恋愛論 (立東舎 乙女の本棚)

  • 立東舎
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845639533

作品紹介・あらすじ

人気シリーズ「乙女の本棚」第36弾は、文豪・坂口安吾×イラストレーター・しきみのコラボレーション!エッセイとしても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 二十七乙女読了です♪

    坂口安吾さんは、日本の小説家、評論家、随筆家で、昭和の戦前・戦後にかけて活躍した近現代日本文学を代表する作家の一人です。本名は坂口炳五で、1906年に新潟県新潟市に生まれ、1955年に群馬県桐生市で死去しました。純文学のみならず、歴史小説や推理小説も執筆し、文芸や時代風俗から古代歴史まで広範に材を採る随筆など、多彩な活動をしました。代表作には『堕落論』『白痴』『二流の人』『不連続殺人事件』などがあります。

    そして乙女の本棚と言えばの「しきみ」さんとのコラボ作です。

    <ガッツリあらすじ>
    『恋愛論』は、坂口安吾がスタンダールの同名の著作に触発されて書いた随筆です。恋愛を人生の建設と文化の創造につながるものとして捉え、自らの恋愛体験や文学作品の例を交えながら、恋愛の本質や種類、発展段階、困難や苦悩などについて独自の見解を展開していきます。

    坂口は恋愛を四つの類型に分けます。それは情熱的恋愛、趣味的恋愛、肉体的恋愛、虚栄的恋愛です。情熱的恋愛は、相手の魅力に心を奪われ、一途に愛するものです。趣味的恋愛は、相手との駆け引きや会話を楽しみ、恋愛そのものを趣味とするものです。肉体的恋愛は、相手の肉体に惹かれ、性的な関係を求めるものです。虚栄的恋愛は、相手の地位や財産に目をつけ、自分の利益や名声を高めるために恋愛をするものです。

    また、恋愛の発展段階を七つに分けます。それは感嘆、希望、恋が生まれる、第一の結晶作用、疑惑が表れる、第二の結晶作用、恋が終わるです。感嘆は、相手の美しさや才能に感動することです。希望は、相手と親しくなれる可能性を感じることです。恋が生まれるは、相手に対する愛情や憧れが芽生えることです。第一の結晶作用は、相手の欠点を見えなくし、美点を誇張することです。疑惑が表れるは、相手の気持ちや行動に不安や猜疑を抱くことです。第二の結晶作用は、相手の欠点を受け入れ、美点を再発見することです。恋が終わるは、相手に対する愛情や憧れが失われることです。

    恋愛において重要な要素として「結晶作用」を挙げます。結晶作用とは、恋する人が相手に対して抱く心理的な作用で、相手の魅力を増幅させるものです。結晶作用の名前の由来として、塩の結晶ができる過程を例に挙げます。塩水が冷えると、水分が蒸発し、塩が結晶化するとき、水面に浮かんだ枯れ草や小石などに塩の結晶が付着するという現象が起こります。このとき、枯れ草や小石は塩の結晶の核となり、塩の結晶の美しさを引き出します。恋する人が相手に対して結晶作用を起こすとき、相手の些細な言動や仕草などに恋の核を見出し、相手の魅力を想像力で飾り立てるということを説明します。

    恋愛には多くの困難や苦悩が伴うことを認めますが、それでも恋愛をすることに価値があると主張します。恋愛をすることで人間は自分の人生を一生を建設し、文化を創造することができると考えます。恋愛を通じて自分の感性や思想を磨き、相手との対話や交流を通じて自分の世界を広げることができると述べます。恋愛をすることで人間は自分の存在意義や生きる喜びを見出すことができると信じます。恋愛をすることで人間は自分の人格や個性を発揮し、相手との関係や社会に貢献することができると期待します。

    恋愛について独自の視点で考察し、自らの恋愛体験や文学作品の例を交えながら、恋愛の本質や種類、発展段階、困難や苦悩などについて述べた随筆です。恋愛を人生の建設と文化の創造につながるものとして捉え、恋愛をすることに価値があると主張しました。

    以上がガッツリあらすじですが、本書は乙女の本棚シリーズですので、はしょってはしょって読みやすくまとめてくれています。





    人気シリーズ「乙女の本棚」第36弾は、文豪・坂口安吾×イラストレーター・しきみのコラボレーション!
    エッセイとしても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

    恋愛は、人生の花であります。いかに退屈であろうとも、この外に花はない。

    「人間永遠の問題」だという恋愛。『夜長姫と耳男』などの傑作小説で知られる著者が、その奥深さを語る。

    坂口安吾の名作が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは萩原朔太郎『猫町』、『詩集『青猫』より』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、谷崎潤一郎『魔術師』、泉鏡花『夜叉ヶ池』を担当する大人気イラストレーター・しきみによって描かれる。
    名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
    自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

