ウィキリークスでここまで分かった世界の裏情勢

著者 :
  • 並木書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890632688

作品紹介・あらすじ

米外交文書二五万件を暴露し続ける「ウィキリークス」。歴史始まって以来の最大の機密漏洩事件の真相とは?中国共産党幹部五千人がスイスに秘密口座!日本は「肥満した負け犬」「長期ビジョンを欠落した指導者」と正確に描写!チュニジア政変を外交公電は予告していた…等々、ウィキリークスが暴露した世界情勢の裏側を徹底分析し、これからの情報戦争を活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 以前話題になったウィキリークス、正直何となくしか知らなかったのですがその裏を見ると様々な人間の、そして国の欲望が渦巻いているのがよく分かる。

  • 図書館で目にとまったので借りてみる。
    週刊誌の隅にのっていそうな、あおり気味のコラムのパッチワークのようであり、一冊最初から最後まで読むのはなかなか体力がいった。

  • 外交上を始めとして国家が扱ってきた機密は、今までなら普通の人には永遠に触れることがなく闇に葬られることが殆どだったと思いますが、ウィキリークス事件はそのような常識を変えつつあります。

    また、多くの日本企業も海外で活躍すればするほど、トヨタが本来は自社製品に最終的には問題がなかったにも拘らず、米国議会にまで呼ばれて謝罪をしなければならなかった等、「いじめ」に近い仕打ちを受けてきたことも後になって分かってきました。

    本来の競争以外の、権謀術数を使って相手を倒していくのは日本企業はあまり得意ではないのが苦労している点だと思います。

    この本を通して、世界の裏事情が垣間見ることができたのは、私にとっては貴重な経験でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・ウィキリークスから世界中に流れ出して公開された機密文書の大半は、コンフィデンシャル(内密)とシークレット(機密)レベルで、トップシークレット(最高機密)は全体の2%、最高機密は管理方法が異なり、蝋で密封された外交行嚢に詰めるか、直接面談して運ぶ(p20)

    ・中国の事実上のGDP成長率は、公表と実態のかい離が顕著、10.3%とされた2009年は、事実上21%、2010年は予測9.8%に対して、実質は10.3%(p49)

    ・中国での不動産投資は「投機」となり、ついに2000万戸の
    「だれも住んでいない住居」を建設した、誰も住んでいないゴーストタウンが地方都市のそこかしこに出現した(p70)

    ・中国の庶民がしているのは、宝飾品を購入している、数年前からは中国では個人も金が購入できるようになった、中国は世界一の産金国であり消費国(p71)

    ・1997年には中国元はハードカーレンシー(国際決済通貨)と認定されておらず、香港ドル・ドル・ポンド・円であった、1993年に外貨兌換券(二重通貨制)を廃止した(p87)

    ・ギリシアショック以来、ユーロは対ドル為替レートを19%、円に対しては36%も切り下げたので、中国向けのドイツ車の輸出は増加した(p91)

    ・バンコクの日本系コールセンターで働く従業員の大半は日本人である、日本で働く給与の半分以下であるが、 物価も安く日本人が次々と来た結果である(p93)

    ・日本の予算は拡大再生産には使われず、ほとんどが後ろ向きの「介護保険」「子ども手当」「生活保護」「年金」などの非生産部門に投じられる(p98)

    ・戦前までの日本は諜報が得意であった、日清日露戦争での明石元次郎大将、日露戦争での福島安正大将等がいた(p104)

    ・米国は日本と違って民族共同体ではなく、地域コミュニティはあっても基本的なつながりは利益共同体なので、国論はつねに二分するのが米国制度からくる宿命(p111)

    ・F22戦闘機の生産中止を決めた米国は、次世代戦闘機にF35ライトニング2(第五世代ステルス)を決定した、日本にはそれを導入するかどうかの議論さえない(p126)

    ・ロシアは日本の中古車を追い出すために、2009年から関税を2倍近くに引き上げたので、日本からの中古車輸出産業はほぼ壊滅した、これにより新潟、富山、金沢、鳥取の港は閑古鳥となった(p139)

    ・ボドルコフスキーが投獄されてすぐに、彼の経営していた「ユコス:石油会社(ロシア第2位)」を解体して、「ロスネフチ」というプーチン系会社が買収した(p142)

    ・トヨタがいわれなき「リコール騒ぎ」に巻き込まれた悪のイメージをふりまかれて、米国議会に社長が呼び出されたが、数か月後にはトヨタが原因の事故はなかったという結果が米国で出た(p162)

