- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784860112523
感想・レビュー・書評
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子供の頃は年間1000冊、大人になってからも年間300冊~500冊。自他ともに認める重度の活字中毒の声優・池澤春菜さんの書評エッセイ。
まず本そのものが可愛らしい。
女性の手のサイズくらいの大きさのソフトカバー。
片手だけで楽々持ち広げて読める重さ。
表紙の壁一面の本。(本好きなら思わず書名を確認したくなるだろう!)
そこにキュートな笑顔で本を広げて佇む美女。
その美女がすすめる本は殆どSF 、ファンタジー界隈のもの。
読んだことがある本は一冊もなかった。
普段だったら絶対スルーしていると思う。
でも、彼女の文章読んでると読みたくなるんです。
親しみやすさの中にも知性が垣間見えてううむ、と唸りました。食べ物関連の比喩が多い。食いしん坊さんと見た(笑)
合間合間に挟まれる‘18年前のエッセイ’は本編の本エッセイと比べるとピチピチ跳ねている感じです。好きな本の傾向は一緒でも、使う言葉が違っていて長い歳月を感じる。
「紙の本禁止してipadと一週間過ごす」日記風コラムと著名な父と祖父と‘書くこと’についてのエッセイ、お父様の池澤夏樹さんとの対談もあります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とてもよかったー!興味を持った本に付箋どころか、付箋を貼らないページが見当たらなさそうで諦めました。ブックガイドや書評の類の本がだいだいだいすきなわたしですが、やっぱり、小難しいこと言われたり、これはこういうとこが優れてる云々を通っぽく分析されてるより、本への愛が溢れてるやつが良いですよねー。わたし自身、そこまでたくさん読んでるわけではないけど、こう、ものすごい行為じゃなくて、とても楽しくてうっとりする娯楽として読書を好んでいるので、そういう姿勢が感じられる書評やエッセイはとてもすき。桜庭一樹さん然り、豊崎由美さん然り、恥ずかしながらこの本で今回初めてお名前を知った池澤春菜さん然り。
そして愛があってよく読むひとたちは、ことばの選び方がとても素敵だー。やたら難しいことばを使うとかじゃない。なんとなくだけど、ことばに普段たくさん触れてるんだなあとわかるかんじ。
装丁やフォントや中のデザインやカバーを取った表紙なんかもきゅんとする雰囲気。実はTwitterで書名を知って買おうかなと思ってから、ブックファーストで探してもらったら在庫有りと検索で出るのに見当たらず、店員さんに「本当に申し訳ありません…でも素敵な本なのでぜひ…!」とまで言われて、そんなの言われたの初めてだなあと。その後ほかの書店で購入したのですが、本当に買って良かった!!!!ぜひぜひぜひ、また書評集、出していただきたいです。-
misatoさん、お返事ありがとうございます。
「乙女の読書道」のmisatoさんのレビューを見つけちゃったので、嬉しくてまたまたコメント...misatoさん、お返事ありがとうございます。
「乙女の読書道」のmisatoさんのレビューを見つけちゃったので、嬉しくてまたまたコメントしちゃいました。
わたしもこの本買いましたよ。
わたしの場合は図書館で借りて、どうしても欲しくなったので、手に入れちゃいました。
わたしがSF・ファンタジーに興味を持ち始めたのは、この本のおかけです。
misatoさんのおっしゃるとおり、表紙だけでなくフォントや中のデザインもすてきです。
はっ、カバーを取った表紙?!
それは気かなったです。なんと!
表紙まで外して「可愛いい」を確認された
misatoさんに負けました……笑
長々と失礼しました。
これからもmisatoさんのレビュー、楽しみにしてます☆2020/04/18
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『本の雑誌』の連載で読んでいたのだけれど、単行本にまとまったものを連休中に楽しむために買ってみた。いやあ、可愛い版型!これぞ乙女サイズ!