    著者について

    坂口安吾
    明治39年(1906年)新潟県生まれ。東洋大学文学部印度哲学倫理学科卒。アテネ・フランセにも通う。1955年死去。代表作に『堕落論』、「白痴」などがある。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『桜の森の満開の下』(坂口安吾+しきみ)、『夜長姫と耳男』(坂口安吾+夜汽車)がある。


    しきみ
    イラストレーター。東京都在住。『刀剣乱舞』など、有名オンラインゲームのキャラクターデザインのほか、多くの書籍の装画やファッションブランドとのコラボレーションを手がけている。著書に『夜叉ヶ池』、『悪魔』、『詩集『青猫』より』、『魔術師』、『桜の森の満開の下』、『夢十夜』、『押絵と旅する男』、『猫町』、『夜話 Forgotten Fables』、『獏の国』がある。

    • ヒボさん
      来月新刊出るんですね♪

      楽しみですが、完全読破はまだまだ先になりそうですね^^;
      来月新刊出るんですね♪

      楽しみですが、完全読破はまだまだ先になりそうですね^^;
      2023/12/27
    • かなさん
      ヒボさん、図書館に入ったので読んでみました!
      でも…よくわからなかったが、正直な感想で…
      いやぁ…恋愛を極めてみたかったんですけどねぇ(...
      ヒボさん、図書館に入ったので読んでみました!
      でも…よくわからなかったが、正直な感想で…
      いやぁ…恋愛を極めてみたかったんですけどねぇ(^▽^;)
      2024/02/28
    • ヒボさん
      かなさん、お疲れ様でしたー
      (´・ω・)つ旦

      随筆家ですからね(^_^;
      私も理解出来ないことが多かったので、ガッツリあらすじにしてみまし...
      かなさん、お疲れ様でしたー
      (´・ω・)つ旦

      随筆家ですからね(^_^;
      私も理解出来ないことが多かったので、ガッツリあらすじにしてみましたが、それでも...
      ¯\( ˘–˘ )/¯
      2024/02/28
  •  乙女の本棚シリーズから、坂口安吾さんとしきみさんのコラボ作品『恋愛論』です。図書館に入るのを楽しみにしていた一冊です!この表紙、ちょっと見、可愛いんだけれど、でもよ~く見ると、怖い感じ…さすが、しきみさんです。

    「恋愛とはいかなるものか、私は知らない。」からはじまるのに、最後は「恋愛は人生の花であります。いかに退屈であろうとも、この外に花はない。」と締めくくられています。作中の「ただ、われわれは、めいめいで、めいめいの人生をせい一ぱいに生きること、それをもって自らだけの真実を悲しく誇り、いたわらなければならないだけだ。」このページは好きです。

     ちょっと思っていたのと違ったかな…坂口安吾さんの持論の恋愛論で、共感できる内容もあるけれど…最初から最後までずっとちょっとかたいんですよね…。私の読解力もですけど、恋愛をそこまで極めたこともなく(汗)ちょっと読みにくかったです。でも、ここまで恋愛について論じられるのもスゴイと思っちゃったりもしました。

    • かなさん
      1Q84O1さん、楽しみにしててくれてありがとうございます!
      もう、ここで、コメントくださっている時点で
      隠れてないので、隠れ乙女は返上...
      1Q84O1さん、楽しみにしててくれてありがとうございます!
      もう、ここで、コメントくださっている時点で
      隠れてないので、隠れ乙女は返上ですね(;・∀・)
      正々堂々、「乙女」でいきましょうか♡
      2024/03/02
    • 1Q84O1さん
      いやいやまだです!
      まだ隠れは返上できません!
      あくまでも隠れ乙女で貫き通します!w
      いやいやまだです!
      まだ隠れは返上できません!
      あくまでも隠れ乙女で貫き通します!w
      2024/03/02
    • かなさん
      1Q84O1さん、まだまだ、
      “隠れ”ますか(*'▽')
      照れ屋さんですねぇ♡
      1Q84O1さん、まだまだ、
      “隠れ”ますか(*'▽')
      照れ屋さんですねぇ♡
      2024/03/05
  • 「恋愛は人間永遠の問題だ。人間ある限り、その人生の恐らく最も主要なるものが恋愛なのだろうと私は思う」 恋愛という謎は面白い。脳科学的にもどのようなメカニズムで人を好きになるのか?ドパミン、セロトニン等の神経伝達物質が放出されるのですが、恋する理由は無数あり、それらを特定するのは難しいらしい。人は恋愛をして裏切られ、また恋をするという繰り返し。人間はバカなので繰り返す。バカは死んでも治らない。でもこのエネルギーこそ生きている証拠。この本を読んだ理由、決してモテようと思った訳ではないが、バカはとても美しい。⑤

