古代金属国家論 (立東舎文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845628766

感想・レビュー・書評

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  • 自学追及によりある程度纏まりつつあった、日の本水本ニッポンの持論に強力な後ろ盾を与えてくれた書物だった。
    読後敢えて言うならもっと早くにこの書物にであっていたらこんなに長い旅は不要だったのに。だが、著者でもある内藤正敏氏の評として書かれているフィールドワーク現場主義という言葉に肖り、出会うべくして出会ったと捉えてこの時を感謝しよう。鉄と神々に丹生と大仏に平泉と修験
    僕の旅の終焉と新章開始を喜び書評といたします◎

  • 「日本」が山伏をいかに恐れていたか、彼らの持つ金属加工技術をいかに欲しがったか、という壮大な話。脈々と続く歴史の中でヤマが果たした宗教的な意味を確かな記述で読み取れる本。東北という地域の特異性なんかもすごく良くわかる。内藤正敏の他の著作も読みたいね。

  • 本書は、1980年に上梓された松岡正剛と内藤正敏との対談『古代金属国家論』を文庫として復刊したものである。実質的には松岡はインタビュアーに徹し、内藤の「宗教科学民俗学」「古代金属文化論」と呼ぶべき知見を縦横無尽に語らせている。
    議論の中心となる場所は、出羽三山を擁する奥羽山岳地帯である。化学者としての専門知識と山伏としての修行体験から、内藤は山岳地帯を拠点とする古代修験者たちは単なる呪術者集団ではなく、中国道教の煉丹術を継承した科学技術者集団であると考えた。その最たる技術が金属資源の開発である。
    聖武天皇の大仏造営事業による金属需要をきっかけとして、大和政権は東北地方の鉱脈地帯に目をつけ侵攻を開始する。その攻防は最終的に奥州藤原氏が滅亡するまで続き、それ以降も山岳地帯の呪術と技術を支配することが権力者の条件となったという。
    ともすれば稲作文化に偏重しがちな日本民俗学において、谷川健一と共に金属文化の重要性を問うた業績の嚆矢と言えよう。

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著者プロフィール

1938年生まれ。写真家・民俗学者。著書に『遠野物語の原風景』『修験道の精神宇宙』また写真家としては『出羽三山』『婆・東北の民間信仰』などで土門拳賞・日本写真家賞を受賞。

「1999年 『日本のミイラ信仰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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