羊毛フェルトの比重

著者 :
  • 産業編集センター
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本棚登録 : 394
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863113299

作品紹介・あらすじ

手芸店・八戸クラフトに勤めて10年の紬(つむぎ)は、毎日の小さなモヤモヤにつぶされそうになっていた。
リスペクトのない職場、ご都合主義の彼氏、微妙な親子関係…
気にし始めたらキリがないから、すべてに慣れてしまうのがラクだ。すべてにフタをしながら生きていけばいいのだ。
でも、羊毛フェルト用作業机に残されたタバコの焦げ跡を目にしたとき…
このままでいいのか?30歳・紬の「自分を取り戻す」物語。

感想・レビュー・書評

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  • 幼稚な彼氏と別れたり、趣味を本業にしたり、大きな選択を主人公はしていくのですが、とりたててドラマチックな出来事があった訳でもなく小さな変化を重ねた末の決断であった事が細かで丁寧な描写で綴られており、印象深いです。

  • なんかこう憂鬱な気持ちとか鬱憤とかすごい共感できた。
    うまくいかないことが多い、中途半端な30代。
    羊毛フェルトっていう趣味のおかげで人生変わっていく姿に元気もらった。
    ほっこり。他の本も読んでみたい。

  • 主人公の周りの人たちの
    モヤモヤを義妹が一蹴してくれて、
    ちょこっとスカっとした。

    主人公の選択は
    誰かのためではなく
    自分が幸せになるための選択で、
    一歩踏み出す勇気をもらえた。


  • 手芸店で働き、羊毛フェルトでぬいぐるみを作ることが趣味の紬。モラハラな恋人、職場のイヤな上司、ステレオタイプの母親に挟まれ、我慢してしまいがちである。そんな紬が羊毛フェルトや人との関わりの中で少しずつ変わっていく。
    自分にとっての幸せ、好きなこと、好きな人。自分と対話して決めていく。
    常連であるカフェの「アフォガード」の食べ物が美味しそうで美味しそうで。行ってみたくなった。

  • 主人公の彼氏がだめだめで腹立つし、主人公も主人公でイライラするところもあるんだけれど、現実ってこういう人の方が多いんじゃないかなとも思ったり。趣味の羊毛フェルトを通して、主人公の世界が今後開けていくようなラストは希望があっていいと思う。

  • 途中までイライラしながら読んだ。
    ダメな彼氏、一発殴ってやりたくなった。いろいろと問題はあるけど、暴力振るわなかっただけまだマシかも。と心を沈めておこう。

  • まだ読んでいる途中だけど、どうにも我慢ならん。
    主人公にイライラする。
    親が親だから我慢して飲み込んでしまう、のは分かるけれど
    改めて言葉にされるとものすごいムカムカしてくる。
    私も主人公側の人間だから尚更苛立つ。

    販売が始まったところをもっと詳しく知りたかったし
    30年も母親は母親なのに、弟の一言でそんなに急に考えを変えられるとは思えないし
    社員の人や慎也ともっとバトルがあるかと思いきやあっさりしたものだし
    盛り上がりがいまいち欠ける。
    主人公だってそんな急に変えられないでしょ、と思うけど感情移入しすぎなんだろうか。
    好きなことがあって、それを黙々とやり続けていると急激な変化にも耐えられるのかなあ。

    なんだかしっくりこないお話でした。
    前半がとてつもなく見に覚えがある風景だったから、後半の展開に納得がいかない。
    バリバリハッピーエンド、ていうわけでもないしね。

  • モヤモヤ×2。

    主人公は手芸店・八戸クラフトに勤めて10年の根城紬・30歳。

    職場では先輩社員の豊崎さんに日々理不尽な要求をされ、ダメンズ彼氏には良いように利用される。
    特にこの彼氏の傍若無人ぶりには怒りがMax。

    とっとと別れれば良いのにと思うが、紬は言いたいことも言わず彼の言うがまま。
    まるでそれが美徳だと言わんばかりに。
    モヤモヤとした感情を抱え、毎日をやり過ごす主人公に私がモヤモヤする。

    心優しい義妹や大好きな羊毛フェルトがきっかけで風向きが変化した時はようやくホッとした。

    いつかこの彼氏に天罰が下りますように。

  • 紬が頑固なんだか我慢強いのか最低な状況をずっーと変えようとしないので、なんでだよとイライラしてくる。ずっと好きでい続けてる羊毛フェルトを作り続けた結果、何が自分にとって大切なのかにやっと気付いて変化していくので、これからどんどん自由になっていけると良いなと思います。

  • 読み終えて初めに思ったことが「ああ、よかったよね」だった。
    もちろん、こうなる前にいろいろ片がつけばよかったんだろうけど、ここまで来たからこそってこともあるよね、と思った。

    読み初めは、まさに八方塞がりな主人公にどんよりもしてしまったけれど、彼女の心がほんの少しだけ変わることで世界がひっくり返っていく。

    なんだか昔からよくある都合良すぎの物語感も否めないけど、それよりは現実味があるかな…。最後はほっと胸を撫で下ろせてよかった。

    自分を取り戻すスタート地点に立つまでの物語。自分も含めて、世の中を応援したくなるような、温かい気持ちが溢れた。

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著者プロフィール

青森県出身。地元で勤務しながら創作活動を続ける。2014年『ジャパン・ディグニティ』で第1回暮らしの小説大賞受賞。2023年「バカ塗りの娘」として映画化。主な作品に『おひさまジャム果風堂』『お手がみください』『みさと町立図書館分館』『みとりし』『ペットシッターちいさなあしあと』『羊毛フェルトの比重』(すべて産業編集センター)、『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』(中央公論新社)など。

「2023年 『[新版]ジャパン・ディグニティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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