○第2章 寝かせて増やすインデックス投資の実践法
・リストラ・長期入院・災害などに備えて「生活防衛資金」を貯める。
目安は「生活費の2年分」を、銀行預金などの流動的な金融商品で確保する。p546
→色々な本を読むと備えは「生活費の3ヶ月分」だったり色々。でも著者は3.11のような状況を考えると2年分は必要だと思ったらしい。
「いざとなったら投資商品を売却すれば良い」と考える人もいるけど、大災害で着の身着のまま避難所に移った状態で、インフラが停止した中、ネットを通じて投資商品を売却して、口座に送金して下ろすまでできるのかね?って言ってる。確かに。
金融業界にしがらみの多い専門家ほど、投資を促す為に生活防衛資金を少なく見積もっているのも確か。何事も自分で考えないといけないね。
でも、「生活防衛資金を貯めながら投資すること」は良しとしている。節約した生活を送れば、それだけ生活防衛資金も下がっていく。うまくやろう!
・自分のリスク許容度を知ることから始めるp606
「最大損失に耐えられる金額」を目安にする。(例)年間50万円貯蓄できる家計であれば、最悪の事態として年間50万円の損失であれば1年でリカバリーできるので良しとする。p634
また、例えばGPIFの年間運用リスクは12.5%。金融業界では年間リスクの2倍の損失を見ておけば最悪のケースに備えられるので25%までは覚悟しておける(でもすごく安全サイドに倒したリスク水準)。p639
・分散投資の効果p740
たとえば、期待リターンが5%の投資対象が10銘柄あったとすると、これら10銘柄を組み合わせると、なんと期待リターン5%は「維持」したまま、リスク「だけ」を下げるという、投資家にとって実に都合の良いことが実現できる。
→インデックス投資は、「分散効果」を最大限に活用した投資法。
・リターンではなく、リスクから資産配分を決めるという手順を間違えるな。p800
「老後までにいくら貯めよう」というリターンから資産配分を決めると、リスクへの理解が手薄になる。そうすると、たまに訪れる深い谷でリスク許容を超えてしまい、辛くなって辞めるケースが多くなる。リーマンショック時に多くの投資家が辞めたが、やがて経済はV字回復した。辛抱強く市場に残った投資家だけが挽回するチャンスを与えられ、リターンをたっぷりと享受した。
・資産配分を決める方法
①「世界市場ポートフォリオ」:世界各国の株式時価総額と同じ比率で、資産配分を作る。概算で国内株式:先進国株式:新興国株式=1:8:1p806
②「有効フロンティア」:資産クラスのリスク・期待リターン・相関関数からリスク当たりのリターンが最も大きい組み合わせを算出する。p815
「投資信託のブログ ファンドの海」に計算ツールがある(URL : http://guide.fund-no-umi.com/tools/aa.html)p857-858に使用例
国内債権を入れると分散効果が働き、あまり期待リターンを下げずに、リスクを効果的に下げることができる。
たとえば国内債権比率0%なら期待リターン5.4%,リスク(標準偏差)19%だが、国内債権比率を20%にすれば期待リターン4.5%(17%減),リスク15.1%(21%減)と効率的にリスクを下げられる。表p875,892
・想定される最大損失の計算方法p897
最大損失=投資金額×{期待リターン−(2×リスク)}で求められる。リスクの2倍を見ておけば、滅多に起こらない最悪の事象も考慮に入るという原理に基づく。
100万円投資した場合、上記のように国内債権比率0%なら、想定される最大損失は32.6万円、債権比率20%なら最大損失は25.7万円。
100万円運用すると、1年で最大これだけ失う可能性があるというわけだ。
・債権クラスに外国債権入れないp924-930
一見高金利の外国債権も、長期的に見れば通貨次第が安くなる為金利分が相殺されてしまう(金利平価説)。国内債権と期待リターンは変わらないのに、為替の変動リスクを負う外国債権に投資をする意味はない。
・おすすめインデックスファンド(2017年11月)
運用管理費用(信託報酬)が安いものがいい。
国内なら年率0.1%台、先進国なら0.2%台、新興国なら0.3%台が目安。
①三井住友・DC積立NISA・日本株インデックスファンド
②eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
③ニッセイ新興国株式インデックスファンド
p952,表p982
多少コストはかかるが、全世界株式に投資するのは手間がかからない。
④楽天・全世界株式インデックスファンド
最新版は著者ブログ(http://randomwalker.blog19.fc2.com)の「低コストインデックスファンド徹底比較」へ。
