サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法

著者 :
  • 白夜書房
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本棚登録 : 511
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861918810

作品紹介・あらすじ

ミュージシャン、小説家、エッセイスト、テレビタレント、ラジオパーソナリティ、俳優……数十年に渡りサブカル界の第一線で活躍してきた大槻ケンヂが、自身の活動を振り返りながら、定職につかずに「サブカルで食っていく」ために必要なことを、若者や元若者へ伝授!
ライムスター宇多丸とオーケンによる『サブカル対談』も収録。

感想・レビュー・書評

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  • ロックミュージシャン(筋肉少女帯、特撮etc)で、作家で、サブカルに詳しい芸能人大槻ケンヂの新書。

    <印象的な箇所のまとめ>
    ・昔はサブカルという言葉がなく、サブカルチックなものはアングラと呼ばれていた。アングラは怖いしみんなひいてしまう。アングラをサブカルと言い換えて、敷居が低くされた。
    ・アングラがサブカルになる過程で、「笑い」が付与され、さらに多くの人にとっつきやすいものになった。
    ・なんらかの表現活動を仕事にして生きていくためには、才能、運、継続が必要。才能と運はどうしようもないけれど、継続だけは自分の意志でどうにでもできる。ずっとやっていれば、どんなジャンルでも、誰でも中の下くらいにはなれる。
    ・プロのお客さんにはなるな。自分を表現しろ。
    ・バカになれ。恥はかけばかくほどよい。
    ・同じ趣味の仲間と出会いたい、つながりたいという初期衝動で行動しよう。
    ・自分のことはグーグルで検索しちゃだめ。悪いこと言われたらうじうじへこむし、いいこと言われても自我が満足するだけ。表現だけやってればいい。
    ・相手のニーズを的確に理解することはどんな仕事でも必要。求められている枠の中で自分の表現したいことはどう表現できるだろうかと考えてみる。それをゲームみたいに捉えると、自分に折り合いがつくし、ゲームだから楽しいし、実際いいものもできる。
    ・今のアニソンは、ロックがフラワームーブメントで盛り上がっていたウッドストックの頃の勢いがある。
    ・しょこたんが出てからオタクのアングラ時代が終わり、カジュアル化した。
    ・タルコフスキーの映画眠いよ!って言い出したのがサブカル。それまでのハイカルチャーのぶっちゃけ否定でサブカルが始まる。
    ・サブカルで食っていくための3Jは、15万円と情熱と自習。月15万稼げるようになるまで頑張る無償の情熱が必要。

    <所感>
    テレビで見ていた大槻ケンヂは、すごい楽しそうな人生を送っているなと思えたけれど、この本に書かれている大槻さんのサブカル人生は苦労の連続だ。

    現代では、音楽で食っていくなんて非常に難しそうだ。以前に比べてみんなが表現できるようになった。作品をほぼ無料で享受できるようにもなった。表現の敷居が下がったから、音楽市場に参入する人は多い。競争過多だから、儲けられるのは、一部の才能と運と継続力を持っている限られた人たちのみになる。

    大手レコード会社に所属して、ヒットを出して儲けるという、ネットがない時代のビジネススタイルも、既に崩壊している。インディーズで自主制作して、自分達の資金で地方のライブハウスをまわって、自主制作グッズの物販で儲けて、とか、今はむしろボーカロイドのPになる方が、音楽の正道なのかも。ネットがない時代の頃のロールモデルというかビジネスモデルで成功を夢見ていたら、競争相手が多いし、価格も安くなっているから、成功の道は遠い。ネットの時代に適したロールモデル、ビジネスモデル、ライフスタイルで音楽の創作活動を続けていれば、特殊なファン層の心をつかんで、成功する道は見えそう。

    そもそもネットがない社会では、職業にしなければ、広い世界に向けて表現作品を発表できなかった。今は職業にしなくても、ネットで自由に表現活動ができる。表現活動を職業にして食っていくためには、欲望や才能だけでは不十分で、経営の感覚とセルフマネジメントのノウハウが必要ではないだろうか。

  • ずばりサブカルで15万円稼ぐこと。
    自習はいくらできても、この次の表現をしてお金を稼ぐ、ここが誰しもができない部分なんだろうな。
    「今日はそこそこ良かった』とかつぶやくだけで満足してしまう「プロのお客さん』になっちゃいけません、映画を観た、本を読んだその結果を換骨奪胎し、自分なりの表現としてアウトプットすることが重要。
    ここが大事で難しいところだけど、今はその機会が溢れている時代だから尚更重要ですね。
    大槻ファンとしては、オールナイトニッポンのあの頃の青春時代は自分の貴重な日々でした。半年で打ち切りと書かれていたけど、もっと長く続いていたように思ったけどなぁ。

  • 今、流れ流れてライターの端くれをしている私には
    いろいろ実感できる本でした。
    これは最初からただひとつの目標に向かってきた方には無縁な内容ですね。
    何をやっていいか分からない、分からないから何でもやろうという姿勢は
    思わず共感してしまいます。

    ちなみに発売日当日に渋谷タワレコでサインして頂きました。
    すごい人だったのにも関わらずひとりひとりと丁寧に接していた大槻さん。
    とても素敵でした!

