黄色い夏の日 (福音館創作童話シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834086263

感想・レビュー・書評

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  •  キンポウゲの黄色い花に囲まれた古い洋館。そこに住む老婦人と親しくなった景介は、不思議な少女ゆりあ、その隣家のやや子と出会う。その少女たちは幻なのか。
     謎に満ちた洋館と不思議な少女たち、そこに強く惹かれる景介と、彼を心配する幼馴染の晶子。
     
     結果的に一気読みしてしまったが、先が気になって止まらないというより、時々休憩して味わいながら、大切に大切に読みたい感じだった。なんと美しい物語。
    そして、決してお涙頂戴的な要素はないのに、なぜか最後の方では涙が流れて止まらなかった。

  • 中学生の景介が、古い館で経験する、ひと夏の物語。
    児童書で、ファンタジーの形式をとっているのだが、私にはややわかりにくかった。

    古谷津艶子の人生と景介が、時空を超えて関わり合うのだが、それは老人の記憶の中にもなかったことも含まれており、ただ書物と日記だけが真実を物語っている。
    晶子は現実のままにとどまるが、謎解きの一端を担う。

    メッセージ性のある部分はよく伝わるし、さすがに言葉の選び方も素晴らしい。こんなふうに語れる人なのに、物語全体を通すとやや混乱して、若い人に届きにくいかもという印象。(私の理解力が足りないだけかもしれないけど)
    高楼さんの新作は、艶子さんの人生を借りて、ご自身を重ね、若い世代に大切なことを伝えたかったのかなと思う。
    愚鈍な私は、賢明な若い方たちに、この物語が届くよう願うよりない。

  • 高楼さんの世界だけらど、今までと違う。男の子の気持ちを描いているからか?中心となると男の子と女の子が大人っぽいからだろうか?苦しい思春期を経て大人へとなっていく、その過程で得たものもあれば失ったものもある。切ない。

  •  高楼方子さんの長編の作品のファン。今作品も不思議な世界に引き込まれた。中学1年の景介は美術部に在籍している。ある時絶対に描きたいと思わせる洋館に出会うのだ。住人である小谷津さんというおばあさんとの交流が始まったが、家の絵を描くことより、小谷津さんがたくさん所有している本の整理を頼まれるのだ。そして館を訪れると不思議な出来事が起こって…。
     私が好きな高楼方子さんの世界観で、とても羨ましく、夢中で読んでしまった。

  • 洋館、おばあさん、少女、花、本、日記、昭和…。昔と今が交差するファンタジーを書かせたら高楼さんは絶品だ。特に今回は洋館ってのがまた。幻想的な雰囲気をより掻き立てる。人間の想いの強さは想像もできない奇跡を起こすこともあるのかもしれない。不思議はそこかしこに溢れている。

  • 名久井直子さん作の装丁ということで、木村彩子さんの黄色いキンポウゲの絵が目をひく1冊。内容としては、児童文学にはよくある感じの扉を開けたら過去の世界のようなファンタジー。

  • 以前、方子さんがトークショーで、
    「くるとき、札幌からの飛行機で、物語が降りてきたの。
    男の子が主人公です」と、おっしゃっていたの物語が
    たぶん、こちらなのでしょう。

    大好きな方子さん、その意味でも、待ちかねていた新刊です。

    https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/cc1ec6ab9ee6ca06ab0322d71c51e8eb

  • 話の展開はかなり感覚的で分かりにくいのだけど、描きたかったことはハッキリしてると感じた。
    謎めいた洋館と謎めいた少女、そこに少年少女だけではなく、老女が絡んでくるのが最近の高楼さんぽい。
    挿絵も効果的に挿入されていて、日常の隣の異世界を堪能出来ました。好き。

    アホっぽい感想で申し訳ないが、主人公がやや子に言った言葉は「困った時に〜」の台詞はめっちゃイケメン……!
    こんな事を言える子がいたらそれはモテますよね。

  • 一行目:七月半ばの日曜の午後だった。

    前回読んだ、十一月の扉がとても良かったので、図書館に在庫のあるものから。
    お恥ずかしながら、あんなに作品数のある方だとは知らず。なんで読む機会がなかったんだろう。

    今回も大変記憶に残る、いい本だった。絵もすばらしい。
    小谷津さんも素敵なキャラだけど、息子さんの誠也さんがよかったなぁ。
    まだティーンの主人公たちに向かって「〜だから、母が、こうして、きみたちと仲良くしているというのが、実は非常に不思議なんです。きみたちくらいの、まさに思春期の子どもなんか、鬱陶しいと思うような人だと思ってましたからね」とハッキリ。

    作者が描く大人は、いつも正直に生きている人が多い。
    そんで、おばあちゃんでも子どもを鬱陶しいって思っていいんだ!という清々しい気持ちにもなった。

  • 中学受験する子どもが、国語の過去問に載っていて、きれいな物語だったから全部読みたい、ということで借りてきたこちらの本、色合いで言うとエメラルドグリーンがかっていて、ミステリアスなファンタジーです。
    本人は勉強に忙しく、結局最後まで読めず、私も半分ぐらいまで読みましたが、それ以外の日々の忙しさに時間を奪われ、返却日になったため、そこで返却しました。
    先にガンガン読みすすめたい、最後まで読みたい、とならなかったため星三つですが、途中で中断した際も、ふんわりその世界観に包まれているような不思議な感じがしました。

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著者プロフィール

高楼方子 函館市生まれ。絵本に『まあちゃんのながいかみ』(福音館書店)「つんつくせんせい」シリーズ(フレーベル館)など。幼年童話に『みどりいろのたね』(福音館書店)、低・中学年向きの作品に、『ねこが見た話』『おーばあちゃんはきらきら』(以上福音館書店)『紳士とオバケ氏』(フレーベル館)『ルゥルゥおはなしして』(岩波書店)「へんてこもり」シリーズ(偕成社)など。高学年向きの作品に『時計坂の家』『十一月の扉』『ココの詩』『緑の模様画』(以上福音館書店)『リリコは眠れない』(あかね書房)『街角には物語が.....』(偕成社)など。翻訳に『小公女』(福音館書店)、エッセイに『記憶の小瓶』(クレヨンハウス)『老嬢物語』(偕成社)がある。『いたずらおばあさん』(フレーベル館)で路傍の石幼少年文学賞、『キロコちゃんとみどりのくつ』(あかね書房)で児童福祉文化賞、『十一月の扉』『おともださにナリマ小』(フレーベル館)で産経児童出版文化賞、『わたしたちの帽子』(フレーベル館)で赤い鳥文学賞・小学館児童出版文化賞を受賞。札幌市在住。

「2021年 『黄色い夏の日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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