- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863240124
感想・レビュー・書評
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「生命とは動的な平衡状態にあるシステムである」が主題。生命現象とは構造ではなく「効果」であり、物質的構造基盤、構成分子そのものに依存しているものではない。常に動きながら平衡を保ち、かつわずかながら変化、「進化」している。DNAの発見の10年以上前に(1930年代後半から1940年)、シェーンハイマーによる成果。
反対の考え方が、生命はミクロな分子パーツからなる精巧なプラモデルとして捉えるもの。
歳を取ると一日、一年が過ぎるのを早く感じる理由が興味深い。ほかに、記憶の正体とか。
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生命は機械仕掛けではない。悪くなった部位を交換すれば完治するわけではなく、時間を共にした部位は交換が可能なものではない。「時間」が重要なのである。また、機械のように入力と出力の関係に規則を見出そうとすることは非常に困難である。
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「動的平衡」について約250ページかけて解説してくれた。かなり面白かった。食べ物と身体の仕組み(ダイエットの科学)、ES細胞、細菌とウイルスに関しての内容が特に面白い。やはり食べ物は、良いものを、過不足なく、ちょびちょび食べよう。
生命を機械論的に操作することが何故難しいのか、なぜテレビのように部品1つだけを取り出して直すことが出来ないのか。この何故を発展させて最終的に行き着く生命の複雑さに神秘を感じた。感動した。
食べ物から摂取する分子が身体のあらゆる組織や細胞を常に作り替え、いっときの淀みとして保たれながら私たちは生きており、「エントロピー増大の法則」と折り合いをつけて私たちは別の個体へと移行する、つまり「死」となる。こうして私たちは時間の流れを受け入れ自然と共存している、とのこと。
活用メモ
環境の一部、あるいは環境そのものである私たち生命にできることはごく限られている。生命現象がその本来の仕組みを滞りなく発揮するには、十分なエネルギーと栄養を摂り、サスティナビリティを阻害するような人為的な因子やストレスをできるだけ避けることである。つまり「普通」でいることが1番であり、私たちは自らの身体を自らの動的平衡にゆだねるしかない。 -
線形から非線形へ、機械論から動的平衡へ。これから益々重要になってくると感じている。物事のダイナミクスを感じとること、そして自分自身のダイナミクスとの繋がりも感じることを意識していきたい。
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Podcastで愛聴しているJ-waveのThe Lifestyle Museumに何度か出演しているの福岡先生。 大体の話はすでに聴いていたけれど、ミトコンドリアが別の生命体由来のものであったのには驚いた。とても興味深い話をわかりやすく解説していて、嬉しかったです。
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終盤に生命とは?の問いに対してようやくタイトル回収されたような、一種の小説を読んでいるような気分だった。先人たちの知恵や過去の研究事例、歴史など非常に面白く読めた。
BSEやES細胞など生物系出身者でもなるほどと思えるような話が多かった。
『生命とは動的な平衡状態にあるシステムである』 -
胃の中は体の外。
生命活動はアミノ酸の並べ替え。
コラーゲンは皮膚から吸収されることはあり得ない。
グルタミン酸ソーダ(MSG)は旨いが、不快感ほてりなどを感じる人がいる。
自然界はシグモイド曲線でできている。
たんぱく質は貯蔵できない。なぜならアミノ酸の動的平衡こそが生きている証しだから。常にたんぱく質は合成と分解をしている=常に外から補わなければならない。一日60G。
生殖できないのは種の壁があるから。亜種なら生殖できる。
植物の病気は動物には映らない。種の壁のおかげ。
人を食べるのは、体内の病原体を食べること。人同士は移る。
抗生物質の多剤耐性菌がメチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)。院内感染がおきる。バンコマイシン耐性菌(VRE)も出現。
エントロピー増大の法則=エネルギーは保存されるが、エネルギーの質が悪くなる。乱雑さ、の尺度。
生命は、先回りして体を壊し作り変える=動的平衡。しかしだんだんエントロピーに追いつかれて死を迎える。 -
学者にしては異常に文章がうまい事で知られる著者ではあるが、本作はそれなりに学術的なので難解ではあるが、それでも読ませる力がある。コロナパンデミックの中、有名になったPCR検査のことまで登場して、正に今日の状況を予言してような著作である。あらゆる生物の細胞が絶えず生と死を繰り返し平衡を保つ姿は不可思議であり、その解明に至るまで人間は誤りを繰り返してきたようであるが、今回のコロナに対する対応も正解なのかという疑問も出てくる、ただのインフルエンザの新種のような気がするが、政府はそれを認めたくはないであろう。