  • 小説の書き方について「小説のはじまりは散文詩で、締めはパズルで。」という下りがあるんだけど、これで言ってることが自分が「プレゼンの仕方」とか「論文の書き方」とか「就活のエントリーシートの書き方」とかで普段学生さんに言ってることとほとんど一緒でなかなか興味深いというか。

    要するに最初は思いつくままにネタ出しして、次にパーツを適当に膨らませて、あとは部品間をはまるように設定しろという話で、特に「結構適当に部品集めてくればパズルの部分はなんとかなる」感覚とか、こういう手順なり構造って割と普遍的なものだよな、と。

    ジャンルの違いってのは要するに、ネタ出しの探索空間の違いと、パズルの接合ルールの違いなんだろうな。

    ある意味当然ながらなかなか改めてこうして書かれると興味深い。

  • 勉強になった!

  • 客観的な視点で控えめな文章で大槻ケンヂさんの人のよさがうかがえた。
    続けていればいつか運が巡ってくる的な感覚はすごくよくわかる。
    どんなジャンルにせよ喰っていくのは大変ですね。
    サブカル的な話は好きなので面白かった。

  • まだ46歳でここまで振り返ってまとめるのは早いんじゃない?大槻さんと、思ったけど10年もしたらサブカルジジイとかいってサブカル者の老後を絶対書くんだろうなあ(笑)オススメの本、映画が載ってるのは嬉しい。是非、ブクログで特集を!

  • XXCLUBの大島さんがお勧めしていたので

  • 「サブカルプロフェッショナル、オーケンの流儀」といった本でした。これ読んで楽しい人は、間違いなくタモリ倶楽部好きです。

  • 高木ブー伝説、日本印度化計画が何を歌っていたのかが、分かって面白かったです。

  • 初めてオーケンさんの文章を読んだが、
    とても読みやすい。
    これは簡単なようで高度なテクニックだと思う。

    サブカル分野で毎月何らかの収入が得られるようになってきてる人は読んだら参考になる部分が多いのかもしれない。

    オーケンさんは「才能」「運」「継続」を本の中で何度もくり返していたが、
    自分はあとひとつあると思った。

    「記憶力」である。

    僕などは、ある方面にそこそこ知識があったとしても、会話などで固有名詞がサッと出てこない場面が多い。

    「えーと、あれ、何だっけ」

    それをササッと出せて、なおかつ広げられる記憶の瞬発力は、
    サブカルを生業とする上で大事だよなあ〜
    と思いました。

  • オーケン本久しぶりに読みました。必要な条件は「才能、運、継続」との事。少なくとも継続は誰でもできるので、最悪でも中の下まではいけるのではと。
    その他、プロのお客さんになるな、まずバカになれ、契約はしっかり選べなど。

  • ブックオフで投げ売りされていて、ふと手に取った一冊だったが思いのほか楽しむ事ができた。正直、この本でしか得られない視点はなかった。悪い言い方だと「自分語り」。だが、サブカルで生きることに憧れるティーンを対象にした一冊と考えると、適切な内容が書かれているように思う。発行は2012年であり、現代にそのまま当てはめることはできないが、一昔前のサブカルの空気感みたいなものは、ほどよく味わえた。

  • サブカルチャー

  • 筋肉少女帯の大槻ケンヂが、サブカルで成功するにはどうすれば良いかということを、自身の体験を通じて記述したもの。

    自身の経験を通じてなので、説得力があった。

  • エッセイ

  • ファンだったので久しぶりに読んでみました。
    好きなモノは好きなままでイイと言われた気がした。表現者として生きて行くには継続が必要。何らかの形で発信し続けること。でも、オーケンの場合は運と才能のなせる技だと思ったが行き詰まっていたところに勇気を貰った。

  • 2017/8/27購入
    2017/10/2読了

  • 友人に「就活がうまくいってない大学生が読みそうなタイトル」と呆れられたこの一冊。
    筋肉少女帯の名や絶望少女達の曲等で大槻ケンヂの名は聞いていても、イマイチどんな立ち位置の人なのか分からなかった私にぴったりでした。

    筋少の歩んだ道は丁度アングラ→サブカルへの変容期、そして今またサブカルというもの自体が変わってきている。
    そんな中これから生まれてくるであろうサブルなくん、サブルなちゃんへの懇切丁寧、そして馬鹿正直なアドバイスに、オーケンさんの優しさや謙虚さ、そして脆さが滲み出ている気がしました。
    サブカルに過度な期待はしてはいけないけれど、文化を楽しむことが生きる上でどんなに重要か。

    「人生なんて、死ぬまで生きればいいだけですもの。」
    最後のこの一節で、生きることが楽になったような、より悩ましくなったような。

  • 大槻ケンヂがの半生、自伝的エッセイ。
    サブカルというテーマで書かれているが、自分学校での自習すなわち、音楽はもとより、映画、演劇、絵画、アニメ、小説等々、学校以外のありとあらゆるものに対する好奇心と探求心、そして表現欲が持続しているのが伺える。
    サブカルで食っていくためには、運と才能と継続が結論とはやや陳腐だが、それをやってきた本人が、それらを軽妙な文体でサラリと流せるのも又才能だろう。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。82年ロックバンド「筋肉少女帯」ボーカルとしてデビュー。その後もロックバンド「特撮」でも活動。その特異なキャラクターは音楽だけにとどまらず、映画、テレビ、小説やエッセイなど多岐にわたる分野で人気を集める。著作「くるぐる使い」「のの子の復讐ジグジグ」は2年連続で星雲賞を受賞。また『グミ・チョコレート・パイン』シリーズのほか『ロッキン・ホース・バレリーナ』『縫製人間ヌイグルマー』『いつか春の日のどっかの町へ』など著書多数。

「2022年 『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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