- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894561236
感想・レビュー・書評
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中島らもの寄せ集めエッセイ集。この本を読んで「らも好き」になりました。「出会いと別れについて」「サヨナラにサヨナラ」、 何度も読み、泣き、救われ、共感しました。文章のなかに時々見える、優しさ、センチメンタリズム。胸の奥をぎゅっと掴まれたようで、これを読んだ時から私は「らも」に恋をしたのかな。「恋するΩ病」はミニドラマのようです。
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面白い^^
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こういうの大好き。
ちぎれるような変態チックな愛。 -
朝日新聞に掲載されていた「中島らもの明るい悩み相談室」で、この人の名前は知っていたけれど、著書を読むのはこれが初めて。
タイトルが美しいので、手に取りました。
(世界で一番美しい病気ってなんだろう、白血病かな、結核かな)と思いながらページをめくると、予想もしない下ネタのオンパレード。
確かにこの人にはそういうイメージがありました。
エッセイ集で、下ネタがテーマのものを集めたの?と思えるくらいですが、おそらく彼が書くものはだいたいこういう感じなんでしょう。
まあ、自分の半生を綴っている形式なので、常識はずれのえぐさは無かったのですが、自分の好みではないなあと辟易しながら読んでいきました。
ただ、時折美しい思いも綴られていたりして、はっとしました。
おそらく彼は、シャイなひねくれ者で、作風も下ネタベースだけれど、同時にセンチメンタルな人なんだなあと思います。
もてない君だった著者が、モテモテの男性のモテ談を聞く話がおもしろかったです。
興味がないようなそぶりを見せたり、そっけなく斜に構えたり、気がつくと身を乗り出して聞いていたり。男性ならみんな、共感できる心理ではないでしょうか。
結局、世界で一番美しい病気とは、恋の病のことでした。やっぱり彼はセンチメンタルですね。
どのエッセイにも、自分をおとしめながらも、きれいな憧れを持ち続ける、少年のような心が見えました。 -
[ 内容 ]
僕らは生まれた瞬間からココロを満たす恋を求めている。
恋愛の行方は誰も知らない。
[ 目次 ]
1 初恋とほほ篇(よこしまな初恋;人はいつイクべきか!?;島原の乱;石部金吉くんの恋;筆談のこと;チョコと鼻血;愛の計量化について;性の地動説;出会いと別れについて;私が一番モテた日)
2 恋愛の行方(恋するΩ病;微笑と唇のように結ばれて;黄色いセロファン)
3 失恋むはは篇(失恋について;やさしい男に気をつけろ;恋づかれ;あこがれの“小”娘;灯りの話;恋の股裂き;サヨナラにサヨナラ;不能な恋;LADY A)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
過去のエッセイ等からたくさん選り抜かれて一冊の本になったかたち。そのためか、軽めの前半と重めの後半で全然トーンが違う。振り幅が大きい。
表現の仕方は違うけれど、なんとなくこの人のセンチメンタリズムはミネタカズノブ(銀杏boys)のそれに似てるなと思いました。なんとなく。
出来ることなら人と出会いたくないという考え方も個人的に新鮮。今後年をとるとそういう風に考えるようになるのかなあ。
「人と出会いますと、それだけ哀しみが増しますから・・・」
お通夜が悪口で盛り上がるような、そういうイヤなおっさんになりたいものである。
「無意味が必要なんだよ。意味は疲れる。」
そんな糞の役にも立たないセンチメンタリズムをかかえていて、どうやって生きていくつもりなのか
中学生なら話は別だが、恋愛を「したい」という人の頭はどうかしているんじゃないか、と僕は思っている。
恋におちることは、つまりいつかくる何年の何月かの何日に、自分が世界の半分を引きちぎられる苦痛にたたき込まれるという約束を与えられたことにほかならない。
もし誰も愛してないとしたら、結局僕は「いない」のだ。 -
らもさんの文章には既視感があるな。
どれを読んでもなんとなく読んだことのあるような印象。
最後の年表をみて
カマボコのやつをらもさんがやっていたことを思い出した。
ビックリハウスだか宝島だかに連載していたね。
あぁ80年代。 -
数年前、著者の訃報を聞いたとき「嘘だろう」と笑った。
酔っぱらって、階段から落っこちて、亡くなった。そうニュースは告げている。彼自身の書く小説のような結末で、そんな作り事めいた死に方、あるわけがないと本気で思ったのだ。今でも、へべれけになって大阪の街をふらふら歩いているんじゃないかと、そう思ってしまうし、願ってしまう。
この本に収められている話は、小説あり、エッセイありの一見脈絡のない小話集だ。しかし、どの話にも彼の「別れ」の観念が、身を潜めている。馬鹿なことをして、へらへらと笑いながら、その数秒後には何もかも見透かして、ひどく冷めた目をするような落差がある。彼の言葉の温度差に、ひやりとする。
「もう人と出会いたくない。人とは、生き別れるか死に別れるかのどちらかしかない。出会った瞬間から別れは始まっている。」
そう言い放つ一方で、こうも書く。
「無限分の一秒前よりも無限分の一秒後には、無限分の一だけ愛情が冷めているかもしれない。だから肝心なのは、思う相手をいつでも腕の中に抱きしめていることだ。ぴたりと寄りそって、完全に同じ瞬間を一緒に生きていくことだ。二本の腕はそのためにあるのであって、決して遠くからサヨナラの手をふるためにあるのではない」と。
彼のIQ値は、平均が100のところを、130を超えていたらしい。人並み外れた何かを持つ人は、知らなくても良かったことを知り得てしまうのかもしれない。隣に誰もいないところまで登ってしまった事実が、誰とも寄り添うことの出来ないさびしさを連れてくるのだろうか。
中島らもは、優しい言葉を書く人だった。そして、弱い人だった。幼い頃から進んできたエリートコースに疑問を感じ、道を外れようとするも、逃げ切ることができなかった。他人とのしがらみに苦しみながらも、すっぱりと振り切れなかった。睡眠薬や酒に頼らなくてはいられないくらいに、自分を保つことに苦労していた。自分の痛みに酔うことを恐れて、酒で酔っていたのだろうか。
彼の小説には彼自身と同じ、弱い人々が登場する。酒や薬や暴力に逃げずにはいられなかった人たちだ。このままではいけないと気づきながらも、ずるずると逃げてしまう、煮え切らない弱さを抱えている。どこまでも追い詰められて、ぼろぼろにならなければ絞りだせない言葉があるとしたら、それはこの本の中に書かれている全てだ。
弱さは、愛おしさではない。しかし、彼が放つ言葉は、不思議と愛おしい。元から綺麗な場所で生まれてくる美しいものよりも、猥雑で雑念まみれの中から、どうにかして削りだして美しくしてやろう、お前を高みまで押し上げてやろうと、本人は小汚くなって生み出されるものの方に、私が心惹かれるからか。酔っぱらったまま、ふらふらとあの世まで行ってしまった男の、切々とした独白の記録である。 -
前回に引き続きまたまた淡々とお話が進んでいきます。
もうちょっと盛り上がりがほしいです。
でも、前回の月の恋人に比べたら断然面白かったですww -
男と女。寄り添ったり離れたりする不思議な生き物だなと、改めて感じた。ないよりは、あった方がいいなー