・現在は国内債権インデックスファンドは買いにくいので、個人向け国債変動10年を買っているp1005-1032
・年に1回はリバランスをp1058-1069
比率が大きくなりすぎた資産クラスのインデックスファンドを売って、比率が小さくなりすぎたインデックスファンドを買って、所定の比率に戻す。
○第3章 おすすめ金融機関&口座開設の手順と気になるNISAとiDeCo
・低コストなインデックスファンドを多く取り扱うSBI証券か楽天証券を選べ。p1118-1143
・口座開設の7ステップp1162-1182
・積立NISAはインデックス投資にぴったりp1187
・いずれ会社で昇進するなどして、投資に回せるお金が増えたら、結局は通常の課税口座で運用する金額が増えていく。
資産運用も終盤になれば、いずれ保有資産全体に占める非課税口座内の資産が「ごくわすが」になる。
まずは自分に合った形で、手間も心配もかけず資産運用するのが大切。20代〜30代なら、まずは仕事で成果を上げて収入を増やした方がコスパがいい。p1278
○第4章 始めるのはカンタンだけど続けるのは意外と難しい
・資本主義とは「労働力を商品化し、剰余労働を剰余価値とすることによって資本の自己増殖を目指し、資本蓄積を最上位に置く社会システム」(ブリタニカ国際大百科事典)p1361
→つまり、資本主義の中では資本は拡大し続け、株価は上がり続ける。そういう仕組み。
自動車を手に入れたら、もう人は馬車には戻れない。洗濯板や五右衛門ブロには戻れない。もっともっと豊かさを追求していく。
だから、長い目で見れば株価は上がり続ける。人口だって増えてるしね。だから一喜一憂せず待つのだ。p1322-1356
・世界中の株や債権に国際分散投資するインデックス投資は、そんな資本主義経済の成長に投資することと同じです。
バイ&ホールドでも儲かると考えられる理由はここにあるのです。p1428
・このように、過去の株価の圧倒的な右肩上がりは、資本主義経済の拡大再生産によるものであり、そのエンジンが人々の「豊かになりたい」という尽きることのない欲望であることが、今後も拡大再生産が続いていく根拠であり、インデックス投資のよりどころであると私は考えています。 そして、その資本主義経済の拡大再生産のパワーを取り出すには「平均回帰性」「大数の法則」の力が必要で、そのためには短期ではなく長期で、できるだけ長く市場にとどまり続けることが必要であるということが、相場の騰落に惑わされず、バイ&ホールドを継続しなくてはならない理由だと考えています。 インデックス投資のよりどころは、経済学の話であり、統計学の話でもあります。p1473
・株価が好調なときこそリスクの確認を!p1547
たとえば株価が大幅に上がり、1日で50万儲かったとしたら、「50万儲かった!」と喜ぶだけではなく、「もし50万の損失だったら耐えられただろうか?」と自問自答する。もし耐えられなかったら、それはリスクが高いと言える。
損してからじゃ遅いからね。
〇第6章 貴重情報!インデックス投資の終わらせ方
・必ずもうかる出口戦略はない。P2090~
インデックス投資を始めたころは、「将来の株価動向は予測不能」と納得していたはずなのに、いつの間にか、あるはずのない「必ず儲かる方法」を探してしまう。P2109
腹に落としておきたいのは、投資家がコントロールできるのは、コストと、せいぜいざっくりとしたリスクまでで、将来のリターンはコントロールできないP2116-2123
・(資産をなるべく減らさないための)出口戦略①「リアロケーション」p2128〜
加齢に伴う配分比率の変更。債権クラスを増やすことで、リスク許容度の低下に合わせてポートフォリオも保守的なものに変える。
米国には「100から年齢を引いた割合で株式を持て」という教えがある。
注意点として、リアロケーションは株式相場にかかわらず定期的に行わなければならない。特に下げ相場で損失を被ってからリアロケーションをする癖をつけない。むしろ上げ相場の時にやってこそ効果的と心得る。
②定額ではなく定率での取り崩しp2182〜
徐々に資産を売却していくのなら、所定の資産配分比率を崩さないように取り崩す。
そして、「定額(月5万ずつ)」ではなく「定率」で取り崩す。定額で取り崩すと、株価が安い時に多くの資産を売却することになり、ドルコスト平均方がデメリットとして働く。定率で取り崩せば株価が高い時は多くの株を売り、株価が安い時は少量の株を売ることになる。
目安として、『ウォール街のランダム・ウォーカー』では年間で保有資産の4%を売却する「4%ルール」を勧めている。ここで言う4%は、ポートフォーリオの期待リターンからインフレ率を引いた数字、これが年間の取り崩し比率となる。