- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903908809
感想・レビュー・書評
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914.6
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お昼休みにさっくり読んだ。
生きづらさ、は誰しも抱えているものだと思うけれど、それを「語れる」人は少ない。
ツイッターみたく直情的に愚痴として吐き捨てるのではなく、「語り直す」人が必要だと、思う。この二人はそれをしてくれているような気がした。
あと、この本、形が好き。 -
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女性性とうまく向き合えない自身を描いた『女子をこじらせて』で、世の女性の心を鷲掴みにしたライター・雨宮まみさん。
日常に転がる「分析できないもの」を集めた『断片的なものの社会学』で、社会学の新たな扉を開いた岸政彦さん。
活躍する分野も性格もまったく違うお二人による「雑談」、もう、止まりません!
私たちはときには譲り合うことなく対立しながらも(例・浮気の是非)、他者を信頼したい、他者とともに在りたいという思いについては、共有していたと思う。――「あとがき」より
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何のテーマも決めずに始めた対談だということである。そして100ページにも満たない薄い本である。にもかかわらず、なにかとても深くて大切なことを聞いた心持ちにさせられる。既成概念の不確かさ、他人と自分の尺度の違い、言葉のもつ威力、などなど、目から鱗が落ちる気分にも時々させられる。雨宮まみさんがどんな風に歳を重ねられるのかを見守れないことが切なくもなる一冊である。 -
なんかの特集で見て読もうと思い図書館で予約したんだけど、予約の都合で図らずも岸さんの著作と雨宮さんの著作を読んだ直後に読めたのは、タイミングばっちりだったなぁと思う。面白かった。
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作家の雨宮まみと、社会学者の岸政彦の対談本。対談と行っても、具体的なテーマを設定して何かを語るという形式では決してなく、あてどなく雑談をしている。結果としては、コミュニケーション、性、ジェンダー、社会学といったものがテーマとなっているだろうか。
岸政彦が『断片的なものの社会学』の元になる連載をしていた頃と、出版された後の二回に分けて対談は行われている。それで「断片」についての言及がなされており、楽屋裏の話のように読める部分も。
それらを読んで個人的に初めて感じたのは、「社会学的なものに嫌悪感を持っている人がわりといる」ということだ。雨宮まみは、市場に流通している社会学「的なもの」をして、「ある一定の傾向のものをざっくりまとめる語り口」(p8)として批判的に捉えているし、「「誰が一番納得させられる説を出せるか」という大喜利みたいなこと」(p89)とも感じている。そうした雑な議論に対して、意味付けをしないで物事を取り上げる岸の叙述には好感が持てる、と。
実際に、岸自身のスタンスは、物事に過剰な(ロマンチックな)意味付けをする言説に対して、「なだめ役」「火消し役」(p89)として機能しているもので、それが、「なんでも言い切る」風潮へのサーモスタットとして読者の心を掴んだのかもしれない。
僕自身は、こうした社会学(的なもの)の捉えられ方についてなるほどと思ったところはあるし、本文で言及されてるように、それが何故かマッチョな欲望の肯定として描かれること(M台とか宮Dとかmydiとかその他)もよくある。もちろん、社会学のすべてがそのようにあるわけではないだろうが、そういう「やだみ」というのはわかる、と思った。
同時に、一定の傾向を捉えやすくするために物事をまとめる行為は必要だろうなと思ったし、個人的にそうした要約で救われた部分もあるとも思った。
ところで、個人的にこの本を読んで面白いと思ったのは、岸の浮気をめぐる考え方で、彼によれば「浮気は良くない。しないほうが良い。でも、もししてしまった場合、それはパートナーはもちろん、他の友人などにも言わないほうが良い」というもの。これは、「浮気はバレなければ良い」という言説と似ているようでいて違うのだという。岸の言葉を引用すれば、「過ちを犯す可能性というのは常にあるんだけど、それをパブリックな場で認めてしまうことに対して、僕はすごく潔癖なものがあるんです」(p75)という言い方になる。
これは、ジェンダー論においてヘテロ男の欲望をどのように位置づけるかについての一つの解としても捉えられるかもしれないと個人的には思った。要は、「否定しがたくあって、実際に間違ってしまっても、堂々と恥じらいもなく認めてしまったらおしまい」みたいな。
性のあり方について、リベラルな心情がありつつ、同時に強く何かを言うことを敬遠しがちな岸としての、「どっちつかずの妙」が出ているとも思った。
ところで、内容とは関係ないけど、100ページもなくて¥1080ていうのはさすがに高い。¥500とかにするべき。 -
100ページに満たない本。さーっと流して読めば1時間くらいで読み終わってしまう。でも、冒頭から色々考えさせられる対談。ゆっくり咀嚼すれば、自分の中で言語化できていない何かを紐解いてくれそう。そして、雨宮さんのおっしゃってることはわかることが多くて、苦しい。
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女子こじらせエッセイストと社会学者の対談。飾らない言葉が面白い、のだけど、、、、この薄さと、この内容で1000円取るとは、なかなか大胆。図書館から借りるなら、よいのだけど。
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差別のあり方が昔と今では逆転した、というエピソードが今の時代を象徴していると感じた。
確かに、Twitterのようなコミュニティでは自分より優れているもの、持っているものに対してバッシングを浴びせ炎上することが多いなと。
違う考えの部分もきちんと議論していて、面白かった。今後二度とお二人の対談は実現しないのが、残念。 -
「断片的なものの社会学」が面白かった岸政彦さんとなくなってしまった雨宮さんの対談。本のコンセプトがそういうことなだろうなぁと思いつつ、深くなりそうで、その手前で終わる感じが少し残念でした。