リベット (Holly NOVELS)

著者 :
  • スコラマガジン(蒼竜社)
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本棚登録 : 467
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883863037

感想・レビュー・書評

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  • 2023.03.20 2回目

    まず始めに、生ハ○中出しが基本(当社比)のBLにおいてHIV。エイズを主題に書くのが凄いと思った。

    これは『初芝がエイズにかからなかったら』続かなかった恋、というのが何とも皮肉だ。

    作中で乾は好きになったノンケに告白したことない……と言っていたので、仮に阿岸に初芝の話を聞いて、初芝を好きになるところまでは同じでも、その先の告白や行動に乗り出すことはなく、そうこうしてるうちに初芝は由紀さんと結婚して、乾の恋は数あるノンケの男との失恋話の一つにしかならなかった。


    エイズがあったから二人は結ばれた。
    それでも、他に好きな人が出来たら切り捨てていいという時限爆弾式の首の皮一枚というか。初芝も乾もただただ辛い状況がこの先の人生も続くのだと思った。


    最後に、木原先生特有の攻めからの深くて重い愛の押しつけに振り回される受け、という状況が本当にツボだ。連続で著作を読むとお腹いっぱいだけど、久しぶりに読むとやっぱ好きだと実感する。

  • 初芝公平は、誰にも知られたくない大きな問題を抱えて暮らしていた…。
    気になるあらすじ。初芝の問題は、かなり重いものだった。初芝の身に起こったことはとても理不尽なもので、なかなか乗り越えることは難しい問題で。
    職場の後輩の乾は初芝の問題に気付き、フォローしてくれて。ゲイで好意を寄せてくれる。でも初芝はノンケで気持ちに答えられない。いくら好意を寄せてくれても恋が出来ないリアル。でもカバー下があることを知って読んで、数年後のふたりに暖かい気持ちになった。

  • BL本を求めてる人は読まないで下さい!
    あくまで同性愛者のキャラが出てくる小説です。
    暗く重い話なので、主人公にシンクロして読むタイプの方は読んでいて鬱々とします…かなり泣きました。
    でも、読後感は悪くないです。
    生きることとか、愛の形とか深く考えさせられる作品でした。

  • 高校教師
    初芝のことについて、後輩教師の乾は何か知っている。人に知られるのを避けて、恋人にも話さず1人で抱え込んできた秘密。
    それが乾に知られているとわかり、そして同情か恋愛感情か。どちらにしても初芝には関係ない感情を持って初芝に構う男。
    憐れまれるのも、応えられない気持ちで優しくされるのもなにもかもが鬱陶しい。それでも自分の死への恐怖を、孤独を埋めてくれる乾に側にいて欲しいと思ったり、突き放したくなったり。
    無償の愛情を受け取れない男と、自分の全てを捧げる覚悟を持った男の究極の愛の物語。

    2は少し泣けた。もうあまりにも初芝が孤独に耐えすぎていることと、乾が覚悟を決めている気持ちにぎゅっと胸が締め付けられる思いがしました。
    もう乾は恋愛の成就とかは超えてて、ただ初芝のことしか考えてなくて、でもそれが自分に正直な気持ちで、何かを求めてるでもなく、そこにいるのに初芝はまだもう一歩踏み出せない、さらけ出せないものもあって。長生きして欲しいな。その道程に2人の幸せがあったらいい

  • 新米教師×先輩教師(HIV感染)。
    わんこ攻めが報われないのに尽くしまくって健気。
    親友から強○されてHIVに感染した受け。殺したいほど憎んでいるのに陰性だったと嘘をつくシーンがやるせなくて胸が締め付けられた。
    受けが二人目の彼女と付き合う心境をもっと掘り下げてほしかったかな…

    献身的な攻めが諦めてこの先離れていかないか心配だったけどカバー裏読んでやっと報われた…(笑)
    個人的に続編の漫画版は…読まなかった方が良かったかも

  • 木原さんが書く重たいテーマのお話の中でも、群を抜いて重たい一冊でした。読むの辛かった…。体調が悪い描写につられて私もなんだか気持ち悪くなってきちゃって、何度も休憩をはさみながら読み終えました。HIV、よくこのテーマで書こうと思ったなあ。
    初芝先生に非はないんだけど、私も彼女の立場だったら怖いし、きっともっとひどいことを言うと思う。すごい怖い一冊だった。続きは読みたいと一瞬思ったんだけど、きっともっと苦しくて辛い描写が続くに違いないから、もう耐えられない、ここで終わりでいい。
    でも木原さんはBL作家の中で一番好きです。私がノアなら方舟に入れるBL作家には木原さんを選ぶくらい。

  •  HIVネタだと解っていて読んだのでそれほど衝撃はありませんでしたが、主人公の優しさや苦しみと、与えられた優しさをどうしていいのか解らない葛藤とか、読んでいて胸が締め付けられました。
    文章を読んでいるだけなのに、動悸が起こるって、体が文章に反応して異変をきたしてるんでしょ怖いわーその表現力。と思いました。

     攻めがいい男すぎる。
    表紙裏でちゃんとH沢山させてもらえててよかったって安心しました。
    ただこの攻め大好きだけど、コンナ人イナイヨー。
    どうしたらこんな都合のいい出来のいい子が育つの?
    受けを好きになる理由は理解できるけど、お前の存在が天使すぎて理解できないよと最後まで頭によぎり続けたょww

     主人公を強姦してエイズに感染させた男。
    その男に攻めが出会っていたから、攻めは主人公に気づいて恋をした、そして主人公は生きることを手放さなかった。
    と思うと因果関係が巧みすぎて空恐ろしい作者さん。
    プロットが完璧すぎて素敵です。

     もっと真剣に行きようよ私。と、生き方改めようぜと思わされながら読んでました。

     帯に「病めるときも・・・」って書いてあったと知ったときの笑いは半端なかったです。笑えない。

  • HIVポジティブ、という重いテーマでも、読後感が悪くない。登場人物それぞれの思いが交錯し、共感できたりできなかったり。人生を恋愛を、人を想うことを考えさせられる作品でした。

  • よくこれが本になったなって思いつつ、流石木原さんだなと思った。
    もしも自分がレイプされた挙げ句にエイズをうつされたらと考えるとやるせない。

    カバー裏を読んで救われた気持ちになった。

  • これってBLじゃないよね、という印象。
    重すぎて何か疲れる話だった。BLはもっと楽しく読みたい派です。重さも切なさも、この方向性で求めていないので。

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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