天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書) (マガジンハウス新書 008)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838775095

作品紹介・あらすじ

資本主義は、民主主義は、日本社会は、
どう“変調”していくのか――? 
予測不可能な時代を生き抜くヒントを
「最先端の知性」がはじめて明かす!


本書では、世界が認めた4人の若き天才が、
「これからの世界と日本はどうなっていくのか」
という問いに“最先端の知見”を元に答えています。

本書に登場する天才たちはみな、
卓越した思考の持ち主であると同時に
優れた実践者でもあります。
彼らの「未来予測図」には、
ビジネスや人生の見え方が
一変するヒントに溢れています。


<本書の内容>
斎藤幸平『資本主義から脱成長コミュニズムへ』
・「限界」を迎える資本主義
・ソ連の問題点
・「科学技術がすべてを解決する」という幻想
・「脱成長」から始まる未来
・世界を救うマルクスの「コミュニズム」
・「人新世の危機」を乗り越える
小島武仁『世界の歪みを正すマッチング理論』
・社会問題を「疑似市場」で解決する
・「ミスマッチ」をなくし「満足度」を高める
・「最高の人事制度」もデザインできる
・「GLAY」から研究者の道へ
・日本の未来は「意外と悪くない」
内田舞『withコロナ時代の「心の守り方」』
・「社会正義」としての小児精神科医
・ネガティブな感情を書き替える「再評価」
・コロナ禍で「心のバランス」を崩す子どもたち
・アメリカ社会の「キャリア」と「育児」
・事実を“そのまま受け入れる”思考法
成田悠輔『「わけがわからない人間」が輝く時代』
・「何をやっているかよくわからない」が理想
・教育は「個別最適化」されていく
・もう「逆張り戦略」しかない
・民主主義を解体構築する
・人が猫に仕える未来? 
・「何の意味のないこと」に精を出す

感想・レビュー・書評

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  • マッチングアルゴリズムによる人と人や企業などありとあらゆるものを結びつけるシステム。うつ病など負の感情を持った時に役立つ「再評価」という考え方。嫌だなと思った事柄についてあとで改めてその嫌な感情を持ったかどうか再度考え直し再評価する。天才達の考え方はやはりどこか違うところがあって参考になりました。

  • 世界に名だたる超有名大学。自分には全っっったく縁のない、頭の回転が超早い秀才の中でもさらに一握りの「天才」が思い描く未来像。その答えが意外とシンプル、というところに面白みがある。ダイジェストなので何度も何度も読んでしまった。

    なぜいま不幸か。これからの人の幸せとは。

    私フィルターなので、プレステ5の映像をファミコンで出力したような劣化が起きるけど。総括。
    物質面では充足しきった今風に言うところの「ニーズの掘り起こし」という経済活動が、逆に枯渇を生んでいる。平たく言えばCMのせいでみんな不幸。何か足りない、もっともっとと常に刷り込まれ、そう思わせてるのが富裕層という勝ち逃げ社会。
    お金ではない価値のレースで、遊び感覚や自分が必要とされている充実感を得る。成長を駆り立てない最適化された社会が、これからを生きる人の幸せ。ってことか。


    成田悠輔さんは直前に出てる『22世紀の民主主義』の要約。難しくない言葉の組み合わせひとつで、なんでここまで知性が出るのかと毎回驚く。
    ──子どもは意味のない遊びに夢中になり、歳をとると意味のない話に夢中になる。それが人間の本質(要約)

    2人目はマルクスだけど一番分かりやすい。資本論の後年「んー、やっぱ経済性を追うだけじゃ不幸になるわ」と視野を広げていたことを知り驚いた。限りある資源再分配の究極形は、人も企業も国も富裕税率95%。
    ──化石燃料中毒がリチウム中毒に代わっても意味はない(要約)

    3人目はデータアルゴリズム。保育園制度は日本死ね。だけど実は公平。収入や労働形態で再配分できてる。仕事と人も同じようにマッチングさえできればもっとWin-Win。

    4人目は児童発達支援やうつの話。気持ちの言語化や、出来事の捉え直しが、成長に疲れ切った心を楽にする。
    ──今日は誰かのために何かをしてあげた?

