皆川博子コレクション9雪女郎

著者 :
制作 : 日下三蔵 
  • 出版芸術社
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本棚登録 : 28
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882934660

感想・レビュー・書評

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  • カメオはスジモンヒトリガさんを纏うとってもかわいい白オコジョさん・・・。
    火の玉がくすぶってるから火取蛾で合ってるよな・・・?うーん意味深長。
    表題作、雪女郎ってそういう意味か・・・なるほど・・・。飛んで火に入るのは、虫だけではない。
    「少年外道」「吉様いのち」どちらも時代小説×幻想小説。陰惨な磔刑、心中する男女の人形・・・うーん耽美だ。
    「闇衣」はオチでぶっ飛んだ・・・。一筋縄ではいかないのが皆川節・・・いとしい男を絞め殺すのは女だけではない。
    「十五歳の掟」宮田雅之氏の切り絵作品が挿し絵って豪華すぎでは????雰囲気がいつ見てもスッゲエ・・・。そりゃ皆川博子×宮田雅之なんて合うに決まってる。本編も、皆川文学のこの世の凄惨さ、もの悲しい人間の業、無惨なまでの愛・・・全部詰まってます。これが時代小説処女作ってマジか・・・。
    「夏の飾り」もオチでびっくりする・・・感情の発露は、赤裸々なだけ生々しくて息苦しい。
    同時収録の「朱紋様」も時代小説短篇集。魔性は性情だし、この世はどこまで行こうと地獄なのだから、誰もが自分のためだけに生きて燃え尽きるのだ。
    それに加えて、単行本未収録の酒場「瑠衣」シリーズも同時収録されているというボーナストラックの充実ぶり。
    今巻のエッセイは映画評・書評。ミステリコンテンツ好きなら垂涎のテーマ。タルコフスキーなんて映画「ノスタルジア」しか観たことないよ・・・皆川先生の博識ぶりにここでも脱帽。皆川先生が篠田節子先生と久世光彦に言及してるってだけでテンション爆上がりした・・・。皆川先生の書評っていうか、本についてのエッセイもっと読みたい・・・。これはもう、日下三蔵氏の後書きにある”次の機会”を心待ちにするしかない。

  • <収録作品>
    「雪女郎」
    雪女郎
    少年外道
    吉様いのち
    闇衣
    十五歳の掟
    夏の飾り
     「雪女郎」あとがき
    「朱紋様」
    雨夜叉
    影かくし
    炎魔
    朱紋様
    雲母橋
    恋すてふ
    露とこたへて
    木蓮寺
    仲秋に
    春情指人形
    みぞれ橋
    ・単行本未収録連作短編
    薄暮劇場
    鞦韆
    青い絆
    いやな女
    夜光る鱗
    ・エッセイコレクション
    清冽なる二人の女の愛と、ゆたかなる男の愛
    ラストにみる“男”の顔の変貌
    憎悪と愛執の両極のはざまに
    流氷上にみなぎるスタッフの熱気
    二冊の本のこと
    『江戸にフランス革命を!』
    資料が語らない謎を解く――森田誠吾氏の滝沢路女
    三つの<生>
    静かに、そうして、勁く
    『日本人の心をほどく かぶき十話』
    好きと嫌いと無関心
    『秘密』

  • 時代小説では未来を幻視する作品が目立つ。それ以外は…/・心中流し船について語る二人組「吉様いのち」芝居めいた軽快な遣り取りが現在の幻想譚にも繋がっているようで楽しい。・ちょっと途中視点がぶれるものの「十五歳の掟」初期作ならではの鋭さに衝撃。救いの無さが重なり過ぎて居た堪れない。・胡散臭い訪客をどうあしらう?プロット作りの上手さと様々な意味を含めぞくっとする「影かくし」・『女清玄』ごっこの行き先は?あっと息をのむ結末「雲母橋」・荒っぽい破戒坊主の独り語りが意外「露とこたへて」この辺りが好み。/瑠衣シリーズはもっと多くのお客に登場してくれれば…ファンだけれどその落とし方はずるいと言いたくなってしまう。数作ながら強烈な一キャラで引っ張り過ぎたのが良くなかったのでは。/エッセイでは映画、歌舞伎、本と幅広くそれぞれを好いていながら客観性を具えた文章を書かれており恐れ入る。

  • コレクション第9巻。
    時代小説の短編集2冊分と、単行本化されていない連作短編とエッセイを収録。このコレクションは第1期の頃から、入手困難だったものを掘り起こしているが、この第9巻はけっこう貴重な収録作なのでは?

    『雪女郎』『朱紋様』の短編集は、時代小説でもあり、幻想小説でもある。何より各短編のタイトルに想像力を掻き立てられる。
    単行本未収録の連作短編はある酒場を舞台にした現代もの。なかなか『濃い』キャラクターが登場し、滑稽でもあるのだが、その奥に深い闇が広がっていて、そういうところにどうしても惹かれる。

    『エッセイ・コレクション』は映画評と書評を収録。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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