トヨタが消える日 利益2兆円企業・貪欲生産主義の末路

著者 :
  • 成甲書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880862439

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  • トヨタが消える日 利益2兆円企業・貪欲生産主義の末路。鬼塚英昭先生の著書。今のところトヨタが消える気配はないし、多くの従業員を雇って従業員やその家族たちの生活を支えている素晴らしい企業。鬼塚英昭先生は貪欲生産主義と指摘しているけれど、やっぱりトヨタは日本が誇る超一流企業ですものね。

  • 昨年(2008年)上半期までは史上最高益をだしていたトヨタが、第四四半期の急激な売り上げ減少により、なんと赤字にまで追い込まれるというニュースを信じられない気持ちで聞いたのを覚えています。

    トヨタが赤字に陥ってしまったのは、サブプライムローン問題で北米での売り上げが落ちてしまったせいで、トヨタだけでなく他の自動車メーカも同じ状況だと思っていましたが、この本にはトヨタがアメリカでとっていた戦略のために大きな打撃を受けていたことを説明しています。トヨタがGMを抜いて一番になることや、利益を増やすことばかり考えていたことも、今回の赤字に繋がっているのではないでしょうか。

    以下は気になったポイントです。

    ・上場企業が増産局面に入る前の2002年3月期の製造業の海外売上高比率は30%であったが、6年後の前期には46%にまで高まった(p24)

    ・トヨタは2007年に国内市場に11種類の新車を投入したものの、2006年比率で6%減の159万台の販売にとどまった(p32)

    ・2007年4-6月期には北米で1602億円の黒字であったが、2008年1-3月期には124億円の赤字となった(p34)

    ・2008年1-4月の自動車販売は482万台で8%減少であるが、ヴィッツクラスの小型車は7%増加(p37)

    ・トヨタは2008年8月以降、リース販売の会計処理で莫大な損失金を出しているはず、特に大型ピックアップトラック「タンドラ」の評価損が大きいはず(p62)

    ・在庫日数とは、月末の在庫台数をその月の1日あたりの平均販売台数で割った値で、販売が滞るほど日数が大きくなる指数、2008年10月末で日本三大メーカの在庫は86日(56%アップ)、更に隠れているのはリース市場の在庫である(p109)

    ・トヨタはプリウスの売り上げが上がってもあまり影響しない、大型車で利益の殆どをあげている(p112)

    ・ホンダは、北米で不振な大型ピックアップトラックを出さなかったことが幸いした(p117)

    ・5年後に、やっと日米の自動車市場は今から10年前の水準まで戻ると予想している(p128)

    ・ビック3が凋落した理由は、1)巨大な米国市場、2)ピックアップトラック、3)金融事業による高収益体質、である(p136)

    ・トヨタはアメリカで約8兆円の自動車ローン残高があり、サブプライム層にもかなりの車を売っている(p137)

    ・車が売れなくなっていく最大の原因は、人の心が変わりつつあること(p157)

    ・トヨタを誘致した南部諸州はトヨタと協力して組合を組織させないことにした、トヨタは労組組合が強制されない州を選んで工場をつくった(p178)

    ・アメリカ水資源を管理する米陸軍工兵隊は、石油精製施設をはじめ、トヨタら日本メーカをコントロールしていて、共和党とも利権で繋がっている(p179)

    ・2006年にはGMが保留していたスズキ株20%のうち、17%(2300億円)を売却し、1500億円程度の売却益が出ている(p188)

    ・2008年11月、フォードは33.4%保有していたマツダ株の20%を520億円で売却、マツダ取得分は7%程度か(p189)

    ・フォードは自社のブランドまでを抵当にいれながらも国家による救済を拒否しており、生き返る可能性あり、かつてGMと資本関係にあった「いすず」「富士」はトヨタの出資を受け入れて下請工場化した(p191)