  • 坂口安吾は、残酷でセンセーショナルな作品を書くイメージがあったが、この恋愛論は真面目な論説文でそのギャップに驚いた。
    物語でない論説文にイラストが入ると、物語を読んでいるような気分になり不思議な感じがした。普段とっつきにくい論説文もこのようにコラボして、イメージが広がる形でどんどん読めたらいいのに、と思った。
    恋と愛のニュアンスの違い、日本語の多様な同義語が雰囲気的過ぎるという話には、納得感があった。万葉集や古今集の恋歌が、動物の本能の叫びに過ぎないと切り捨てるのも、なんとも清々しい。人生とは、その本能の世界から抜けてめいめいが世界を建設するもの、常識という規則で満たされなくなった心が、良俗に反する文学を生む、という下りは、なるほど!と思わされた。
    常識=醇風良俗なるものは、真理でもなく正義でもない。めいめいの人生を精一杯生きるだけ、という考えには希望が見いだせる。
    恋愛によって満たされることはなくても、孤独な人生において、恋愛は花である。その言葉を聞いて、度々訪れるであろう花の時間を大切にしたいと思った。
    読む時々によって、刺さる言葉が違うような気がしたので、またぜひ読みたい。

  • 少女の本棚の新刊!ぱっと目を惹くやわらかで可愛らしい桃色の背景、しかしよくみると肋骨に守られ頭蓋骨に頬ずりするかのような少女の様子が毒々しい素敵な装丁です。
    読むのはこれが初めて。恋愛とはなんぞや、と坂口安吾が訥々と説いていくのだけれど、これがもう名言の宝庫なのである。
    切支丹が渡来したころ、それまで「愛する」という概念がなかった日本国で、「神の愛」「キリシトの愛」を解釈するのは難儀なことであったという。困惑し苦心しつつもどうにか置き換えたのは「神のご大切」「キリシトのご大切」。
    すなわち、「余は汝を愛す」というのを、「余は汝を大切に思う」と訳したのだそうだ。
    私はこれまでもつねづね「愛する」という言葉には懐疑的で、自分のなかの複雑な感情や、相手への多層構造な想いが、出来合いの箱に乱雑に押し込められてしまうような気がしていた。途端にこの手を離れ、嘘っぱちでただの空虚になってしまうような。
    これは奥ゆかしい日本人なら大概にあてはまる特有の感性、と言ってしまえばそれまでなのかもしれないけれど、ともかく「愛」についてはもっと自分の言葉や体験で理解したいと思っている。だから、本作のようにその概念に真っ向から対峙する蒼炎のような作品は好きだし、いっぱい読みたい。

    けれど、愛についていくら考えたところで、恋するのはそれらを優に超越する不可抗力なのでたちが悪い。
    どんな言葉も御託に成り下がり、感情はすべてが制御不能になるのであって、そうやって頭がおかしくなって結婚し(てしまっ)た今の私ですら、そんなこと面倒で懲り懲りに思える。

    〈大人はそうではない。情熱自体が知っている。恋は幻だということを。〉

    だから、恋が幻であることを知っている不幸な大人が恋することはもう難しい。難しいけれど、万が一これから恋に搦め捕られるようなことが起きてしまったら、もちろんまた幻のなかで同じ過ちを繰り返してしまうのだと思う。
    坂口安吾も言っている。若いうちはたくさん恋愛をするといい。恋愛することでしか手に入れることのできない感情やあたたかさが、たくさんある。恋なしに、人生は成り立たぬ。
    人生はもともとバカげたものであるのだし、恋愛だってバカげているけれども、それは最も尊いものであるのだから、バカを怖れたもうな。

    〈ああ、孤独。それをいいたもうなかれ。孤独は、人のふるさとだ。恋愛は、人生の花であります。いかに退屈であろうとも、この外に花はない。〉

  • 今の私ではうまく理解できませんでした。

    もう少し時を経て、物事が分かるようになったら、作者の言うことが分かってくるのかなと思いました。

    ありがとうございました。

  • 最初は恋愛を知らない子の純粋な恋愛に関する気持ちかと思ったが読み進めていくうちにだんだんと悲しみに満ちていくようなそんな風に感じました。
    恋愛というのは目にはみえない心でのやり取りなので難しいですね。

  • 「恋愛論」というタイトルながら、人生論・生き方論といえる内容。
    初出は47年とのことだから、結婚恋愛もまだまだやるべき・すべきという圧力があった時代だけれど、令和現在の生き方や人生にも通じる。
    旧さや価値観の押し付けを感じない。
    むしろ今のSNSであふれる価値観の対立、今の時代の圧力への警句・アドバイスにもなる一節もあって、心が軽くなる。
    かわいらしいながらダークなしきみ先生の絵も魅力的。

  • ここまで真面目に恋愛について考えたことなかったから、新鮮に読めました。
    言葉の表現が易しくて、わかりやすいのも好印象!
    このシリーズはかなり好き!

  • 【愛と恋と恋愛の意味について】
    この恋愛論はここで初めて読んだ。絵本として読むとまた違たテイストで読めるのかな、と思った。
    日本語の、愛、恋する、恋愛について、著者なりの考えが書かれている。恋愛は幻影だけど無駄なものではない、そして恋愛はそれぞれで、一般化できるものではないからたくさんの小説などが今もこれまでも作られている、というところが印象的だった。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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