黄泉の河にて

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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861824913

作品紹介・あらすじ

半世紀余にわたりアメリカ文学を牽引した作家/ナチュラリストによる、唯一の自選ベスト作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 例えばやって来た電車が汚れていたとすると、直ぐに車両を変えるか、その場所からなるべく離れるか、仕方なくなかったように振る舞うか。社会性のある人間とはこういう生き物かと思う。作者は違うようで、例え嫌いなピーマンを出されても「お残しは許しまへんで」のスピリッツにより、執拗に出来事を描写する。腐敗し淀んだ沼のような国に頑張ってへばりついて自我を保ってストレス発射を我慢汁で誤魔化す様子。ここまで繊細な感覚を持ちながら、不思議なのは作者は至って見も心も健康に感じる。異様な文章の深み。南部ゴシックっぽいがもっと壮大。

  • 『流れ人』はブニュエルの映画『若い娘』の原作だそうで殺気のただよう緊張感に圧倒された。簡潔な描写と終わり方で、死、病、偏見、卑しさ、愚かさ、暴力…普段目をそらしている事を明確にした。しかし著者が禅僧でもあったからだろうか、暗黒の世界を描きながらもどこか透明感があり「ただそこにある」事として描かれているのでとても心に残った。『季節はずれ』はハイスミスの『すっぽん』を思い出した。『アギラの狼』『薄墨色の夜明け』が好き。東江さんの的確でキレのある訳がこの作品を際立たせていた。

  • 飾り気のない率直な文体で、自覚してない心の暗部を淡々と綴っていて非常に読みやすい。読み手の感情を激しく揺さぶるような描写ではなく、簡潔でてらいのない言葉遣いの中に時にはっとさせられる言葉に出会い、うならされる。精神病院で働く若い女性の心の動きが特に印象に残った「薄墨色の夜明け」が好きだ。

  • 短編集。10作収録。
    どれも在りし日の1シーンを鋭く切り取っている。
    言葉というものは本当に美しい。
    ただ、純文は苦手なんだよねー。スマンスマン。

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