戦争と一人の女

  • 青林工藝舎
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本棚登録 : 238
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883793778

作品紹介・あらすじ

膨大な資料による時代考証、原作であるGHQ検閲前の無削除版「戦争と一人の女」、「続戦争と女」、「私は海をだきしめていたい」を一つの話に構成。

感想・レビュー・書評

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  • これはまたすごいものを描き上げたなあ。『夜長姫と耳男』『桜の森の満開の下』に続く近藤ようこによる坂口安吾の漫画化だけど、これこそ本命。前の2作はこのための習作みたいなものかもしれない。近藤ようこが得意とする女性の情念の描写が坂口安吾の世界観とこれほどぴったりくるとは。坂口安吾がどちらかといえばドライに女の有様を描くのに対して、近藤ようこはより情感を加えて女を描き出す。それにより女がより能動的に戦争を欲っし、戦争がより前景化される。女にとって戦争とは糧であり希望であり縁であり生きるために不可欠な存在であった。戦争に生きるのではない、戦争だから生きる、戦争に生かされる。坂口安吾の原典を継承しつつさらに一歩進めた傑作と言っていいのじゃないでしょうか

  • 近藤ようこさんと坂口安吾のコラボ。戦争にとりつかれた女。恥ずかしながら坂口安吾のこの作品を全く知らなかった。近藤ようこさんも坂口安吾にとりつかれてしまったんだろう思いが画からビシビシ伝わってくる。

  • 2012年10月12日近藤ようこさん、『戦争と一人の女』本日脱稿!
    (青林工藝舎「アックス」編集部だより)
    http://seirinkogeisha.sblo.jp/article/59143133.html

    http://www.facebook.com/sensouto2012

  • 戦争が生きる実感をもたらす女。
    毎日空襲があればいいと願う女。

    不謹慎だとかいう問題ではないのだ。リストカットと同じ。破綻した世界があるから、この現実がくっきり見える。そうでないと輪郭が曖昧でここにいられないのだ。

    坂口安吾の見つけた世界を近藤ようこが描く。
    なんてすごい組み合わせだろう。

  • こんな小説、こんな世界があったのか。語られてこなかったものに気づかせる。

  • 近藤ようこさんの原作ありのマンガ、原作を読んでもよくわからないのがスラっとわかったりする(折口の『死者の書』とか)のだけれど、これはちょっとどうなのか。もう少し読み込んでみないとわからない。原作も読まないとダメかな?

    その後、青空文庫版で原作3編を読了。なるほどそっちの方がよくわかる。この作については3作をまとめたこのマンガより安吾の文章のほうがわかりやすい。というか小説とマンガの両方を読むことによってより理解が深まるのかも。

  • 文学
    まんが

  • 戦争という現実でありながら非日常な日々にいる男と女。不思議な浮遊感のある作品。人間はどんな状況でも生きていく。悲しみも苦しさも糧にして。

  • c

  • こういう視点から戦争を描く作品は日本の作品では少ないと思う。
    戦争中でもその中に小さな幸せや生きがい、野望、欲望が満ちている。その方が人間らしいなと感じた。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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