  • テレビ東京ディレクターによる研究者へのインタビューをベースに書籍化したもののようで、さらっと読めて面白かった。目次と(ふんわりした)感想は以下の通り:

    ●「わけがわからない人間」が輝く時代 成田悠輔
    →アウトローなところから社会を客観的に、冷めた目線で見ていて面白い。人間は意味のない遊びを延々と繰り返す生物で、逆にルール化できる営為は機械に外注されていくだろう、という一言に納得感があった。

    ●資本主義から脱成長コミュニズムへ 斎藤幸平
    →環境問題の対策に乗り切れないインタビュアーの各種質問にしっかり答えきっていてすごいと思った。資本主義を脱却した後のオルタナティブな社会のビジョンも明示していて勉強になった。

    ●世界の歪みを正すマッチング理論 小島武仁
    →マッチングの精度が上がった仕組みを社会に実装することで、多くの人の幸福実現を目指す、アメリカ帰りで一番王道エリート(現行社会体制に適応している)な方。「日本の将来は暗い」と言っていると本当にそうなってしまうから、「社会は変えられる!」と明るい未来を信じてやまないアメリカのシリコンバレーにいる人種を見習えという言葉は一理あるかもと思った。

    ●withコロナ時代の「心の守り方」 内田舞
    →小児精神科の臨床医であり研究者である著者が語る子どもの精神疾患、大人も使える心の守り方。子育てに関する金言がいつも通り多い。

    本書を手に取ったきっかけはコロナワクチン啓蒙活動をしていた頃の内田舞さんのお話を伺う機会に恵まれ、「人と科学とソーシャルジャスティスが好き」という内田舞さんのファンになったから。彼女目当てで本書を紐解いたけど、結局斎藤幸平さんの章が一番刺さった(内田舞さんの章はyoutubeで予習済みだったこともあり)。子が生まれた年に地球沸騰化と騒がれているのがメンタルに来ていて、せめて自分の影響の及ぼせる範囲でアクションが取れる人になりたい。気になっていた斎藤さんの人新世の本、今年中に読もう!

  • とても興味深い内容だった。やっぱり天才は考えることが違うな…。所々、理解できない箇所があり、直接質問してみたいなという衝動に駆られた。

  • (語彙力ないけど)凄い人の色んな考えが分かりやすくさらっと読める本。1時間ちょっとで読了。

    特に新鮮に感じたのは斎藤さんの話。
    脱成長によって本当の意味で豊かで平等な社会を目指す。社会主義と聞くと相反する部分もあるのでは?と思うが成長といいつつ滅亡にも向かっているように感じる日本、地球の今後を案じ、これこそがあるべき姿なのかな?と感じた。
    資本主義には光と影がある、貧富の差、環境破壊
    現代はあらゆるものが過剰、豊かなはずなのにもっともっととお金を求めるのはなぜか?自分の将来、幸せとは?を考えるヒントにもなりそう。

    精神科医の内田さんの話。
    精神的なストレスを軽減するためにはものの捉え方考え方を変えること、再定義が大事
    →本当にその通り、子育てや今対峙している仕事の中でも活用できる考え方。

    こういう頭良い人の話聞く機会って自分の思考力や表現力、伝える力を高める意味でも大事なのかも。
    ということで、
    ▶まったりFUKABORINのYouTube見てみる
    ▶斎藤さんのイベント見つけたので1月に行ってみる


  • 知的好奇心を満たす程、深くロジカルに考察を述べたり、新説が披露されるような本ではない。寧ろ、本著の素晴らしさは、それとは真反対の所にあり、天才たちを手の届きやすい場所まで引き下ろしデフォルメ化する事で、人への興味から学問への入り口に足を踏み入れやすくしている狙いにある。マッタリと読めて、穏やかな気持ちになる。

