や隣人と共にボートでアメリカへ向かう。
    2015年、シリアの12歳の少年・マフムードは、爆撃から逃れるため、家族と共にドイツへ向かう。

    年末年始に読むにはしんどい本でした。
    こういう戦争関連のずっしりした本(413ページ)を読むのは久しぶりでした。
    三人の子どもたちのターンが繰り返されているので、なんとか読み進められました。
    こういう本には、一般書も児童書もないと思います。
    「難民」という状況を初めて感じられるようでした。
    絶望7に希望3くらいの配分で、絶望と希望が繰り返されます。
    読み終わって思うのは、とにかく生きていることが命を繋いでいくことなのだ、ということ。
    個人的には、ドイツがこの1939年から2015年までに変化し、物語のなかで何かが環のように繋がったことに、心動かされました。
    2017年に記された「著者あとがき」の〈あなたにもできること〉には、難民の三つの試練について書かれていました。
    1、故郷での恐怖体験からのがれる
    2、避難所をさがして暮らす
    3、新たな国で人生をもう一度やり直す
    そして私たちにできるのは寄付だと。
    もやもやするとかは、寄付すらしていない私が言っていいことではありません。
    小学校高学年から大人まで、いいと思います。
    すすめられなければ手に取らない類の本なので、読んでみてほしいです。

    P262マフムード
    「見えない存在になりたかった。シリアでは、目立たない存在になることで生きのびてきたからだ。でも、マフムードは今、ヨーロッパで見えない存在になると、それは自分にとっても家族にとっても死を意味するのではないかと思いはじめていた。だれにも見られないようにしていたら、だれにも助けてもらえなくなる。それに、ここで実際に何が起きているかということを、世界は知る必要があるのではないだろうか。」

  • 『明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち』(福音館書店) - 著者:アラン・グラッツ 翻訳:さくまゆみこ - 安田 菜津紀による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
    https://allreviews.jp/review/4270

    HIRASAWA Tomoko illustration
    http://studio-dessin.com/

    明日をさがす旅|福音館書店
    https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=5968

  • 1938年、ドイツ ベルリン。半年間強制収容所に入れられていた父が国外退去を条件に釈放されたので、12歳のヨーゼフは母親と妹とともに客船セントルイス号に乗り込みキューバへ向かう。ところが、キューバ沖に停泊したもののいつまで経っても上陸許可が出ない。乗客たちは次第に不満を募らせていく。
    1994年、キューバ ハバナ。父が、市民の暴動に加わって警察に追われる身となったために、11歳のイサベルは、祖父、両親、隣の家族とともに、手作りのボートでアメリカへの脱出を試みる。ところがまもなくエンジンが止まり、巨大なタンカーが近づいてきた。
    2015年、シリア アレッポ。12歳の少年マフムードは、ミサイルにより自宅を破壊され、両親、弟、赤ちゃんの妹とともにトルコ経由でドイツに行こうと考える。ところが道中武装した兵士に車に乗り込まれ、その後銃撃に遭い、車と荷物を捨てなくてはならなくなった。

    3人の少年少女を中心に、難民となった家族の苦難に満ちた旅を、史実を基に描いたオムニバス。





    *******ここからはネタバレ*******

    ユダヤ人を乗せたセントルイス号の話は有名らしいですが、私は知りませんでした。ナチスの人たちが、仕事とはいえユダヤ人をもてなしていたなんて、ヨーゼフが驚いたのもうなずけます。
    ヨーゼフたちが行きたかったキューバから、その60年後に大量の移民が出てくるなんて、当時は想像できなかったのでしょうね。

    大量の難民を出したドイツが、最後には難民を受け入れ、そのホストファミリーは、もとユダヤ人難民だったということが、このオムニバスの「接点」なのでしょうが、これは表紙裏のカバーで種明かししてほしくはなかったところです(個人的感想)。

    この作品の原題は「refugee」。原題はそのものを表していますが、そのままだと日本の子どもたちは手に取りにくいかもしれませんね。

    日本語訳が非常にわかりやすいので、高学年から読めると思います。

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著者プロフィール

アラン・グラッツ 1972年アメリカ・テネシー州に生まれる。テネシー大学で創作を学ぶ。デビュー作のSamurai Shortstopがアメリカ図書館協会のヤングアダルト部門トップ10に選ばれて以降、作品を発表するたびに高い評価を得る。本作Refugeeは数々の文学賞を受賞し、また1年以上にわたりニューヨークタイムズのベストセラーとなった。

「2019年 『明日をさがす旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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