この本が、世界に存在することに (ダ・ヴィンチブックス)

著者 :
  • KADOKAWA(メディアファクトリー)
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840112598

感想・レビュー・書評

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  • この本、むちゃくちゃいい。

    角田光代さんは初めてだったけど、スラスラ読めた。

    泣ける…

  • 本の本。
    ひとつひとつの話が本に絡んでいて面白い。旅や、恋や、空想、身に覚えのある体験がたくさん。

    表現も面白い。失恋は、台風と洪水と大地震に、落雷と津波と土砂崩れが追加したもの。だって。
    確かに。

  • 読んでいてこれは角田さん自身の話?と錯覚してばかりいた小説でした。
    うまいな~と思います。
    そして、本が大好きなんだなと。
    よい本でした。

  • そこへ立つことの意味。

    角田光代さんの「この本が、世界に存在することに」を読み終えた。筆者あとがきの最後に「あなたと本の蜜月の話を聞かせてほしい」とあった。「わたしと本の蜜月」って何だろうと考えると、遠い記憶が次々によみがえってきた。

    小学生の時に夢中で読んだ黒部ダム物語

    中学の時に読んだエジプトピラミッドなど世界中の遺跡の話

    埃っぽい匂いを覚えている西陽の射す高校の図書室の本棚の間で読み漁ったアルプスやヒマラヤを舞台にした世界山岳全集

    社会人になって読んだ五木寛之のイスタンブール夜景の短編がある「世界漂流」

    中沢新一の評論で強烈にインパクトを感じたインドネシア・ジャカルタ博物館の1シーン「扉の快楽」(野ウサギの走り)

    アラスカ長年の趣味のカヌーのきっかけとなった本「宇宙船とカヌー」の中でのカナダやアラスカの風景

    この多くが「いつか実際にその場に立ってみたい」を実現してきたところである。 その場に立ってみると長年の念願がかなった感激で「やはり本で読むのと、その場に立つことの意味は全然違うなあ」と高揚したものである。ただ、今、こうして振り返ろうとすると、どちらかと言えば、本の世界に入り込んで、全く知らなかった頭の中の強烈なイメージに夢中になり、ドキドキワクワクしていた気持ちの方が強く感じるのが不思議だ。
    そこへ立つことの意味、実際の場に立つリアリティーの重要性。ずっとそう考え続けていたつもりでいたが、実は「そこに立っていないことの意味」が私にとって重要だったのだと思えてきた。実際に立った後よりも、立つ前にこそ、想いを積み上げ、行動力を作り出してきた自分がいる。そのエネルギーは、そこに立つことで「ドライブ力」を失う替わりに、そこでしか知りえない事実の発見が「慣性力」となって、生活の軌跡を微妙にカーヴさせていく。

    アルプスやヒマラヤなど高校時代に読みふけった山岳小説の舞台は
    今まだ「いつか実際に立ってみたい」場所である。

    まだまだ本のドライブ力は続いているのだ。

    ---------
    (後日談)
    2011年、ユーロッパアルプス3大北壁を見ることができた。
    ヒマラヤは未だ「そこに立っていない」憧れの場所である。

  • 私もこの本に出会えてよかったなって思った

    私も角田さんと一緒で、本はその世界に入れるから好き
    読んでいる間は夢中でその世界の中にいる
    面白くて興奮した本は読み終わってもなかなか現実の世界に戻ってこれない時もある
    この本もその1つ。

    私はあまり何度も同じ本を読まないけれど、確かに本は自分が成長したって気付けるツールの1つだと思う



    「だれかを好きになって、好きになって別れるって、こういうことなんだとはじめて知る。本棚を共有するようなこと。
    たがいの本を交換し、隅々まで読んでおんなじ光景を記憶すること。記憶も本もごちゃまぜになって一体化しているのに、
    それを無理矢理引き離すようなこと。
    自信を失うとか、立ちなおるとか、そういうことじゃない、
    すでに自分の一部になったものをひっぺがし、永遠に失うようなこと。」

    「本の抜け落ちた本棚が、同じ本棚で埋められることはもうないだろう。ハナケンのあの立派な本棚も同じことだ。けれどそれはかなしいことでもないはずだ。私たちは、たぶん、本なのかの印象的な光景を思い出すように、書かれていない女の子の服の色まで即座に思い出せるように、共有した時間を持ち続けるのだろうから。」

    「死ぬのなんかこわくない。死ぬことを想像するのがこわいんだ。
    いつだってそうさ、できごとより、考えのほうが何倍もこわいんだ。」

  • 「本」にまつわるストーリーが沢山詰まった短編集。一冊の本が、人から人へと旅をしたり、大きな意味を含んでそこに存在したり、あるいは、本と自分との相性だったり。未開拓の未知の扉を開けるような、本の世界に入り込んだり、浸る気持ちは私も同じで共感しました。

  • 泣きたくなるほどいとおしい、ふつうの人々の“本をめぐる物語”が、あなたをやさしく包みます。心にしみいる九つの短編を収録。
    「旅する本」「だれか」「手紙」「彼と私の本棚」「不幸の種」「引き出しの奥」「ミツザワ書店」「さがしもの」「初バレンタイン」

    著者が自身の本とのつきあいを振り返る書下ろしあとがきエッセイ--「交際履歴」

    。・゜*・。・゜*・。・゜*・。・゜*・

    H24.7.29 読了

    彼から某人気まんがを一緒に揃えようと言われたが、ちょうど「彼と私の本棚」を読んだ後だったため頑なに拒否した(笑)

  • 只々、このタイトルを目にしただけでやられた。

    ーが世界に存在することに。
    毎朝、その幸福に感謝する。


    内容紹介-amazonより
    第132回直木賞受賞作家角田光代が、本への愛情をこめて描く新境地! 泣きたくなるほどいとおしい、ふつうの人々の“本をめぐる物語”が、あなたをやさしく包みます。心にしみいる九つの短編を収録。
    学生時代に手放した本と、異国の古本屋でめぐりあう……。--「旅する本」
    子どもの頃のぼくにとって、ここは世界への扉だった。--「ミツザワ書店」
    おばあちゃんが欲しい本を探し、私は今日も本屋をめぐる。--「さがしもの」
    人に本を贈るのはむずかしい。とくに、好きな人には。--「初バレンタイン」
    著者が自身の本とのつきあいを振り返る書下ろしあとがきエッセイ--「交際履歴」

  • 読みやすい。あっさり。

    何が良いのかわかりません。
    ただ流れていく文章。

    角田光代さん2冊目だけど、向いてないみたい。

  • 恋人の本棚と、自分の本棚が似通っているという経験は、本好きならば一度は経験しているのでは?
    そもそも、本棚のセンスで相手を見極めていたりして?!

    偶然の出会いや、思いがけないエピソードを、本はもたらしてくれる。そんな素敵な本に、私はこの先、どれだけ出会うことができるだろう。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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