中国文化大革命の大宣伝 上

著者 :
  • 芸術新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875861744

作品紹介・あらすじ

人は宣伝にいかにダマされ、ダマすのか?プレゼンの天才・毛沢東の魔術を100万字で読み解いた。

感想・レビュー・書評

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  • ・人はいかにダマされ、ダマすのか。中国に吹き荒れた文化大革命の嵐を『宣伝』という視点で徹底的に解説した書。プレゼンの天才・毛沢東の魔術を100万字で読み解いた力作である。

  • 現象面から文化大革命を追った590Pの大部。しかも上巻。
    面白いんだけど、お腹いっぱい。
    若い頃に映画の「芙蓉鎮」を見て中国に興味を持った。私の中国への関心は三国志でも漢詩でもなくこの時代から始まっている。
    だから逆に、ここに書いてあるような内容は、なんとなく懐かしかったりする。映画や本でこういうのをよく読んだ。

    20年前の私は、なににそんなに惹かれたんだろう。
    文化大革命の時代はやはりディストピアではあるわけで、それを80年代の10代の少年が、寓話的におもしろがっていた。やはり、10代らしい学校への不満とか、社会への不安とかがあったんだろうな・・・
    「うぜえ!」って今になったら思うけど、まあ若いってそういう事だから、許してやってほしい。

    下巻も読むけど、ちょっと間をあけよう。

  • ★燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや 

    「スペースを求めて、樹木にまで拡大された紅衛兵の、溢れかえり、はみださんばかりのエネルギーを感じとることもできるが、それよりも、有効の感覚が彼等の中に動いていたと見なければならぬ。しかし、至る所に壁新聞ありというのは、全体としては、ヒエラルキーの崩壊である」

    壁新聞の一言や『人民日報』の一枚の写真が、毛沢東の強烈なアジテーションとして機能するように企図していたことを膨大な資料を駆使して明確にする草森紳一にしか書けない本。

    4年目の2008年3月20日に70歳で亡くなった我が愛する草森紳一の、11年間にわたって『広告批評』に連載されていた論考が上下巻総計1200頁の大著となって出ました。

    普段から『広告批評』は読んでいましたが、この連載時は定期購読はしなかったものの気になってずっと毎月読んでいましたが、こうやって本になると改めてまた読み返してみたくなりました。あの1978、79年刊行の『ナチス・プロパガンダ 絶対の宣伝』全4巻に続いて、世界を疾風怒濤のごとく席捲した、人類史上まれに見る悪行の双壁の分析を完成させたという訳です。きっちりライフワークを完遂して逝かれるとはさすがだと思います。

    悪行の双璧と書いて内心じゅくじたる思いでいます。

    ヒトラーのナチスはともかく、毛沢東の中国革命は壮大な人類の希望だったはずなのですが、やはり人間の悲しい業、権力を持つと腐敗するというのは、あの革命者=毛沢東ですら免れえなかったというわけで、私がウジウジと未練たらしくしていると、虐殺されたという3000万人以上の中国人民が浮かばれません、ごめんなさい。

    中国的思惟を深く探求し理解し愛し、あるいは中国思想を極め尽くしても、革命とか特定のイデオロギーからは自由だった彼だけが成し得た、一点の曇もない、これは人間擁護・人間回復の叫びであり、たった一人の闘争宣言なのです。

    彼は、芸術がプロパガンダとして用いられるのを嫌悪、というより我慢ならなかったのだと思います。そういう輩を許すことができず、そいう相手に対しては断固として糾弾の手をゆるめないのが草森紳一流拳法。

    レビュー登録日 2009年07月13日
    推敲 (更新日) 2012年09月27日

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著者プロフィール

一九三八年北海道生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。七三年『江戸のデザイン』で毎日出版文化賞受賞。二〇〇八年三月、大量の蔵書を遺し逝去。著書に『ナンセンスの練習』、『円の冒険』『絶対の宣伝 ナチス・プロパガンダ(全四巻)』『荷風の永代橋』『「明日の王」詩と評論』(共著)など多数。

「2018年 『本が崩れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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