    意識してそうしている、というのが日経テレ東大学のプロデューサーでもある高橋弘樹氏。コンセプトを補強するのが巻末の天才たちのプライベートエピソードだ。打ち合わせ中にいきなりセロリを食べ始める成田悠輔。会食に牛肉を選ばない斎藤幸平。社会制度上嘘をつかなくてはいけないと言うストレスをアルゴリズムで解決しようとする小島武仁、ダイの大冒険が好きだという。音楽家との出会いを求めてスーパーマーケットまで追跡した内田舞、旦那さんはチェリスト。

    興味関心、ファンである事を入り口にして、自らの好奇心を満たす事は大切だ。人間は個人としての限界を自覚し、ある領域以上の思考については、他者との関係性により決定していく生き物だ。我々が常に持っている答えとは限定範囲における現実解であり、それは必ずしも学問を積み重ねた巨人の肩から見える答えや、全知全能に世の中を知り尽くした上での合理的な最適解ではない。最適解を知る努力をしながら、現実解と折り合いをつけながら生きている。天才とは、最適解っぽさの預言者なのだろう。天才やカリスマに付託して思考や統率を任せる、自らは羊のように。時にそんなマッタリした休息も良いのではないだろうか。

  •  未来のことはどんなに天才だったとしても決してわからないものだし、「天才?を並べりゃ売れる」という安易な企画だと思いました。オーディブルだから聴いたけど紙の本は買わないなぁ。

  • 今、注目されている4人の研究者が、著者からの12の質問に答える。
    それぞれが何を研究しているのか、今の日本社会をどのように見ているか、未来について何を考えているかなどがわかり、興味深く読めた。

    中でも、斎藤幸平さんの答えがとても明快で説得力があった。「人新世の『資本論』」より、彼の考えがわかりやすく書かれていると思った。

  • 最先端の知性に学べ、という主旨で、4人の時の人が登場している。書き方のスタイルとしては、'オフィスアワー'という、教授の部屋を自由に訪れ会話しているような雰囲気で進められている。
    成田悠輔氏は麻布から東大、経済学部で最優等論文で卒業後渡米、MITでドクターを取得してイェール大で教鞭をとる。謂わばエリート街道まっしぐらに見える人生だが、中学から不登校気味で、代わりに多様な大人が集う世界で過ごした経験が、その後の考え方へ影響を与えたと思われる。何をやっているかわからない、ことを理想に、常識にとらわれずにデータ分析で突き詰めていく。これまでの画一化された思考に疑問符を呈する。
    人新世という新たに提唱された時代区分、そこでは資本主義が破綻したと主張する斎藤幸平氏。脱成長にこそ活路を見出すべきという、従来の延長からの離脱を推奨する。格差や分断という混迷した世界に対して再考を促すパワーに期待したい。
    小島武仁氏は、東大経済学部を首席で卒業後渡米、ハーバード大でドクターを取りスタンフォード大で教授に就くが、東大でマーケットデザインセンターが創設され初代所長として戻ってくる。
    社会制度への関心が高く、資源や人を最適に調整するマッチング理論の研究を進める。海外に頭脳流出する日本の教育現場に対し警鐘を鳴らす。
    3児の母であり、小児精神科医の内田舞。女性活躍に対する男性の偏見に満ちた日本を脱出すべく、猛勉強の末史上最年少で米国臨床医になる。自身の幼少期に過ごした海外体験から、偏見や差別に対して弱者を守る社会正義への意識が芽生える。コロナ禍での病状や自身の子供たちとの関わりを通して、臨床医としてのフィードバックを積み重ねる。まっとうな議論や正論が通りにくい、男性中心社会へ風穴を開けることを期待したい。

  • 内田先生の自分の行動や考え方で意味付けを変えられる出来事に対しては「再評価」、自分のコントロール下にない出来事に関しては「ラジカル.アクセプタンス」というのを実践してみようと思う。
    日経テレ東大学好きだったのになー。

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