フローチャート漢方薬治療 (本当に明日から使える漢方薬シリーズ)
- 新興医学出版社 (2011年4月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784880028231
作品紹介・あらすじ
推薦の言葉
新見先生は,まず自分に,そして家族に使って漢方薬の効果を実感されました.私もかつてそのようにして効果を確かめました.
この本は,漢方理論も漢方独特の用語もなくてわかりやすい.しかもフローチャートで症状から処方を選んでいます.漢方馬鹿の人間から見ると実に大胆な発想です.まず最も妥当な処方選択を示し,それが効かないときに次に使う処方を示しています.こういう本こそ,実地臨床に役立ちます.
その症状に,この処方を選ぶ.最適とされる処方を選択すること,それが定石です.それは,昔から現在まで,多くの先輩が使ってみた経験に基づくもので,先人の知恵の結集です.漢方でも何でも,まず定石を使うことを覚えることが必要です.学ぶ者は,初めは定石を覚え,やがて定石をはずれて応用することを学ぶのです.初めから定石を無視しては何もなりません.
名医と云われた大塚敬節先生も,一度で処方が決まり,そのまま治癒に結びついたわけではありません.まず定石とされる処方を使う.効かなければ,次の処方を考えます.試行錯誤は漢方治療に避けられません.必要な手順のことが多いのです.
そのようにして,この本には,すぐに使える処方が用意されています.第一,小さくてポケットに入れられる.本当に良い本が出来ました.私の漢方入門の頃を思い出して,こういう本があったら良かったと思います.これから漢方薬を使ってみようとする人にお勧めします.
2011年1月25日 社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田 邦夫
はじめに
漢方に興味を持って約10年.松田邦夫先生に教えていただくようになってから4年の年月が流れました.数年前からわかりやすい漢方の入門講座を全国で行い,その講座の臨場感をそのままに「本当に明日から使える漢方薬」を書き上げました.漢方嫌いであった昔を思い出しながら,漢方薬はうさんくさいと感じている昔の私のような先生方にわかりやすく解説を加えた,快心の出来映えと自分に酔っていた時期もありました.ところが,やっぱりなかなか使えないとのご意見が少なからずありました.
そこで,漢方理論も漢方用語も一切登場しない本を書こうと思ったのです.そして漢方の世界では禁じ手であるフローチャートにしました.漢方は有効性の打率を上げるために,漢方理論や漢方診療を駆使して築かれています.それを知っていながら,あえて「どんな○○にも」といったように処方を配列しました.
つまり,打率は高くないのです.でも今の西洋医学的治療で困っている方々のためには,それもありだろうと思っています.ぜひ,この「フローチャート漢方薬治療」を使って,どんどんと漢方薬を困っている患者さんに処方してください.打率は低いですが,それでもけっこう有効です.そして打率を上げたければ漢方薬を使用しながら勉強してください.そんな実地臨床で本当に使用できる漢方薬使用の入門書です.ぜひ,「本当に明日から使える漢方薬」と一緒にご使用ください.
2010年12月吉日 新見 正則
感想・レビュー・書評
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かかりつけのお医者さん(漢方医ではない)が漢方薬を処方する時に読んでいた本です。
表紙に若葉マークが付いているので、「初心者向けの本で薬を選ぶなんて大丈夫なのか」と思っていたのですが、医師が患者へ漢方薬を処方する際の参考書でした。
著者も医師で、ご自身が患者さんへ処方されてきた経験をもとに書かれており、漢方の基礎知識がなくても気になる症状から漢方薬を選べるようなフローチャートになっています。
医師でないと分からないような専門用語はほとんどなく、わたしのような一患者でもさらっと読めました。
この本を参考に2種類の漢方薬を処方されたのですが、1つは即効果があり、「漢方薬は飲み続けないと効かない」というイメージが覆りました。
もう1つは半年ほど飲んだのですが、思ったほど効果が出ず、やはり症状からだけでは処方が当たらないこともあるようです。
漢方薬は病態だけでなく体質なども含めて選ぶ必要があるので、この本だけでは不足する部分はあります。
けれど取っ掛かりとしてはわかりやすくとても良い本だと思います。
私は処方された漢方薬で子どもの頃からの持病の頭痛が改善し、その効果を実感すると他の漢方薬も試してみたくなりました。
1つの症状に複数の選択肢を提示してくれているので、医薬品メーカーのサイトで詳細を見ながら選べば、素人でも合う漢方薬が見つけやすいと思います。
ハンドブックの大きさとしては高価ですが、お医者さんの長年の経験が詰まった1冊で納得の値段です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
漢方に詳しくなくても使ってみようと思う傑作教科書
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西洋医であり、漢方医である著者による
自覚症状や疾患別による漢方薬フローチャート本。
対象は漢方に積極的でない西洋医であり患者自身。
特に後者を意識した内容で、漢方用語も一切出てこず分かりやすい。
西洋医学との補完医療としての漢方薬に有用性、
そして安全性の高さがよく理解でき、
まずは使ってみようという気になる。
常に手元に置き、症状を自覚した時に辞書的に開く本。