こごえた背中の、とける夜(MF文庫 ダヴィンチ) (MF文庫 ダ・ヴィンチ さ 1-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840131445

感想・レビュー・書評

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  • 雨の日に出会った20歳の男と共に暮らすことになった42歳独身時計屋の男。
    ずっとずっとシンプルで、BLというよりかは一人の人間と一人の人間の恋愛。それがたまたま男同士だっただけのような、本当にシンプルな味のする恋愛小説。
    商業BL小説にありがちなギラギラとした装丁やソレッぽいタイトルでも何でもなく、ましてや受けが若くて可愛いわけでもない(42歳にしてはセリフが可愛いけれど)

    商業BL「っぽさ」に疲れた人が待ち望んでいた一冊なのではないかと思う。



    42歳まで独身の男が男を、しかも20歳の男をかこうリスクや背徳感、周りの目が気になって胸がきゅうと締め付けられるような感覚。足の裏からもぞもぞと這い上がる、何だかよく分からない申し訳なさ。
    母に対してどういえばいいのか、彼の兄弟には、自分の知り合いの女性には、一体「どう」説明すればいいのか。
    並べば親子か兄弟に見えるような、そんな周りの目にも怯えてしまう年頃の男。
    商業BL小説にありがちな「押せ押せ」という感じはほとんどなく、しっとりと本当に自然に主人公を求めてくる若い男がとてもスマート。
    でも20歳だからヤキモチも妬くし、主人公の母に対して罪悪感も持ったり、もちろん欲情してみたり。
    取り繕わないそのままの20歳の男が反対に今までBLとしてではなかったかなと思う。

    文芸作品を読むのは疲れるし何を読んだらいいか分からない。そもそも何がいいのか。
    商業BL小説はもう疲れた、そんな年齢でもないし、あのノリはちょっと。
    「同級生」やヤマシタトモコ先生の作品、オノ・ナツメさんの作品の空気が小説でも味わいたい人は、何も考えずに読んでほしいし、

    正直、そうでなくても……もう迷わず本棚でこれを手に取ってほしいと思う。

  • 背が低くコンプレックスのある42歳の時計職人と背が高くマネキンのように美しい20歳の彼。
    突然降り出した雨の午後、駅のホームで出会った二人は恋に落ちた。

    傘を貸したことがきっかけで、名前しか知らない相手と転がり込んできたまま同棲するって、なかなかな始まり。
    愛されていることを素直に受け入れられない気持ちとか、いつか別れる未来を考えてしまったりとか、恋愛に臆病な42歳の姿がせつない。
    自分の半分以下の年齢で、外見もよくて、仕事もできて、そんな人がなぜ?って思うのはコンプレックスがあるが故なのか。
    素直になれないってつらい。

  • モデルルック21歳翻訳家宇宙人×チビ43歳時計屋。萌えるので✋✋✋
    蛍の若さと美しさに野月はいつまでも臆する。それまでゲイの自分は一人と恋愛を埒外に置いていた野月はそれが怖いのだ。←かわいい
    何も言わない蛍に、野月は関係が壊れるのが怖くて聞けない。
    やはり蛍には秘密があった。「兄ちゃん」と関係があったのだ。
    恋愛に臆していた野月が蛍の為に兄と話し合う強さを発揮する一途さたまりません。
    野月の母さんも良い母で、他のキャラクターそれぞれ生きていて素敵な作品でした。

    しかし、他の方々も書かれてるが久々にブックカバーしたなあ笑 この表紙でBLじゃないっていうのはなあ^^;

  • 始まりが唐突すぎるけど、前作よりこちらの方が好みだな。主人公・野月の雰囲気がいい。ひとりでの生活に慣れている中、蛍が飛び込んできて、困惑しつつも少しずつ、蛍という存在を受け入れていく過程が良かった。来年の夏にもいる気なのかな?なんて思っていたくらいなのに、最終的には大切な存在になってるんだもんなぁ。野月がゆっくり変化していく様が、読んでいて気持ち良かった。でも蛍の家族の話、あんなエピソードにしなくても…。
    反対に、野月の家族の話は良かった。いいお母さんだなぁ。お母さんの言う通り、家族のラブシーンなんて見たくないよな(笑)。

  • 「きみの背中で~」を読んだ時に合わないかなと思っていたのに、今作ではどっぷり嵌まりました…。やっぱり文章が綺麗。この表現いいなあと思う描写がたくさん。ちょっと残念だったのは終わり際で時計を渡すシーンが省略されてしまった事! 敢えての事だとわかっていても蛍の反応が見たかった…。
    あと沢木さんの描く女性はみんな芯が強い感じがして好きです。

    そしてやっぱり表紙で損してるような気がする><
    そういう小説たくさんあるよね、いっそ全部無地で統一してくれてもいいのにな。

  • 同性愛って難しいな・・・
    と思いつつ、これがゴールと言うものもないし(男女間の恋愛でもそうか)ちょっとグダグダな感じで無理矢理最後は綺麗に収めようととしてる感が残った。

  • 沢木さんの静かで暖かな文章がとても好き。恋愛っていいものなんだなって実感する。

  • 好きな人と自分の間にギャップみたいなものを感じたときに、なんとなく読みたくなる本。
    終盤の展開は、ちょっとだけ現実離れしているかも?

  • 2冊目のBL系小説。

    恋愛小説が元々それほど得意でないから、
    あまり楽しめなかった。
    もう前半を忘れてる。

    BLだから、というより
    単に恋愛をする様子に共感を抱けなかった。

  • 恋愛小説、ですよねー
    解説にあるように、恋に臆病な人向けの。
    あはは、ウチアタイするところがあちこちに(笑)

    同性同士の恋愛を描いている訳ですが、性交の描写が削ぎ落とされているので、BLってところには納められませんな。
    ちょっと都合の良い展開とか気になりはしますが、近所や親の目が気になるといった素材の描き方はよいと思います。

    この「ちょっと都合の良い展開」とか、登場人物中における同性愛者の含有率とかBL的だなと思うのですが、そのBL的な雰囲気である種の生々しさが払拭されて、良い意味でのファンタジーとしてできあがっていると思います。
    橋口亮輔のものよりかは、落ち着いて読めるって感じですかね。

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