- Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877287702
作品紹介・あらすじ
奈良の山村で両親や祖母、いとこの栄ちゃんと暮らす、みちるの夏の物語。長く携わってきた鉄道建設が中止となり、張り合いを無くした父が、みちるが18歳の夏祭りの日に自殺。家族は静かに崩壊していく…。静謐な日常をとおして、少女は受け継がれていく「生」の意味を知る。カンヌ映画祭の最優秀新人監督賞受賞作を、監督自ら小説化。
感想・レビュー・書評
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何もない静かな土地で、さざ波のように静かに起こる事件。
静かに壊れてゆく家族が切ない。 -
綺麗な景色が頭の中に広がり、切なさが胸を締め付ける。泣く。読み終えた後、大切な事を忘れてはいけないと少しの間泣いた。
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勝敗や善悪、正誤などではなく個々人が直面するいろんな事を淡々と織り込んで日々が更新されていく。。生きていくって、ただただそういうもんだよなと
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朱雀神に守られた山間の村に住む一家の物語。主人公みちるの日常は、両親と祖母、そして密かに恋心を抱くいとこの栄ちゃんに囲まれ、静かで安心感に満ちたものだった。しかし、自然に囲まれて生きる村ゆえの苦悩に飲み込まれ、みちるの父は…。物語のおおらかさやなつかしさ、切なさが童謡を感じさせる。カンヌ映画祭で最優秀新人監督賞を受賞した作品を、監督自らが小説化したもの。
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吉野などを舞台とした作品です。
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06/29
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私はもう、映画も見てしまっているのでなおさら映像がどんどん胸にせまってくる。特に、見えていないところまでわたし(みちる)がしゃべってしまっているところや、文章が散文的で、気持ちのところを書く集中力や、他のところのさらっとした感じの代わる代わるになるダイナミズムが余計に映像を浮かび上がらせる。高校生の時、これを読んで夜中にわんわん泣いたなあという記憶、それから6年後、こうしてわんわんないているなあということ。あの時は、まだ山の奥深いところにいて、遠くの街に住む日を祈ってた。そして家から遠く離れてしまうと、あのそらの広さや、ごはんや、帰り道の寒さの厳しさなどの一つ一つを、家族との言い合いや嫌いだった思いは打ち捨てて甘く拾い上げてしまうそういう甘い甘さにつつまれている。家族と離れ離れにいることや、ずいぶんと遠くまで来てしまったこと、そういうことを思い出すと脳みその奥の奥からのふるえがとまらなくなりはきそうになる、その一瞬自分の中に入るともうでてこられなくなるようなあやうさも感じる。いつも失ってばかりいるということに身を切り裂かれてしまいそう。愛情や願いだけでは何にもならない、いつも一緒にいたくてもかなわない、楽しいことをしていると遠くにいる家族のことは忘れてしまう、覚えてなんかいられない(あちらの方でもそれはその通り)、出会ったとしても解決しない。
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070911(080417)