連載を知っている読者は、「ああ、池澤さん、こんな感じだよね、ふふふ」と含み笑いしながら読み始めるのだが、その方面の池澤さんをご存じないかたは、この乙女造本に惑わされて本を開くと、「うへえ、マジすか?」となってしまうに違いないラインナップ。しかもガチ濃厚SFファンタジー本をメインに繰り広げられる、本に対する怒濤の愛情ダダ漏れ応援スピーチのかずかずに、思わず後ずさりしてしまうことは確実だと思う(笑)。
でも、この怒濤の愛情ダダ漏れの本紹介は、ガチながらも軽やかで、読んでいても決してうるさくない。本好きの女の子が、図書館で面白く読んだ本を、たまに会う、本好きの大人の親戚にきらきらした瞳で話してくれるときの空気がそこにあるような気がする。ただ、この大人は愉しく「本仲間」として話すんだけど、お父さんやお母さんはそれを毎日浴びせられて、半ば被害と化しているような空気もちらちら感じながら(笑)。池澤さんは実際、そういう読書体験を数えきれないくらいにしていらしたのだろう。選ばれたラインナップが、愛と勇気と夢のあふれる児童文学の系譜を継いだ、上質の物語ばかり(だと思う)なので、よけいにそう感じる場面が多かった。
書評の合い間に差しはさまれる女子エッセイや、「紙の本禁止1週間体験」といったエッセイもチャーミングだし、巻末にはお父さまとの対談と、すべてが「池澤春奈はこれとあれとそれでできてます」というパッケージングそのもの。池澤さんが魔法で1冊の本にされてしまったら、こんな本になっちゃうんだろうな…と、乙女なことを思わずにはいられない、ガチ可愛いブックガイドでした。それにしても、表紙の本棚、すげえっす! -
何年か前何かの写真で、本棚の写真みたけど今回の表紙の棚その時からものすごく本増殖してる(゜ロ゜;
タイトル隠れてるけどわかる本ありますね。高河ゆんとか守り人シリーズとか。
一通り読んでみた。
書評よんで、興味ある本みつけて図書館に足向くきっかけできたのはいいなとおもいました。 -
読書案内。最初はなんだかおとなしめだなと感じたが、後半へ進むにつれてそうでもないと思い直した。本作に更なるSF愛と熱量を加えたのが次作なんだろう。たしかに傾向は偏っているが、シンプルに面白いから読むという気持ちが伝わってくるから好き。父娘対談も日頃の関係性が滲んでいてホッとした。それにしても、iPadで過ごす一週間は辛そう。電子書籍リーダーはねぇ。紙の本と比べるとどうしても……。
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中身のことは少し言いにくいけど、書評がいっぱい書かれていて、私的には読みやすかった!ただ、私の知らない作品ばっかりだったから…書評される本を1度読んでからこっちをみたら、また別の見方が出来るかなって思う。1回では消化しきれない部分もあるから、もう一度読んで楽しみたい!
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乙女と銘打っておきながら「SF」メインの読書道!
もちろん他のジャンルもあるのですが、メインは「SF」。
作者の池澤春菜さんは本業は声優さんですが、ホントに沢山の本を読んでいるんだな〜と尊敬しました。
だって、台本読んだり関連資料読んだりは数に入れずにこの読書量!!感服です!
さらに解説が面白くて楽しい!全部読んでみたい!と思わせてくれるんです。なんだか学校の教室や部室で話しているような感覚なのに、的確にまとめてあってわかりやすいのが最大の魅力かも。無難にあらすじ解説するよりも、自分の好きなとこはここ!と、表現してくれるのが伝わりやすいですよね。
そうか、さすがは表現者ということか…。
で、紹介している本で気になったものは、ジーヴスシリーズ。これ、何度も出てくるんです(笑)。
ジーヴスシリーズは以前、上皇后の美智子様が話題にされたことで、本屋にも特設コーナーが作られている英国産のユーモア小説です。実は名前だけ知っていたけど読んだことがなかったので、今度チャレンジしてみようと思います。
その他、親子対談というか作家・池澤夏樹さんとの対談も面白いです。なんというか距離感が。素敵でした。
本好きにはおすすめです!
