チェンジ・ザ・ネーム

  • 文遊社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892571183

作品紹介・あらすじ

輝く金髪、雪花石膏のような肌、うつろな眼差し-やがて作家となった孤独な少女の半生。カヴァン長編第一作、本邦初訳。

感想・レビュー・書評

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  • 不条理と幻想イメージの作家、アンナ・カヴァンの和訳を出版年順に読んでいこうと勝手に決意したシリーズ第2弾。
    今回はカヴァン名義としての長編第1作。前のアサイラム・ピースが凄かったのと比べてだけど、本作は不安定な普通小説で、明確な意思を持ってないはずの女性が3回の結婚(に近い)と1回の出産を経験し、家族と人生が語られるカヴァン版の「女の一生」といえる。安心感皆無で、カヴァンの年譜と少し似ているが、ヘロイン中毒にはならず、カヴァンの理想に描いた何ものにも制約されない自由な人生が描かれる。カヴァン作品としてまだ幻想的で終末的な趣は感じ取れないけど、なんか変に読みやすかった。不穏な雰囲気で胡乱な感じ、読んでてなんか浮遊する感じがよくあったり、不思議な読書体験でもありました。

  • なかなか戦慄する内容だった。でも少し羨ましいとも思ってしまった。

    シーリアのような生き方を絶対的に悪いとは言い切れない。できれば娘のクレアのことは放っておいてほしかったけれど。しかしそうできなかった気持ちも解るような気がするのです。

    クレアの存在はシーリアにとって脅威だったのではないか。血の繋がりは、ある種の人たちには絶望的な足枷である。

  • 面白かった。孤独なシーリアと暗い堅牢な屋敷は、娘を含め周囲の人間を不幸に陥らせる蟻地獄のよう。

  • 『アンナ・カヴァン』名義での初長編。
    不条理さや幻想味は薄いのだが、『氷』など、後の長編に繋がる空虚さ、虚しさが色濃く漂っている。
    原書の刊行は1941年だが、内容は全く古びていない。但し、現代の一般文芸ならば、何とかしてラストに救いを持ってくるところを、そうでない結末を迎えているのは、アンナ・カヴァンという作家の特性を表していると思う。

    しかし毎度のことながら、文遊社の新刊は店頭で目にして初めて知ることが多い。ほんのちょっとだけでいいから、宣伝の方も何とかして欲しい……。

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著者プロフィール

1901年フランス生まれ。不安と幻想に満ちた作品を数多く遺した英語作家。邦訳に、『氷』(ちくま文庫)、『アサイラム・ピース』(国書刊行会)などがある。

「2015年 『居心地の悪い部屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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