    ・スズキ会長のコメントでは、米ビックスリーの経営危機の影響がくるのは時間差があり、2009年7月ころか(p218)

    ・トヨタ自動車九州は、欧米向け高級車レクサス、SUVが中心で全体の9割をしめていた、2009年1月の生産台数は前年比半分以下(p221)

    ・内部留保の金額がは、2008年でトヨタ:12.4兆円、キャノン:2.9兆円、ソニー:2.6兆円である(p227)

    ・トヨタ次期社長によれば、米国新車市場の1000万台という水準は、2.5億台の保有台数で考えると、15年に1回車を買い替えるということになる(p229)

    ・トヨタは2009年2,3月は生産半減、日産・ホンダは3~4割の減産(p230)

    ・オバマ新大統領は、ゴールドマンサックス等の金融機関、全米自動車組合、デトロイト3大自動車メーカの力で大統領になっており、GM・クライスラーへの支援は続けられる(p235)

    ・GMはかつてトヨタ以上の内部留保金を持っていて、時価総額も天文学的、しかし固定費の重さ故に敗北した、その原因として、日本メーカの製造コストが安かったことにある(p241)

  • 確か、アメリカはとんでもない恐ろしい国だったはずです。濡れた愛猫を乾かそうとしたら、黒焦げになって死んでしまったなんて、この電子レンジは欠陥商品だわ、訴えてやる、という訴訟がまともにまかり通って、しかも勝訴してしまうというほどに。少しは冷静な人もいるようです。眉つばものという気がしないでもありませんでしたが、ついにニューヨークタイムズ紙に、一連のトヨタ車の事故はブレーキとアクセルの踏み間違えである、という説を唱える人が出ました。心理学者のリチャード・シュミットというカリフォルニア大学の名誉教授です。この人、なんと1980年代のドイツ車のアウディのときの酷似した事故の際にも指摘して、その通りの結論に到ったというから、まさにトヨタにとっては救世主のような存在ですが。まだ諦めていないはずです、GMとかフォードとかの、自国内での巻き返しを目論んでいる人たちの陰謀は。それにしても、

  • この不況はトヨタでも直撃を免れなかったのですね。

    油断したわけではないでしょうけれど、常に企業は進化し続けていかなければならないということですね。

    私も色々な事例を踏まえながら進化していけるように頑張っていきます!

  • トヨタではなくこの本が消えるかもしれない, 2009/4/13


    タイトルに期待して読んでみました。しかし、最近のトヨタショック関連本に比べて取材・調査の深みを全く感じない、あまりにも他の記事の引用が多すぎて、おもしろみや新しさを感じない。なぜ、トヨタが消えるとまで言えるのかも見いだせずじまいでした。
    残念ながら、取材に対する汗を感じない内容であり興醒めでした。
    この同時期には「トヨタショック」という本がでていますが、こちらのほうが読み応えが格段にあります。
    情緒的、感情的な記載も気になります。

  • ビッグスリーの苦境は、トヨタが優れている、GMは劣っている、といったものではないのだな。
    明日は我が身か。

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著者プロフィール

鬼塚 英昭 1938年大分県別府市生まれ。別府鶴見丘高校卒業後、上京。中央大学法学部で学びながら数多くの職に就く。学費未納で中退後、故郷・別府にて家業の竹細工職人となる。傍ら、国内外の膨大な史資料を渉猟・読破、関係者にも精力的に取材を重ね、郷土史家として私家版の歴史書を上梓。その後、タブーを恐れぬ問題作を次々に公刊、昭和天皇の隠し財産を暴いた『天皇のロザリオ』、終戦史の暗部に斬り込んだ『日本のいちばん醜い日』などで多くの先鋭的な読者を獲得、インターネット上の論戦を巻き起こした。その陰には超人的な読書量があり、郷土・別府での焼酎と珈琲をこよなく愛す毎日があった。2016年1月25日急逝。

「2016年 『田中角栄こそが対中売国者である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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