- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894342088
作品紹介・あらすじ
『幻滅』で出会った闇の人物ヴォートランと美貌の詩人リュシアン。彼らに襲いかかる最後の運命は。
感想・レビュー・書評
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タイトルが、話の真をついてない。副題はちょっと・・・だけど、中身は間違いなく面白い!
最低「ゴリオ」と「幻滅」は先に読んだ方が……とは思うけれど、ムリを言えば、セレクションの1から順に読んできた方が、より楽しさ倍増だと思う。
それまでの積み重ねが、いきなりギュッとつまった感じ。
副題はちょっと・・・は、このセレクション全体に言えることだから、ま、なんとも(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
途中から、反ヴォートラン陣営(?)に回って読み進めました。
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オノレ・ドゥ・バルザック「娼婦たちの栄光と悲惨」
原題:Splendeurs et Misères des Courtisanes
権力と金銭への欲望が複雑に絡み合う立体的世界観。
アンチヒーローを徹底する見事な設定。
改めてバルザックの天才ぶりに圧倒される。
「ペールゴリオ」「幻滅」に続く三部作完結編
2013-01-20 20:33:59 Twitterより -
<閲覧スタッフより>
約100篇もの小説に2000人を超える人物が登場する『人間喜劇(La Comédie humaine)』。何人もの登場人物が複数の物語間を縦横無尽に動き回る「人物再出法」と言う手法が特徴的です。『人間喜劇』は、バルザックの射程の広さを実感するオムニバス劇場です。
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所在記号:953.6||ハオ||8
資料番号:10132382
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上巻
バルザックの書く「男に惚れ込んだ女」って、タイプが同じだ、と思った。
ヴォートラン三部作しか読んでいないからかも知れないけれど。
理想の女性なのかな。
「あなたがいるだけでいい」「どんな貧乏もいとわない」「私があなたを養ってあげるわ、かわいい人」「あなたの愛さえあれば、私は幸せなのよ」
リュシアンに惚れた『幻滅』のコラリーと、今度のエステルがまったくそのまんま。
悪役や、端役のアクの強い女性陣に比べて、美人なヒロインたちの無個性さにビックリだわ。
羊の群だけでは小説は書けない、狼が必要だ。というのに納得。悪の一滴ですな。
この巻はエステルと、エステルに惚れたがためにヴォートランのたくらみで金を巻き上げられるニュシンゲン男爵銀行家の話。
リュシアンに心底惚れているエステルは、彼のために修道院にまで入って、けれど彼のために金を稼ごうと、また娼婦に戻る。
字も読めなかったけれどもシビレエイとあだ名されて、誰でも参らせた娼婦から修道女へ、気高さの申し子から娼婦への転落。
娼婦に戻った彼女の手管と来たら。
ニュシンゲン男爵は、彼女にいいように操られて、「ガワユラスイエズテル、オ父サント思ッテグレ」なんてドイツ訛りで一生懸命自分に惚れてくれと頼み込んだばかりに、娼婦相手に数ヶ月もお預けをくらうすさまじさ。
女のように美しく優雅な美青年リュシアンと、ヴォートランの蜜月時代の話。
ヴォートランの悪だくみが出てはいるけれど、ペール・ゴリオ時の躁的状態でないからちょっと物足りないが、ギラギラ輝く悪は健在。
ラスティニャックは骨があるからヴォートランに屈服はしなかった、と解説にあったけど、アレが……?
と疑問だったが、リュシアンに比べたら、確かにラスティニャックは自分の力で社交界でのしあがるぜって気概は見せてたね。