表紙の乙女感はどこへやら!中身は骨太読書狂の紹介文ですので!
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単著による書評集って、概してジャンルを広げようとするものだと思うけど、逆にこうやって、特定の分野に偏るのも悪くない。要は本当に好きなものだけを選んだら、こうなっちゃいましたってことだし、無理してオススメされるより、よほど信頼も置ける。ただ難しいのは、扱われている分野が自分の好みと離れる場合。本書では、SFメインでたまにファンタジーって感じだけど、いかんせんSFが苦手と来てるもので、あまり食指を刺激される作品には出会えなかった。残念。でも書評としては惹かれる部分も多く、ジャンルが違えば印象も変わっただろうな、ってところ。
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ファンタジーも久しぶりに読んでみようかな。
SFも面白そう。 -
お陰様で"読みたいリスト"がまた伸びる、乙女の、乙女による、乙女に限らず万人のためのブックガイド!
筋金入りのSFマニア(翻訳ものメイン)の池澤氏が編むガイドなので、紹介されるタイトルはSFメインではあるけれど、素晴らしくリズミカルで熱のこもった文章にどんどん釣り込まれ、こーんなに面白い本ならとにかく読まなきゃ端から読まなきゃ全部読まなきゃ、とどんどん熱くなってしまう。
もちろんSFだけがセレクトされているわけではなく、ファンタジーやユーモア小説や児童文学、そしてちょっと意外なところではハーレクインロマンスなんかも取り上げられている。
作中、複数回取り上げられているP・G・ウッドハウス<ジーヴス>シリーズは実に面白い。ああバーティおバカかわいいよバーティ、冷静沈着万能天才"紳士お側つき紳士"ジーヴス(執事にあらず!)とのコンビ、永遠なれ。
<アレクシア女史>シリーズも<ビブリア古書堂>シリーズも<ゴースト・ハント>シリーズも、うむうむそうですよねー、と頷きつつ。
皆川博子『開かせていただき光栄です』につけられた"謎また謎の耽美玉葱小説"というコピーがとてもぴったりで、これまた激しく同意。
酉島伝法『皆勤の徒』。日本語というか、漢字の造語能力の凄まじさも見せつけられたこの一作、やはり同じく、多言語への翻訳の困難さを思いました。
とはいえ、確かつい先ごろ、英訳化するというお話を目にした気がするのだけれど、一体どういうことになるのだろうどきどき。
でもって、ハヤカワミステリさんのトールサイズ本についてのお嘆き、まったくもって同感。ぎりぎりのサイズ調整でいかにして多くの本を書棚に収めるか、常に限界に挑戦(大げさ)している読み手のことも、少しだけ考えていただけると嬉しいですハヤカワさん。
紹介された中でもとりわけ惹かれたのは
『ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド』
悪喰趣味であるので万人向けじゃないけど、という『ドクター・アダー』
児童文学ではチャイナ・ミエヴィル『アンランダン ザナと傘飛び男の大冒険』とパトリシア・C・リーデ<魔法の森>シリーズ。
そして、祖父・福永武彦『福永武彦戦後日記』と父・池澤夏樹の『双頭の船』、日頃あまり手に取らない分野なので読むには時間がかかりそうですが、忘れずにいたい。特に『双頭の船』の項に書かれた"マジック・リアリズム"という手法についての説明がありがたかったです。
とにかく、乙女を自認する方にもそうじゃない方にもきっと発見のある一冊。
巻末のエッセイ『向こう岸の父と祖父』は、文学界における偉大な先人でもある祖父母と父に連なる血筋に生まれた彼女の揺らぎと迷いとその向こう側を、短い文章の中にぎゅっと凝縮していて、しみじみと余韻が残ります。