    ・日本の新幹線とそっくりの「和諧号」が中国各地を走っている、ライセンス契約で新幹線技術を輸出した川崎重工は「真っ青」になた、中国が独自開発したというCRH380Aは試験走行で416キロを達成して世界を驚かせた(p166)

    ・次世代自動車の中枢技術といわれる電気自動車の最先端機密が、日産の提携先であるルノーから中国へ流れていた(p180)

    2011年10月15日作成

  • 平成23年5月31日読了。

  • 米外交文書25万件を暴露し続ける「ウィキリークス」。歴史始まって以来の最大の機密漏洩事件として米外交に甚大な損害をもたらし、ヒラリー以下国務省幹部は世界各国に謝罪行脚で飛び回る。中国共産党幹部5千人がスイスに秘密口座を持ち、日本は「肥った負け犬」で「長期ビジョンを欠落した指導者」と正確に描写、チュニジア政変を外交公電は予告していた……等々、ウィキリークスが暴露した世界情勢の裏側を満載し、鋭利に分析して解説。世界を揺るがしたウィキリークス事件の全貌、これからの情報戦争を活写する緊急出版!

  • 待望のウィキリークスに関する書籍が発売された。今月は相当数のウィキリークス本が出るみたいなので、集中的に読んでみたい。

    本書はタイトルにこそウィキリークスの名が付いているが、ウィキリークスが全ての本かというと、そうでもないようだ。情報戦略というものをテーマに書かれた一冊であり、いくつかの話材として、ウィキリークスが取り上げられているという印象である。各章の構成に、若干のツギハギ感は否めないが、このスピード感、そしてエピローグでチュニジアのジャスミン革命の話まで触れられているのはお見事だ。

    ◆本書の目次
    プロローグ:ウィキリークスの秘密暴露は情報テロか?
    第1章:日本をめぐる噂と機密のあいだ
    第2章:ウィキリークスが暴露した超弩級の中国機密
    第3章:世界は密約と陰謀で動く、日本は友愛と善意で望む
    第4章:日米同盟に亀裂、米中同盟は進化
    第5章:ウィキリークスでここまでわかった世界の裏舞台
    第6章:なぜ日本は弘報(情報戦略)にこれほど脆弱なのか
    第7章:密約・戦争・テロリズム
    エピローグ:情報戦争、これからどうなる?

    著者の立ち位置が、ウィキリークスに好意的ではないのは、その文章から明白である。しかし、ウィキリークスの世界に与えたインパクトは大きく、特にアメリカ、中国、スーダンなどの政府の対応に苦慮する模様が描かれている。ちなみに、日本に関して暴露された機密は、米政府高官が「日本を肥満した敗者、指導者にビジョンが欠落しており、室が悪い」と言った話、捕鯨問題など、重要とは思えない機密ばかりである。これを喜ぶべきか、憂うべきか・・・ しかし、まだ明るみに出ていない金融関係における機密情報がリークされるにつれ、日本企業に与える衝撃も大きなものになりそうだ。

    このジュリアン・アサンジなる人物、旅芸人の家庭に生まれ家庭内暴力を受けて37回の転校。6つの大学に通い、その後世界を転々するという類まれな経歴の持ち主である。ネット上では英雄、異端児など評価は分かれるが、体制、強大組織、国家などの枠組みを大きく変えつつある。また、アサンジと仲違いし、ウィキリークスを去った人物による暴露本なども出ているらしい。どこかのソーシャル・ネットワークで聞いたような話だ。

    ウィキリークスは恐ろしい。しかし、ウィキリークスによって明るみになる事実の方が何倍も恐ろしい。そして、そこにウィキリークスが関与していないのも事実である。

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著者プロフィール

一九四六年生まれ。東京工業大学理工学部卒業。新潟大学名誉教授(情報工学)・工学博士。現在、新潟大学発ベンチャーとして創業した株式会社ラングテックの代表取締役社長として、コンピュータによる文の意味理解の研究、高品質な日英翻訳ソフトや使いやすい英語学習支援ツールの研究開発など自然言語処理の基礎研究から応用研究に至る幅広い活動に取り組んでいる。著書に『日本語語彙大系』(共著、岩波書店)、『言語過程説の探求 第三巻 自然言語処理への展開』(共著、明石書店)など。

「2023年 『言語本質論と個別言語分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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