愛国者の憂鬱

制作 : 長嶋 りかこ(ブックデザイン) 
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906605958

感想・レビュー・書評

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  • 変わった2人の変わった対談集です。
    右翼の鈴木とミュージシャンの坂下は,震災後活発になった脱原発集会で出会います。それをきっかけにして,この対談が実現したのです。
    「本当の愛国者なら,日本の自然と子どもたちを破壊する原発には反対するはずだ」なんて話で盛り上がったり,「押しつけ憲法反対,自主憲法制定なんていいながら,現政府がやっていることはアメリカ追随政策ばかりではないか。51番目の州のようだ」なんて話が出たり。
    今の右傾化を憂える右翼の鈴木さんは,ほんと,おもしろい人です。
    お2人には,三島由紀夫・高橋和巳も共通していたなんてのも,おもしろいです。

    個も確立していない未熟大人たちが,国家を強くすることを望んでいる。さらに,戦争がもたらす本当の姿を忘れてしまっているから始末に負えない。

    右も左も,少しは冷静になって,本書に目を通してください。どんなに意見が違っていようが,少しずつでも対話していくことの大切さが,身に染みて分かることでしょう。

  • 今では右翼や左翼という言葉自体が意味を持たない時代であることを再認識。
    国家に対する考え方が両者で一致していることは興味深い。
    お互いに様々な価値観を思考し続けているからこそ、本質的な議論ができるのだろう。

    最近、話題になる事柄について多く語られているので自分の考えの整理の一助にはなったような気がする。

    対立点が少なく却って肩透かしを食らう?

    以下引用~
    ・日本では、音楽は生活必需品ではなくて、なくてもいいもの、余暇を楽しむ程度のものっていう位置づけですよね。
    たとえば、フランスだと戦争になったら、まず真っ先にルーブルの美術品を疎開させます。人間より先に。音楽に対してもそうです。
    欧米では、音楽が自分たちの国のアイデンティティそのものなんですよ。

    ・三島由紀夫は「自分は愛国心という言葉が嫌いだ」と書いているんです。
    「愛国心」はお上の作った官製の言葉で、国民を押さえつける言葉だというんです。同時に、愛というならば普遍的なもののはずだ。それを国境で区切るのはおかしいじゃないかと。

    ・農民の自立に基づいた共同体っていうのは、昔ながらの社稷国家に戻せということですよね。
    社稷国家も、天皇が一点だけあって、あとは自立しているっていう考えですよね。

    ・先日、国民がマスメディアの言うことをどれくらい信じるかっていうパーセンテージが出てましたけど、日本だけ突出して高いんです。
    70%ぐらいの人が信じているようです。
    フランスは、お上の言うことは信じないという伝統があるので、ずいぶん低いですね。40%とか、半分以下です。

    ・今は、「大きい国家にすれば自分も強くなる」と思ってる人が多いでしょう。そういう人はダメです。あまりにも国家に頼りすぎている。国家は小さくていい。社会福祉の面と、外国とケンカをしないという外交面で最低限の安全保障をすればいいんです。
    さらに「道義国家」のように国家そのものが性格を持つ必要はありません。一人ひとりが自由で平和に生きられる国家であればいいと思います。

  • 自分を持たないものが「国」に依存する。自立せよ。

  • 坂本龍一さんを見る目が変わりました。

  • 福島県出身の鈴木邦男さん。僕と同じだ。

  • 教授の「RADIO SAKAMOTO」に鈴木邦男さんが出演したときの対談がとても面白かったので、発売を楽しみにしてたのだが、期待を裏切らない良書。オススメです。

  • ふ~ん、、、

    金曜日のPR
    「脱原発から、「日の丸・君が代」、ヘイトスピーチ、天皇制、三島由紀夫、高橋和巳、小田実などなど
    文豪をはじめ、音楽の起源まで語り尽くす。
    “至近距離で見た鈴木さんの目の、なんと穏やかなこと。
    もう少しで仙人になってしまいそうな目です。
    こんな優しい目をした人にあった記憶がありません。"坂本龍一
    “坂本さんのお父さんの一亀さんは多くの作家を見いだし、育て、多くの作品を作った。
    でも、この世に生み出した最大の作品は「坂本龍一」だと思う。"鈴木邦男
    出版社からのコメント
    坂本龍一の「日本への思い」があふれ出た。
    「世界のサカモト」と新右翼の理論派が激突! 二人には大きな接点があった・・・」
    鈴木邦男をぶっとばせ!
    http://kunyon.com/index.html

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著者プロフィール

さかもと・りゅういち:1952年東京生まれ。3歳からピアノを、10歳から作曲を学ぶ。東京藝術大学大学院修士課程修了。78年にソロ・アルバム『千のナイフ』でデビュー。同年、細野晴臣、髙橋幸宏とともにYMOを結成し、シンセサイザーを駆使したポップ・ミュージックの世界を切り開いた。83年の散開後は、ソロ・ミュージシャンとして最新オリジナル・アルバムの『async』(2017)まで無数の作品を発表。自ら出演した大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』(83)をはじめ、ベルトルッチ監督の『ラスト・エンペラー』(87)、『シェルタリング・スカイ』(90)、イニャリトゥ監督の『レヴェナント』(2015)など30本以上を手掛けた映画音楽は、アカデミー賞を受賞するなど高く評価されている。地球の環境と反核・平和活動にも深くコミットし、「more trees」や「Stop Rokkasyo」「No Nukes」などのプロジェクトを立ち上げた。「東北ユースオーケストラ」など音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動もおこなっている。2006年に「音楽の共有地」を目指す音楽レーベル「commmons」を設立、08年にスコラ・シリーズをスタートさせている。2014年7月、中咽頭癌の罹患を発表したが翌年に復帰。以後は精力的な活動を続けた。2021年1月に直腸癌の罹患を発表し闘病中。自伝『音楽は自由にする』(新潮社、2009)など著書も多い。

「2021年 『vol.18 ピアノへの旅(コモンズ: スコラ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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